「共に生きる」
前にも日記にちょこっと書きましたが、今日は、「日本理化学工業(株)」の大山会長さんの講演会に行ってきました。あの、チョークを作っている、知的障害者の雇用が70%以上という会社です。この大山会長さん、とても物静かな雰囲気の喋り方。声が柔らかくて、小さい・・ちょっと聞き取りにくいのが残念でしたが、別の方の情報だと、声帯を悪くされて、声が出しにくい状態だとか?それでなくても、とても穏やかそうな、心の広い温かそうな方でした。何事にも感謝して、謙虚に生きている。そんな感じの方です。この会社の取り組みに関しては、すでに、あちこちで報道されていて、ご存知の方も多いようなので、印象に残ったお話を・・・最初の雇用のきっかけになったのは、昭和35年、養護学校の先生が、来年度の卒業生を2名雇ってもらえないか・・という突然の訪問でした。当時は、「精神薄弱者」という呼び方をされていた知的障害者です。精神的に弱い人に来てもらっても、うちには働ける場所はないと、お断りしたそうです。その後、何度もしつこく訪ねてくる先生が、最後に諦めて言った言葉。「この子達(15歳)は、卒業したら親元離れて施設に入所します。 施設に入ってしまうと、一生、働く経験をしないで終わってしまいます。 なので、その経験(実習)だけでもさせてやってもらえませんか?」実習だけなら、ということで来てもらったけど、実習の最終日、社員である中年のオバちゃんたちが、「あの子達、すごく一生懸命働いてくれる。 たった2名だし、大変なら私たちも面倒見るから どうか雇ってやってほしい」そうお願いしてきて、ついに雇用する運びとなったということです。あと、先代の社長が亡くなって、法事の席で、住職さんの言った言葉。大山さんが、「あの子達は、施設に入所していれば幸せなのに、 満員電車に揺られて、どうして熱心に通ってくるのかわからない」と、言うと、「施設で面倒見てもらうのが、幸せか? 物やお金があったら、それで幸せか? 人間は、幸せを求めている。 1、愛されること。 2、褒められること。 3、人の役に立つこと。 4、人に必要とされること。 これがあって、人は幸せだと思える。」じゃ、そういう人が一人でも多く雇用できて、幸せを感じてもらえるような会社になろう。そう思って、障害者の多数雇用に力を入れてきた。ということでした。あとは、うまくまとめられないので、箇条書きで(;^_^A社会に出るにあたって、家庭で身に着けてきてほしいこと。1、身辺自立2、簡単でもいいから、返事や挨拶ができる。3、とにかく一生懸命取り組む。4、迷惑を掛けない。それができていれば、あとは会社でその人の個性や良さを伸ばせる。集中して一生懸命やれる子は、戦力になる。海外の企業は、とかくマニュアル文化。全員が一緒のことを一緒にできなくてはならない。でも、日本という国は、手先が器用な(応用が利く)職人文化である。職人文化は、個々の理解力に対応できて、戦力にしていける。それを活かして、障害のある人に工夫を凝らしたやり方を提案し、その人にもできる仕事にしていくのが、企業としての役割。工夫次第で、障害者も立派に働ける。何かあれば、邪魔者・お荷物扱いされ、事件や犯罪が起きた時ばかり、「障害者」という名前が出てくるけど、これだけ社会から評価されるような育て方もあるのだ。障害者と関わることで、教えられることがたくさんある。そして、障害者のお陰で、会社が成り立っている。最初の実習の際には、「かわいそう」という同情が先にたったが、今では、頼もしい社員であり、大きな戦力である。神様は、障害者を介して、大事なことを世に教えようとしている。 *:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆私が、とある先生から聞いた言葉。いつも言ってることですが、障害児教育は、人間の原点であるそれが、この会社でもしっかり理解されているのが、すごく嬉しく感じました。やっぱり基本はそこなのよね^^そういう企業が少しでもたくさん増えていってくれると嬉しいのだけど・・この大不況期のさなか、一般の健常者でも就職が大変な時代に、あえて障害者の雇用を・・って会社も少ないのかもしれないですね。もし、施設に入所すれば、個人にかかる費用は年間500万円。でも、企業へ就職すれば、国からの「障害者雇用」の補助は、年間150万円で済むらしく、展望を大きくしたら、その方がお得ってことにもなるわけです。それに、褒められる、人の役に立つ、必要とされる。これは、ほんとに人として幸せなことだと思います。お年寄りを大事に・・と言いますが、私も、家のおじいちゃん(実父)に、働かないでのんびりしていてほしい反面、まだまだ元気なんだから、もっといろいろと頼んでいいのかな?と、戸惑うこともあります。実際、「悪いかな?」と思いながらも、送迎を頼むと、すごく喜んで「よしきた!」くらいに、張り切ってくれます。頼られるって嬉しいですよね。私は、「自分で引き受けちゃった方が気を遣わなくて済むから・・」と思って、自分で全部やっちゃうことも多いけど、そんな自分勝手な「奉仕」より、ちょっと苦手な「甘える・頼る」も、必要なことだなあと感じました。きっと神様は、どんな人にも平等に、役に立つ才能を与えている。息子のことを思うと、これで企業へ就労できれば、もちろんありがたいことではあるけど、まあ、今、目の前にある道を、こつこつと歩いていこうと思います。今日は、企業の関係の方も来ていたし、お役所関係の方(市長とか)、NPO法人、施設職員、保護者、いろんな方が、このお話を聞いて帰りました。障害者は、決してお荷物じゃない。世の中の見方が変わってくれると嬉しいですね。第二次産業以外にも、いろんな分野で、障害者の雇用が充実してくるとありがたい。なので、私もあちこちで、こうしたPRをしていかないと。そんなふうに感じた、「共に生きる」というタイトルの講演会でした(*´▽`*)で、現在の雇用状況は?というと、やっぱりこの不景気と、チョークの需要が減っているってこともあって、(学校で、スクリーン投影が増えたり、ホワイトボードなどの普及で)年間に、支援学校生を一人採用するくらいだそうです。一般家庭では、なかなかチョークって使わないですもんね。貢献できなくて残念ですが(;^_^A