カテゴリ:書評
人類学の本を読んだのは久しぶりですが、人類学はおもしろいなと改めて思わせてくれる本です。
読んでいると、人類700万年の歴史は、決して過去のものではなく、今の私たちに深く関係していることだと思えます。 著者は読売新聞で生命科学や古生物学を担当をされているようですが、これぞ新聞記者の文章という感じで、素人にも理解できるように、わかりやすく書かれているのもよいです。 本の中でも述べられていますが、人類学も、私が学校で習ったときの歴史とはかなり異なっていて、人類学の進歩を感じます。 例えば、私が学校で勉強したときの最古の人類は、アウストラロピテクスだったように記憶していますが、アウストラロピテクスは族になっていて、今は「サヘラントロプス・チャデンシス」という、とても覚えられそうもない呼び名がついてる約700年の人類が最古らしいです。 ほかにも、いろいろな新しい人類が発見されているようですが、今の私たちであるホモ・サピエンスのほかに、滅んでいった人類は20種類以上とのこと。人類は一直線にここまできたのではないのです。 700万年の歴史の中で、体力より知力が圧倒してきた人類の進化とか、間違いこそが人類の進化など興味深い歴史観が提示されています。 ビジネス書を読んでいると、ビジネスに失敗はつきものという記述をよく見ますが、間違いこそが人類の進化という見方とは、深いつながりがあるのではないかと思いました。 あと、年代測定の進化もおもしろかったです。素人にはただの石にしかみえない化石から、万年単位で年代を測定するのですから、すごいです。科学の進化も人類学の進歩に貢献しているということですね。 地球45億年の歴史を1年にたとえると、人類700万年の歴史は、12月末に始まったにすぎず、人類700万年を1年にたとえると、私たちホモ・サピエンスの歴史もまた12月末に始まったにすぎないそうです。 なんという人類の歴史の短さでしょう。そんなスパンで人類の歴史に思いを馳せると、ちょっと違った視点から、自分や物事を眺めることができるかもしれません。 たまには、人類学もいいものですが、この本自体2005年、10年前に書かれているので、人類の研究も、今ではもっと進歩しているかもしれません。 ★4つ ★★★★☆
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最終更新日
2014.10.14 07:40:47
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