カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
2003年、ソウルはシンチョンのシネコンで観た「アカシア」。
日本ではロードショー公開されていない心理サスペンス・ホラーの秀作です。 心優しい産婦人科医の夫と郊外で幸せに暮らすミスク(シム・ヘジン)の唯一の悩みは、 結婚10年が過ぎても、子どもができないこと。 ある時、ミスク夫婦は思い切って養子縁組をすることに決め、 とある孤児院を訪ね、そこで奇妙な木の絵を描く6歳の少年ジンソンに目をとめ、 彼を養子にした。 しかし、ジンソンは庭のアカシアの木のそばにいて、毎日木の絵ばかり描き、 なかなかミスク夫妻とうちとけない。 ミスクは次第にジンソンが疎ましくなり、そんな折、皮肉にも妊娠を知るのだが‥‥ ジンソンという子どもが、とにかく不気味でしたね。 いつも死神がつきまとっているように暗くて、少しもかわいげというものがない上、 描いた木の絵に死んだ虫を乗せるなどの奇行に走って‥‥ 彼を愛そうと思いつつも愛せないミスクの気持ち、わかります。 全体的に静かなタッチで進むサイコサスペンスですが、 ジンソンの表情と、彼が描く奇妙でなんとも不気味な木の絵が、 静けさの中の恐怖を見事に表現しています。 赤い糸で飾られたミスクの家の内装も、なんだか母親になりたくてもなりきれないミスクの屈折した心模様を表現しているようで、ぞっとしました。 話の流れそのものは、ありきたりといえばありきたりですが、 小道具の使い方が秀逸です。 ラストは‥‥スクリーンを観て、思わず「うわ‥‥」と、日本語で呟いてしまいましたね。 前の席からは、「えぐ‥‥」(うわ‥‥)という声が聞こえました。 この作品、日本語字幕のDVDが、現在ないみたいなのが残念! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 15, 2009 10:11:55 PM
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