カテゴリ:愛すべき(?)トンデモ映画
14年前、韓国映画は日本ではまだ超がつくほどマイナーで、
この作品は、単館ロードショーで上映していただけですが、 鬼気迫るものがありました。 '95年、「家族シネマ」のパク・チョルス監督の日本初公開作品 「301・302」です。 舞台はソウル江南あたり(?)の高層マンション。 302号室に住むのは、ストレートのロングヘアに度のきつい眼鏡の、 いつもすっぴんで、あまり女を感じさせない女性フリーライター。 彼女は来る日も来る日も暗い顔でパソコンに向かって原稿を打ち、まともな食事をせず、水ばかり飲んでいる。 実は彼女は、幼い頃、義理の父親から性的虐待を受け、そのトラウマから拒食症になっているのだ。 ある日、隣の301号に離婚したばかりの、明るくてちょっとケバい、オンナ全開の若い女が引っ越してくる。 彼女は料理が大好き‥‥というより、「料理したものを人に食べさせる」という行為に依存しているような女。 おまけに過食症だ。 こうして、拒食症の女と過食症の女が隣同士になり‥‥ 一見正反対のような二人の女ですが、 両者とも摂食障害で、心の傷を抱え、孤独の真っ只中。 最初は反発しあうけど、次第に互いを理解するようになるわけです。 パク・チョルス監督は二人の女の心理を 巧みなカメラ・ワークとユニークな小道具で、緻密に描写しています。 特に301号のバツイチ女が離婚に至った過程の描写が巧みで、 既婚女性ならば、誰でも一度は思いあたることなのでは? ‥‥と、思わせてしまいます。 心理描写がかなり怖くて、ラストはウゲッとなるほどキモいです。 後味もよくありません。 それだけに、忘れられない一作です。 302号室の拒食症の女を演じているのは、ファン・シネという女優。 美人なんですが、この作品ではかなり地味で中性的な役を演じております。
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