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2008年03月29日
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カテゴリ:小説感想

日本に初めて設立されたクライオニクス財団を舞台に、
永遠の生を夢見る者たちを襲う氷の殺人劇-。
本格ミステリのフロンティアを切り拓く、最新科学とミステリーの融合。

『3000年の密室』に続いての柄刀作品2作目。
タイトルがまずかっこいいわねきらきら
思った共通することが、”壮大さ”。
前者は、過去を絡め、本作は未来を考える。
タイムマシンなんて使うファンタジーなんかじゃないのに、どちらも哲学的にも考えさせられることばかりです。


石膏ギブスでミイラで窒息死、撲殺されて放火、頭部切断...それぞれの単語を見るだけでは〔エグっ!〕と思ってしまうものでも、冷凍という氷をイメージさせる世界観のせいなのかな、顔を歪ませてしまう程の凄惨さを想像できなかった。

いくら未来の話とはいえ、そんなことが法的に許されるのか?と不思議でならんわけで...ある意味この現実とのパラレルワールドみたく、捉えたせいで落ち着いてしまえたのかもしれない。
その世界観、どうも生かしきれていなかったように...orz
ついでに、主役の氷室刑事のキャラ設定もピンとくるものではなかったかな下向き矢印

私が生きるこの世界ではありえない、死体を冷凍保存し科学発達により生命の蘇生が行われるというクライオニクス、そこで起こる不可能殺人。

この殺人を書きたいが為の無理のあるクライオニクス設定にしちゃったのね~と思ってしまったこと、何だかイヤだった~~!!でもね、本格ミステリっぽいのを堪能できたし、まぁいいや(笑)結果オーライ...多分。


トリックや動機に気がいくよりも、本題であろう死者の蘇生ってことを考える。

昔から、権力を得た王様や実力者は、不死を求める。
一般人だって、もう一度人生をやり直したいと思う人は多いはず。
でも、一度でいいんじゃね?人生なんて。一度だからこそやりたいことに一生懸命になれるんだろうし、最愛の人を護りたいとも思えるんじゃなかろーか?

だからこそ氷室の、(頭部だけになってしまった)奥さんに対する常軌を逸した行動には悲壮感が漂い、圧倒される。
折れ線グラフで氷室の感情を描くと、そのページだけでピーーーーーン!とグラフを突き抜けるという印象を受けたっけ。←あ、自分的にめっさ分かりやすい(笑)

生も死も一度だけでいい、と思っていた男が、家族を失った時、蘇るのなら側に居たい、と願う一個人が抗う倫理観なんて塵に等しかったんだなと、家族を持つ身としての理解できること、また逆に思うこと...難しいテーマだと感じました。





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最終更新日  2008年03月29日 21時36分27秒
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