カテゴリ:愛すべき(?)トンデモ映画
1978年は、「未知との遭遇」、「スター・ウォーズ」といった、ハリウッドのSF大作が日本で公開され、
それはもう大反響を呼んだものですが、 この年のゴールデンウイークに、日本でもすごいSF大作が製作、公開されたんですよね。 しかも、製作したのはかつては時代劇、この頃はもっぱらヤクザ映画で雄叫びをあげていた東映! ‥‥日本映画大好きの方は、もうおわかりですね。 "Massage From Space"‥‥「宇宙からのメッセージ」です!! 銀河系の遥か彼方の平和な惑星ジルーシアは、 全宇宙征服を企むガバナス人の侵略を受け、事実上崩壊したが、 ジルーシアの長老キド(織本順吉)は孫娘のエメラリーダ(志穂美悦子)に、 ガバナス人たちを相手に戦う戦士8人を呼び寄せる8つのリアベの実を託した。 リアベの実は宇宙の八方に散り、退役(正確にはクビになった)将軍ガルダ(ビック・モロー)、 宇宙暴走族のアロン(フィリップ・カズノフ)、シロー(真田広之)、 財閥のお転婆娘メイア(ペギー・リー・ブレナン)、 なぜか大阪弁のチンピラ・ジャック(岡部正純)らのもとに渡ったのだが‥‥ 里見八犬伝をベースにした物語ですが、 何がすごいのかって‥‥まずキャスティングです。 なんたって、あの「コンバット」のビック・モローを、アメリカから呼んだんですからね! 共演は大作映画といえば顔を出さないことが滅多にない丹波哲郎(地球のトップリーダー・アーネスト・ノグチ役) 宇宙征服を企む邪悪なガバナス皇帝のロクセイア12世には、成田三樹夫。 ガバナスの正当な後継者であるハンス王子には、千葉真一。 エメラリーダを守る側近ウロッコには、佐藤允。 みんな東映のアクション、戦争、ヤクザ映画でお馴染みの顔ぶれです! ああ、忘れるところだった。東宝特撮によく出ていた天本英世も、 ロクセイア12世の母親・皇太后ダーク役(世にも凄まじい女装!)で出演しております。 そうそう、女装といえば、エメラリーダとウロッコを罠にはめる老婆役の三谷昇もすごかったな‥‥ スタッフも豪華絢爛な顔ぶれです。 まず監督が、なんとあの「仁義なき戦い」シリーズの深作欣二! 原案者とキャラクター・デザイナーの中には、「サイボーグ009」「仮面ライダー」の漫画家・石森(のちに石之森)章太郎もいます。 でもって、脚本は「女囚さそり」シリーズや「柳生一族の陰謀」の松田寛夫なのですから。 日本人がカタカナ名前を名乗って、異星人や国籍不明の地球人を演じている‥‥ まさに、日本映画史上に輝く大コスプレSF大作ですね! 皇帝ロクセイアに扮した成田三樹夫のメイクとコスプレは、マジですごいです! いいオッサンが、よく恥ずかしくなかったなと思うくらい‥‥ 反対にビック・モローのコスプレは最低でした。 特に成田皇帝に拝謁する時の真っ赤で襟や袖に安手のキンピカが光るジャケットには、唖然となりました。お前は風俗店のサンドイッチマンかあ~~~???!!! 志穂美えっちゃんの純白のプリンセス・コスプレは、まあまあの出来でした。 ただ、この人は「どんな役を演じても志穂美悦子」ですね。 それでも、当時の東映では(たぶん)一番の美女だったから、まあ許してあげましょう。 で、肝心の特撮はというと‥‥これが今観たら、かなり秀逸な出来です! 洋画ファンたちは、「未知との遭遇」「スター・ウォーズ」の便乗作品と鼻で笑い、 映画評論家どもからも、そういう声は多かったようですが、 なんのなんの、ハリウッド映画と何らの遜色もない! 宇宙船が狭いトンネルや直径10メートルのパイプの中をビュンビュン飛ぶシーンは、めっちゃカッコいい! 当時のアナログ特撮の限界に挑んでいますからね。見ものです! この映画も正直なところ、迷いに迷ったんですよ。「トンデモ映画」の範疇に入れるか、それとも「いわゆる正統派」の範疇に入れるか‥‥ しかし、大の大人たちが大真面目にものすごいコスプレをやっているという点から、 やっぱり「トンデモ映画」に指定することにしました。 モイラも特撮大好き万年映画少女だけど、モイラよりもっとコアな特撮ファンの人、気を悪くしたらごめんなさいm(__)m あ、最後にもうひとつだけ。森岡賢一郎の音楽もめちゃくちゃカッコよかったです! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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