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2005/11/11
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カテゴリ:予習シリーズ
 国語のテストで、よく生徒がぼやくのは、
「記述問題、何書いていいかわかんなーい」
 で、実際に答案を見てみると、ほんとうに見当はずれなことを書く生徒がいる。
 でも、それはこちらのほうにも問題があるのです。
 問題集の答えを見ても、記述の書き方はわからない。
 正直なところをいうと、塾の先生の中にも、ピントのはずれた教え方をしている先生がいる。
 算数だったら、解答を見たらやり方が示してあるのに、
 国語は答えを見ても、答えはわかるけど、やり方がわからない。
 だから、塾の先生は答えの書き方、記述を書くやり方を教えるべきなのに、
 答えを教えて、それで終わってしまっている人がいるというのが実際ではないのか。


 たとえば、記述の問題を「穴埋めにする」というのがあります。
 模範解答に
「人間と自然の関係を見直し、文明を見直すこと」
 とあったら、
「○○と○○の関係を○○し、○○を○○すこと」
 と黒板に書いて、
「○に当てはまる言葉を考えてみよう」とやる。
 これも、ひとつの方法です。
 でも、これで記述のチカラがつくのかというと、ぼくはあまりそうは思わない。
 それをするのならむしろ、
 黒板に、「人間と自然の関係  文明  見直す」と書いて、
「これをつなげて解答をつくれ」とやったほうが身に付くように思う。


 つまり、記述の問題とは、
【本文からキーワードを抜き出して、それを問題の形式にそった形で文にする】
 そういった作業だと思うのです。
 

 だから、ぼくの国語の授業では、記述の問題は、だいたいこんな感じです。
 とりあえず手元に予習シリーズの小6上があったので、
 予シリ6年上の第1回の問11をやってみる。
 以下、実況中継形式で、


『よーし、じゃあ次は問11、
【 自然が「未来からあずかった大切な財産」であると言えるのはなぜですか。三十字以上四十字以内で答えなさい 】
 ってことだから、まず答えの形は決まってくる。
 もうみんなわかってると思うけど、「なぜですか?」ってきかれたら、「~~から」だね。
 ってことは、本文から「~~から」って書いてある部分を探す。
 どうだ? あったか?」


(と、しばらく考えさせる。見つからなければ、)


「だいたい、答えはまとめのところにあるんだよ、だからそこから探してみ」


(ぼくは説明文でも小説でも、部分分けの問題があったらそれを先にやるし、なくてもまず文章を部分分けするようにしています。
1話題  2例  3まとめ  4例  5全体のまとめ
 といった具合に、文章全体の構成を示してから、問題に入る。)


 まとめの部分、3か5の部分に「~~から」ってのがあったら、くさいぞー」


(そこまできたら、何人かは「あった」とか言い出す)


「はいありました。45行目のあたり、
 「保存されている自然は、私たちが利用しようとしている土地の自然の成り立ちや仕組みを教えてくれ、万一、その土地の利用が失敗したときの自然回復のお手本にもなるからです。」
 とある、ここがそのまま使えそう。
 でもこのままじゃ長すぎるね。
 予シリは一行30文字だから、これじゃ70字くらいある。
(問題を解く前に1行が何文字か数えろといつも言います。後でラクだから)
 そしたら、キーワードを抜き出してみる。


私たちが利用しようとしている土地  16字 
自然の成り立ちや仕組み       11字
土地の利用が失敗         8字
自然回復のお手本          8字
から。              3字 


 30~40字で、最後の「から」の2文字は決定だ。
 あと、どれをつかうか、どうやってつなぐか。 
 そしたら、書いてみて。


(書かせて、見て回る。
消しゴムを持って見回りながら、見当ちがいなものは容赦なく消しまくる)


「そしたら、見てみよう。
 まず、絶対になくてはならないのは、「自然の成り立ちや仕組みを教えてくれる」ってのと、「自然回復のお手本になる」ってふたつ。
 私たちが利用しようと、してなかろうと、自然は大事だから、
 土地の利用が失敗しようがなんだろうが、自然は大事だから、
 このふたつはいらない。
 とりあえずそれでつくってみると、
「自然の成り立ちや仕組みを教えてくれ、自然回復のお手本になるから」
 31字。
 これでひとまずオッケー。
 もし欲張りたかったら、後ろのほうにある「あるがままの自然」とか入れて、
「あるがままの自然は自然の成り立ちや仕組みを教えてくれ、自然回復のお手本になるから」
 これで40字ジャスト。
 この問題は、問題文に「なぜですか」ってあるから、それがヒントだね。
「なぜですか」ってあったら、「~~から」
 そんでもって作者の主張は具体例じゃなくてまとめの部分にあるから、そこから「~~から」の言葉を探す、と。
 それで、まとめてオッケー。』


 といった感じにやります。
 手順としては、
1 問題文から、解答の形を決定する。
2 その付近からキーワードを抜き出す
3 キーワードの字数を数える
4 とりあえずつなげてみる
5 オーバーしてたら、いらないものを探す。足りなかったら、他にキーワードを探す。
6 字数に合わせてキーワードをつなげた文を作る。


 小説の場合はまた違ってきますが、説明文だったらほとんどこれです。
 ぼくは現在、小学生中学生の下のほうのクラスを受け持つことが多いのですが、このやり方でだいたい納得してもらってる。
 10点満点として、6点から8点の解答を作ることはできると思う。
 ほかにいいやり方があるのなら、教えて欲しい。


 国語という教科は他の教科よりもなめられる傾向にあり、
 新人の先生とかをどこかのクラスに入れるときに、
「とりあえず国語だったらできるだろう」とかって思われるもんなのですが、
 そんなもんでもないだろうと思う。


 よく、
「数学には答えはひとつしかないけど、国語には答えはいくらでもある」
 なんていう物言いを耳にしますが、
 それはどうかと思うのです。


 ぼくから言わせれば、
「小説の読み方はいくらでもあるけど、国語の問題として見たら、やっぱり答えはひとつ」
 出題者がいて、問題があって、模範解答がある以上、やっぱり
『こう書くべき』というものは存在します。
 その意味で、国語の答えというのは、基本的にはひとつしかない。
 それは、広くいえば作文とか読書感想文とかでも同じこと。
 学校教育であり、入試問題である以上、書くべき方向というものはおのずと決まって来ます。


 野球でいえば、来たボールをカキーンと打って、飛んだら気持ちいい。
 それがファールだろうが、フェアだろうが、打った感触はどっちも気持ちいい。
 でも、ファールはファールなんです。
 それは、意味がない。
 そこには、ルールというものがある。


 国語の記述問題の教え方というものは、書き方のルールを教えて、
 そのルールにそった解答を書くやり方を示すものでなくてはならないと思います。
「なんとなく」とか「自分の思った通りに」とか、そんなものが入ってくる余地はないのではないか。
「自分の書きたいことを書いた、おれは満足」
 でもそれはファールでは意味がない。
 ボテボテの打球でも、ポテンヒットでも、
 この方向に打ったらヒットになるってのを教えないといけない。


 次回から、予シリの問題に即して記述の書き方、考え方を示してみようと思います。
 とりあえず今回はここまで。





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最終更新日  2005/11/24 04:51:09 AM
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