マダム・ピエール・オジェの復活
我が家には、グラハム・トーマスのほかに、マダム・ピエール・オジェという、たいへん美しく優雅なオールドローズがひと鉢ございます。・・が、今年の春先、出てきた新芽を猫のマロンがみんな食べてしまいました。その後、今度はわたくしの不注意で、遅い霜に遭わせてしまい、樹は見る見る元気を失って赤黒い色へと変化し、すっかり枯れてしまいました。この家に越して来て、初めて手に入れたバラだったので、どうにもあきらめがつかずに、毎日水遣りをしながら様子を見ていましたが、新たな芽が出ることはなく夏を迎え、「やはりダメかしらね・・」と今度こそあきらめ、だからといって枯れた樹を捨てる気持ちになれるわけもなく、鉢ごと庭に置いたままになっていました。今日は、2麻呂が学校を休んだので、わたくしも会社を休み、普段ゆき届かない場所のお掃除などをして過ごしました。午後、庭に出て、久しぶりにふと遠くからバラの鉢を見ると、なにやら緑の草が生えている様子。そばへ近づいて見てみると・・、それは、バラの新しい葉と枝だったのです!なんという生命力!感動の瞬間でございました!あの日、「ああ、もうダメね」とつぶやくわたくしの声が聞こえたのでしょうか。枯れた樹の下の土の中では、着々と次の芽を地上に送り出す準備が進んでいたのですね!オールドローズは古来からの品種なので、病気や環境に強いとは聞いてはおりましたが、これほど強いものだったとは。知らない間にこんなに伸びて・・。まさに強さを実感!慌てて水をたっぷり与えました。捨てないで本当によかった!さあ、これでまた楽しみが増えました。来年の花の季節までに、どこまで大きくなるかはわかりませんが、希望を持って大切に育ててゆくことができます。マダム・ピエール・オジェ、ごめんなさいね。そして、ありがとう。あなたの名前の主であるオジェ夫人は、きっと芯の強いたおやかな女性だったのでしょうね。来年、皆様にかわいらしい花姿をご覧いただけることを夢見て、世話をしてゆきたいと存じます。【自然はそれを愛する者の心を裏切ることは決してない:ワーズワース】 ほんの10センチほどの枝です。 すぐ脇には枯れてしまった樹が。