カテゴリ:俳句ちら読み 逍遥遊
『プレバト』(大阪MBS制作、TBS系全国ネット)4日放送。
このところちょっと見たり見なかったりなのだが、今回は充実していた。 兼題は「スニーカー」。 梅沢富美男 花衣運転席のスニーカー 「花衣」は花見に着ていく晴れ着。この一語で作者(作中主体)が和服姿であることが分かる、巧みな季語の遣い方。 草履で運転するのは危ないので、履き替え用のスニーカーが置いてある。いわゆる「あるある」系の軽やかな俳諧味。 Kis-My-Ft2 横尾渉 風光るピボットの軸は逞し 「ピボット pivot」は「軸、枢軸、回転軸、(昔の牛車・馬車の)轂」などを言うが、ここではバスケットボールの「ボールを持った状態で片足を軸足として固定し、もう片方の足を動かすステップ」で、軸足を中心に回転するように見える動作。映像で見れば、ああ、あれかとすぐ分かる。 私を含め、知らなかった人が多いだろうが、時には一般読者の知識水準を一歩超える専門用語を用いるのも、詩的技術の一つだろう。 これはスポーツを詠んだ句であると同時に、青春の句でもある。春の季語「風光る」が爽やかで清冽な画竜点睛となっている秀句。 破調は気にならず、むしろ躍動感をもたらしている。 ペナルティ・ヒデ 春落葉片方だけのスニーカー 「春落葉」は、檜などの常緑樹が、新芽の出る春に落とす古い葉。 作者は番組初出演だそうだが、とてもそうとは思えない秀句だ(ビギナーズ・ラックかも知れないが)。 そこはかとなき侘び寂びさえ漂わせてしまっている。 村山輝星 われ反抗期春夕焼の波見つむ 作者の原作「われ反抗期春夕焼の海岸へ」を、評者で俳人の夏井いつき氏が添削。一句目の字余り破調は、内容とマッチしていてOKである。 金子恵実 入社式一人は白きコンバース 原作「入社式一人馴染まぬコンバース」を添削。ぐっと鮮烈になった。 ニュースを見ていたら、近頃は入社式にジーパンで出る猛者もいるらしいが、まだまだ例外的な少数派であろう。そのへんのおかしみ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年04月08日 05時22分54秒
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