カテゴリ:愛すべき(?)トンデモ映画
1967年というのは、当時の日活にとって大変な年だったそうです。
不動産・ホテル経営などに手を伸ばしたはいいけど、次々失敗して大赤字を抱え、 本業の映画のほうもうまくいかなくなって、大きな小屋(直営映画館)を次々売却、 おまけに、映画制作担当の専務、撮影所長、宣伝部長といったトップの人たちが退陣するわで ドツボにハマる一方だったと、映画人のはしくれだったモイラの亡き父は、顔を曇らせて話しておりました。 しかし、そんな苦しい経営の中、日活はなんとお金のかかる特撮映画の製作に乗り出したんですよね。 その映画こそ、「大巨獣ガッパ」です。 大巨獣ガッパ 人気雑誌プレイメイト社の強欲社長は、南海の島の楽園を模したアミューズメントパークを作ることを計画し、 南海の珍しい動植物を採取してくるよう、記者の黒崎(川地民夫)、フォトグラファーの小柳(山本陽子)、 東都大学生物学助教授の殿岡(小高雄二)らに命じ、南海の孤島に船で出向いた。 そこで彼らは、奇妙な石像と洞窟を発見するのだが、その洞窟の中には‥‥ 冒頭、タイトルバックの当時流行だったグループサウンズ調の歌がふるってましたね。 ♪火を吹く島か 空飛ぶ岩か 宇宙の神秘 怪獣ガッパ 南の海の遥かに浮かぶ 幾万年も住んでるという 一度怒れば天地も裂ける 嵐のようなその叫び声 宇宙の神秘 怪獣ガッパ ガッパ ガッパ ガッパアアアア‥‥(少し間があって、はい山本陽子のセクシーポーズ登場!) (なぜか絶叫)ガッパアアアアアアアーーー! 歌ってるのは美樹克彦って歌手です(顔知らない)。 南海の孤島、打楽器で踊りまくる肌の浅黒い原住民、そして洞窟の中の巨大な卵とくれば、 あの名作特撮映画「モスラ」を彷彿とさせるのですが、 このガッパはモスラと違って、実に浪花節です。 だって、人間が私利私欲のためにさらったガッパの赤ん坊を、父ガッパ、母ガッパが探しに、 「わが子愛しや、恋しや、ガオーッ!」と狂ったように泣きながら、はるばる太平洋を越えて、日本列島にまでやってくるんだよ! どんな生きものだって、可愛いわが子をさらわれたら、そうするわな‥‥ このモイラだって、自分がお腹を痛めて生んだわけでもないペット(否、わが子も同然)の鶏が一羽でもいなくなった時には、 「どこかの悪たれ小僧に捕まって、いじめられてるんじゃないか」「カラスやトンビにでもさらわれたんじゃないか」と、 そりゃもう青くなって、大声で名前を呼びながら、そこら中を探し回ったものです(幸い鶏は、家の軒下をうろついていたり、裏山で呑気に遊んでいたりしてましたが)。 仔ガッパが心優しい若い人間の女・山本陽子にだけなつくというのも、これまた浪花節です。 さて肝心の特撮のほうは‥‥両親ガッパがわが子を探しに上陸してぶっ壊す熱海の温泉街は、わりとよく出来ておりましたが、 あとは子どものおもちゃレベルです。 特にひどかったのが、南海探検の船と海。寄せ打つ波が船の全長ほど大きいんだもん!話にならない! だけど‥‥「経営難の中、よく日活もこんなの作ったよ」とは思います。 「ゴジラ」の封切当初(1954年)は「ふん、怪獣モノなんてガキくさい」「ゲテモノ映画」と、鼻で笑っていた映画人たちが、 そのシリーズの世界的大成功を無視できなくなり、「うちの会社も!」といった便乗根性は全くもって否めませんが (事実、ガッパが封切られた'67年には、松竹も「宇宙大怪獣ギララ」を製作、封切りしております) 「まあ、こういうのもありだよね」と、なんとなく許せちゃう作品です。 けれど、この作品を名画座で観たモイラには、「大巨獣ガッパ」の文字が、 「大赤字ニッカツ」に見えて仕方がなかったです。 あッ、そういえば'67年って、あの鈴木清順監督が日活を追われるはめになった名作映画「殺しの烙印」も封切られた年だ! なんかすごい年だったんだな‥‥(遠い目) [DVDソフト] 宇宙大怪獣ギララ 大怪獣ガメラ Blu-ray(BD) ◆20%OFF! ☆【送料無料】 BD/邦画/大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス (Blu-ray)/DAXA-1113 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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