カテゴリ:書評
歴史とは単に過去におこった出来事ではなく、現在のあり方に深く関係している出来事です。本書を読んでいると、そのことがよくわかります。
そして、本書は西洋音楽、つまり西欧の「クラシック」の歴史をたどるわけですが、クラシックという歴史(も含めた西洋の歴史です)が、いかに現在の私達にとっての音楽だけでなく、生き方や考え方に大きな影響を与えているかがわかります。 本書が提示していることはたくさんあるのですが、以下のようなポイントを挙げておきます。 ・芸術音楽は「書かれたもの(エクリチュール)」=楽譜によって成立した。 ・楽譜を出版する(本に署名する)ことにより、作曲家が誕生した。 ・中世においては音楽は楽しむものではなかった。音楽とは世界を調律している秩序のことだった。(音楽は旋律が主体ではなかった) ・聴衆が誕生した古典派時代に、音楽において、個人の情感と意志の表現が主役となった。 ・19世紀の西洋音楽の影響が、現代の音楽に強く影響している。 ・宗教なき現代という時代において、感動を求める人にとって音楽は重要になっている。 ほかにもいろいろあるのですが、以上をピックアップしただけでも、クラシックとは何か、音楽とは何か? を追求し、著者なりの見方を提示していることがわかるのではないでしょうか。 最初のページを読んだだけでも、かなりノリノリで書いていることは、著者があとがきに書いていることを読まなくても、伝わってきます。 そして、読み進めると、音楽史的にも、バロックにおいてバッハは異端であったなど、普通の人が持っている常識とは異なる見解が示されていたり、最初から最後まで、内容は濃いし、おもしろいし、刺激的です。 クラシック好き、音楽好きならずとも、読んでおきたい本になっています。 ★5つ ★★★★★
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最終更新日
2014.09.22 07:59:12
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