カテゴリ:シチュエーション・アナリシス
国政選挙、とりわけ衆議院総選挙といえば、昔でいえば「関ケ原」みたいなものである。当事者でもなんでもなくても、また結果はどうあれ、やはりなんとなく血沸き肉躍るものがある。
というようなわけで、しろうとの私がぶつくさ駄文を書いても仕方ないとも思いつつ、とりあえずちょっと書く。 以下は主に田崎史郎氏の受け売りと、ただの思いつきの感想文である。 「自民惨敗」という四字熟語(?)を見るのはずいぶん久しぶりだなと思ったが、それもそのはずで、実に15年ぶりのことだという。それが現実のものとなってしまった。 当地・宇都宮の栃木1区は、天下の作新学院オーナーの船田元氏が盤石なので全くの無風だったが、全国の惨状は目を覆うばかりであった。 自民党政権の長い善政が、昭和の戦争で一度は滅んだこの国の復興と繁栄を導いてきた功績は多くの国民が認めるところであり、今回も底堅い支持はあったと思われる。 ただ、現下の政治とカネ(裏金)問題への国民の反発は予想以上に強く、裏金をせしめた当該議員は当然としても、それと関係のない自民党議員にまでその暴風雨が襲った模様である。 選挙戦最終盤での、非公認候補者への2000万円「武士の情け・陣中見舞い」にもあきれ果てた。共産党機関紙『赤旗』にリークしたのはどこのどいつだ。スパイ大作戦かよ。 投票率は低迷し、野党票が伸びたというよりも、どちらかというと自民党の誇る岩盤支持層が、嫌気がさして投票所に行かなかった(棄権した)という分析もある。 自民支持層が消極的にお灸を据えたという構図だったか。 仮に小泉進次郎首相(総裁)だったとしても、結果は同じかもっとひどい状態だったとも思われ、いま首相にならなくて本当に良かったなと思う。彼はやっぱりついてるし、「持ってる」のだろう。 将来、首相になることは確実なので、ますますの修行と精励に期待する。 また、この問題をきっかけに、日本社会に根強い「水平化バイアス圧力」も作動してしまったと僕は見る。 日本の映画やドラマでは、時代劇・現代劇を問わず、代官といえば悪代官であり、大商人は悪徳廻船問屋である。ブルジョワの子弟は嫌味な悪役に決まっている。庶民に縁遠い平安貴族社会を描く大河ドラマ『光る君へ』は(私を含め熱烈なファンは付いているが)低視聴率に喘いでいる。 このエピステーメー(共同的認識の枠組み)は、たぶん日本人のほとんどが基本的に農耕民族・農民・百姓の末裔だからである。 こういう集団心理を惹起させた。 (ただ、ちなみに一応書いておけば、私は曽祖父までは水戸徳川家の下級武士だった家の子孫である。テロリズム渦巻く幕末の動乱の中で曽祖父が死んでいれば、私はこの世にいなかった。その可能性はけっこうあったと思われる。) 安倍元首相は偉大な政治家だったと今も思っているが、好事魔多し、安倍派はやはり多少調子に乗りすぎて驕ってしまった面が無きにしもあらずだったのかも知れない。 この問題に限っていえば、自分にほとんど責任がない石破首相は悲運で気の毒だとも思う。 ・・・ とはいうものの、少し引いた視線で見れば、大幅伸長したとはいえ立憲民主党への政権交代が起きるわけでもなく、激震・激動というほどでもないのかなと思う。 まあ、せいぜい「動揺・流動化・混迷・不安定化」といったところか。 政権選択選挙である衆院選で過半数割れの敗北になったのだから、場合によっては即退陣とか短命政権になってもおかしくないところだが、昔のいくさと違い、敗れた側も生きており、一応比較第1党は維持しており、しかもこの場面で火中の栗を拾う次の政権のなり手がいないという、なんともすっきりしない状況となっている。虎視眈々と次期首相を狙う高市早苗氏も、今はちょっと手が出せないだろう。 結局、当分は自民党主流派と反主流派、そして野党勢の三つ巴(三すくみ?)で、だらだらと石破政権が続く模様である。 言っては悪いが、こういう敗戦処理みたいな状況は、地味な石破氏に似つかわしいとも思える。青息吐息ながらも、持ち前の粘り腰でなんとかかんとか対処していくような気もする。 とりあえず自民公明の連立与党は、弥縫策として国民民主党の連立取り込みを図り、おそらく国民党も遅かれ早かれこれに応じ、新たな連立の枠組みで衆議院の過半数233以上を確保する思惑なのではないか。 取り込むところまでいかなくてもいいし、さほど急ぐ必要はないし、これ以外に道は思い浮かばず、うまくすれば当分はこれでけっこういけるかも知れない。少なくとも来夏の参院選前まで、そして内閣不信任案提出までは。この辺では一つの「政局緊迫」も予想される。 躍進した国民民主党は、(細かいことを抜きにすれば)かねてより自民党と比較的考え方が近い部分が多く、与党とまずまず友好的な関係を保っていると見られている。 ここは素直に連立協議を受諾して政権を支えるのも国家国民のためではないか。 玉木代表をはじめ、じっくり話せば分かりそうな人士が多いとも思う。 成熟した民主主義先進国のヨーロッパ諸国では3党以上の連立政権が常態化しており、何も悪いことでも恥ずかしいことでもない。多様化した価値観・ニーズに対応した政治の形というべきであろう。 ただ、玉木代表は早くも、自公との連立はないと拒否の姿勢を明言してしまったようだが、これはちょっと勇み足だったのではないか。この言質をいつどのように翻し撤回するのかはちょっと問題だ。 まあ、最初は個別の政策や法案・予算案などの部分連合ぐらいから始めて、ゆっくり取り組めばいい。場合によっては野党要求の「丸呑み」も辞さないのは、自民党の窮余時の得意技である。 時間が解決するのではないか。 それよりむしろ、自民党内の「政局」、内輪もめの方が懸念される。 今や弾尽き矢折れ壊滅状態に近い旧安倍派だが、むしろ旧安倍派の責任である政治資金問題での敗北で、責任なき石破氏の結果責任を責め立てて、「石破おろし」などを実行する構えなのだろうか。 個人的意見だが、それはやめといた方がいいんじゃないかと、僭越ながら衷心から諫言したいところである。 一時的にせよ、現在の力は著しく弱っている。共倒れまっしぐらになる。 日本国民の民度は、世界有数に高いよ。見てないようで、ちゃんと全部見ているから。 旧安倍派は、今は臥薪嘗胆の秋である。予想以上に国民の視線がきわめて厳しいことがはっきりした今、ここは当分、真摯な反省と新たな戦略の練り直しに注力し、当分は謹慎・沈淪すべきではないか。 ・・・ それにしても、僕の隠れアイドル・丸川珠代さまの涙の演説を見ていたら、本当にかわいそうで不憫で、ますます好きになってしまった 珠代ちゃん、大丈夫だから、他日を期して、今はしばらく辛抱してね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024年11月05日 04時20分46秒
コメント(0) | コメントを書く
[シチュエーション・アナリシス] カテゴリの最新記事
|
|