落語「く」の35:競べ(くらべ)
【粗筋】 モノ比べでいつも負けて帰る亭主が、「モチモノ比べに行くから銭をくれ」と言う。女にあきれて、「いい加減にしておくれ。また負けるに決まっているじゃないか」「今夜限りだ。どうか出してくれ」 仕方なく金を出すと亭主勇んで出掛けたが、やがて帰って来た。「また負けたんだろう」「いや、勝った勝った」「まあ、お前さんより粗末なものがよくあったもんだねえ」「いや、今日はモノ比べじゃねえ、玉比べだ」【成立】 安永2(1773)年『今歳花時』の「比べ」。誰のを聞いたんだっけ、柳家小さん(5)か、金原亭馬生(10)のどちらかと思うが……何を比べているのか、うぶな私にはよく分からない。 同年『さしまくら』の「福徳」は、旦那がモノ競べで見事優勝、女房が「どこぞにボボくらべの会があったら、知らせて下さい」という。大きいのを競う噺は「大根」の関連でご紹介。