先輩のお話。
私がまだメイクに目覚める前のお話です。多分その頃31,2歳でしたよ、その先輩。メイクがばっちり決まっていて、崩れたのを見たことがない。はっきり言って『ケバい』という印象でした。なぜか仕事で一緒に組むことになり、ランチをする機会が多くなって、いろいろ話を聞かせてもらうことになりました。子供がいてもせいぜい幼稚園、と思っていたら、なんともうすぐ中学生になろうかという男の子を筆頭に4人!のお母さん。ああ~だから4時にはさっさと帰っちゃうのか、とわかりました。2回結婚したけど、1回目は離婚、2回目は死別で、彼女は女手一つで4人の子供たちを育てていたんです。全くそんな風には見えない彼女。実は彼女の1回目の結婚の破綻は、ご主人の浮気でした。20歳そこそこで結婚して子供を生んだ彼女は、化粧もせず、いつもジャージ姿で育児を頑張っていたらしいのです。そこへご主人の浮気。相手は同じ会社の女の子だったそうです。一旦は別れてくれたそうですが、2人めを妊娠中にまた浮気が発覚。離婚する事にしたそうです。「あたしね、その時思ったの。 結婚したからって安心出来ないよ。 他の女に寝取られて、なにが妻の座よ。(スッピンで赤ちゃんを抱いている若い頃の写真を見せながら) ほら、20歳頃のあたし。 そこそこ可愛いでしょ? でもね、男はやっぱり化粧した女が好きなのよ。 あれからあたし、化粧はかかせないの。 家の中でもスカートで、絶対ストッキングはくのよ」男性とのお付き合いも盛んのようでしたが、溺れない。一度合コンに、人数合わせで年ごまかしてきてもらったんですが、24歳の男の子が彼女にメロメロになっちゃったんですよ!しつこく連絡取ってたみたいですが、彼女はノーサンキュー。「だって私は子供が一番大事だから」夜も時々一緒にご飯食べる事もあったのですが、絶対数度子供たちに電話をするのです。「ちゃんとご飯食べたか?宿題したか?」と、それはまるでお父さんのよう。一度夜中まで遊んだとき、先輩のうちに泊まらせてもらう事になったのですが、長男が起きて来て、私を見て「誰?」そしたら先輩「誰じゃないやろっ!ちゃんと挨拶せんかっ!」いやいや、夜中にお邪魔した私の方が悪いのですから、とひやひや。でも彼は翌朝「おはようございます。よかったらどうぞ」と、オレンジジュースを。先輩は何も言ってないのですよ?いやー感心しました、と先輩に言ったら、「あの子は頭がいいから、大学に行かしたいんだ~。 そのためのお金も準備出来てるし、 絶対母子家庭だからっていうハンデは負わせない」お見事!女やって、母やって、父やって。私には出来ないかも。でも私、先輩から「あなたは結婚したら、絶対化粧手を抜くタイプよね。 旦那に浮気されんよう気をつけな」と言われました…まさにその頃はそういうタイプでした…でも!あなたがいたから今の私がいる!とりあえず『女』の部分だけは、あなたの言葉を胸に、日々精進しております。今は付き合いがなくなってしまった先輩ですが、結婚を考えてもいい男性と巡り合えたらしいです。今度こそ、幸せな結婚になりますように。