カテゴリ:愛すべき(?)トンデモ映画
80年代前半、女性を次々とレイプ、殺害した元消防士が、日本中の注目を集めました。
その男・Kのおぞましい犯行をドキュメンタリー・タッチで描いたのが、 「連続殺人鬼 冷血」('83年 ジョイパックフィルム)‥‥ この映画、内容が内容の上に主演俳優がか~なり濃い人なせいか、DVDリリースされていませんが、 こちらの本に映画の内容は載っています。 絶滅危惧ビデオ大全 奈良郊外の農村部で育ったKは、少年時代は札つきのヤンキーというわけでもなく、 地元の公立高校に通っていたくらいだから、成績もそんなに悪くはなかったようだけど 高校時代に窃盗事件を起こし、退学処分になります。 それから20過ぎてデキ婚するまでは、デカい事件なども起こさず、 運転手をしながら、年若い妻とままごとのような暮らしをしていたのですが、 妻が第二子を妊娠中、仕事の帰りに車に幼馴染の妹を乗せ、 くどいたけれど断られ、逆上してレイプしたことから、 彼の胸の中で眠っていた悪魔が目覚め、相手を殺してしまいます。 それからはもう、通りがかりのホステス、化粧品販売員など、 手当たり次第にレイプしては殺すという、残酷きわまりない犯罪を繰り返します。 その一方で、高校時代の友人(警官)のツテで消防士となって、 レスキュー隊で訓練に励み、数々の賞をもらい、 人命救助に全力を傾けるのですから、二重人格とはこのことでしょう。 しかも数々の犯行の合間に、愛妻とクイズ番組にも出演していたというのだから 「どーいうやっちゃ???」と思いたくもなります。 でもこのKも悪運尽きて、銀行の現金輸送車を襲った時に、民間人の手であっけなく逮捕。 そのあと、通り魔的犯行ゆえ、迷宮入りになっていた女性たちのレイプ殺人の全貌が、Kの口から明らかになるのです。 実在した殺人鬼Kを演じたのは、映画「真夜中のボクサー」の主演に抜擢されなかったことを恨んで、原作者の高橋三千綱を刃物で刺し、 松竹本社ビルに車で突っ込み、 倉本聡氏の前で切腹した超アブナイ怪優・中山一也! だからというわけじゃないけど、まさにはまり役でした。 おまけに中山氏、この役に相当入れ込んでいたのか、 荒削りな演技だったけど、それがまた主人公Kの狂気を、リアリティ満点で表現していました。 レイプ、殺人、色欲まみれのトンデモ映画ですが、 中山氏のブチキレ演技だけでも、見る価値はあります。 それにしても、Kの事件の恐怖の余韻が残っている時に、よくまあこういう映画を公開できたものですよね。 このごろじゃ、有名な猟奇殺人事件が映画化されるなんてこと、ほとんどありません。 被害者側への配慮や、興行的な危惧もあるんでしょう。 そういう観点から見ると、一見キワもののこの映画を作ったスタッフに拍手です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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