カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
ギュンター・グラスのノーベル文学賞作品を、
ドイツの名匠フォルカー・シュレンドルフ監督が 渾身の力をこめて撮り、カンヌ映画祭でグランプリを獲得した「ブリキの太鼓」('79年 西独・仏)。 ’79年カンヌ国際映画祭グランプリ作品!ダビッド・べネントの名演!ギュンター・グラスの三部作からなる同名小説の一・二部を映画化!【洋画特別セール】■ブリキの太鼓■ DVD ブリキの太鼓 HDニューマスター版 【初回限定生産】 19世紀末のポーランド。不可思議な運命の下に生まれたアグネスは、 美しい娘に成長してドイツ人のマツェラートと結婚するが、 ポーランド人のヤンとも密会を重ねていて、 やがて男児を産む。 男児はオスカルと名づけられ、アグネスは「この子が3歳になったら、ブリキの太鼓を買ってあげるわ」と語りかける。 しかし、母アグネスの不貞など、大人たちの醜さを目のあたりにし続けたオスカルは、 大人になることを激しく拒否し、階段から飛び降り、自らの成長を止めてしまうのだった‥‥ 最初に映画館で観た時は正直、あまり気持ちの良い映画じゃないなと思いました。 モイラがまだまだほんの小娘だったからでしょう。 しかし、大人になるのを拒否するがごとく、自宅にひきこもってニートとなったり、 肉体の成長を拒んで摂食障害となったりする若い人たちが増えている今、 「大人になりたくない!」というオスカルの強い思いが、少しわかるような気がします。 オスカルがいつも首から下げて手放さなかったブリキの太鼓。 肉体の成長のストップと同時に得た、太鼓を叩いて金切り声をあげたら、 ガラスというガラスがすべて割れるという超能力。 これらは、まだ言葉をうまく操れない子どもの、醜い大人たちへの精一杯の抗議だったのでしょう。 サーカス団の小人症(ありていに言えば小人)の芸人たちと、オスカルの交流が 観ていてとても興味深かったですね。 ポーランドという、四方をドイツや旧ソ連などの大国に囲まれた 常に政情が不安定だった国が舞台というのも、 成長を自ら止めた少年の不安定な心を象徴しているようでした。 時代設定は二つの世界大戦にまたがり、 歴史、特に西洋史にうといモイラには、わかりにくい部分も多かったですが、 西洋史好きの人には、かなり見ごたえがあると思います。 そしてモイラは、この映画を観て、 欧州人も鰻というものを食べるのだと、初めて知りました。 でも馬の首から出てくるのは、ちょっとねえ‥‥ あ、それから映画とはまるで関係ないですが、 モイラは只今、安納芋を売り出し中です! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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