カテゴリ:愛すべき(?)トンデモ映画
昭和30年代、松竹では優れたヌーヴェルヴァーグ作品をいくつも撮った大島渚監督ですが、
昭和37年に東映でメガホンをとったこの作品はとんでもないシロモノです。 【東映まつり】 ★ 天草四郎時貞(DVD) ◆25%OFF! 題名通り、島原の乱で一揆農民たちのリーダーとなった天草四郎が主人公ですが、 大川橋蔵演じる天草四郎は、キンキラキンの南蛮の衣装に身を包んだ美少年ではなく、 農民たちと同じ粗末な着物の若者です。 まあそれはリアリズムという観点からは良いとして、 四郎や農民たちを「美しき殉教者」ではなく、 「圧政につぶされた惨めな敗北者たち」という視点で、描いているように見受けられます。 「神は弱い者、苦しんでいる者たちに、決して手を差し伸べない」というのが、 全体を通してのメッセージとも見受けられます。 それもまあ良いでしょう。事実、この世はとても生き難い、艱難だらけの場所だから。 しかし‥‥ほとほとうんざりしたのは、 四郎とその配下のアジ演説のような聖句のやりとりです。 それが延々と続くのです。いい加減頭が痛くなりました。 60年安保の世相を反映してでしょうか‥‥? それにしても‥‥ 日本映画史上まれに見る、弁論大会時代劇映画です。 ある意味、貴重な作品かもしれませんが‥‥ これを、当時ヌーヴェルヴァーグで鳴らした松竹でやるのならまだしも、 娯楽時代劇の天王山・東映でやったんだから、話になりません。 まるっきりの水と油です。 主演の大川橋蔵も、四郎役を演じながら、かなり戸惑っている様子が伺えました。 「俺、なんでこんな学生運動みたいなセリフ、言わなきゃならないんだ‥?」みたいな。 大島監督と東映のカラーは、はなっから肌が合わなかったようですね。 以降、今日に至るまで、彼は東映では一切メガホンをとっていませんから。 大島渚1968 大島渚のすべて 大島渚著作集(第1巻) 大島渚著作集(第2巻) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 27, 2009 10:48:17 PM
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