OK散歩39「青森スペシャル」:その10「白神山地」
「青森のスペシャル。さあ、今度は世界遺産の白神山地へ参ります」「奥まで車で行けるんですね」「狭い道だったが、自民党の女性代議士が道を広げさせた」「へえ」「それで誰でも行けるようになって、どんどん人が来る」「いいですね」「車の来る所の木を見ると、下半分が色が変わっている。車の排気ガスや人間が多いために変化してしまっているのじゃ」「あら……じゃあ、大変なんだ」「自然を守るのは大変なのじゃよ」「ブナ林へ入って行くぞ」「あれ……なんで横に生えているんです」「よく気付いたね。雪の重みでこうなるの。これに耐えて大きくなると上へ上へ伸びて行くのじゃ」「自然の力なんですね」「こうしてこんなに伸びて行く」「はい」「さあ、林道を歩く……他は立ち入り禁止じゃぞ」「はい」「ブナの木」「こぶがありますね」「この木は中に水を蓄える。それが欲張って水を取り入れすぎたのがこぶ」「へえ」「こちらは根。隣と絡み合っていく」「不思議な木なんですね」「これがブナ林の素晴らしさ。土中の水が適度になり、土砂崩れが起こらない。更には、一本の木の根元が崩れても、互いに支え合っているので土砂崩れは起こらない」「すごいんですね」「この夏の事故、杉林だから起こったのじゃ」「へえ」「余った水は湧き水となり、流れとなるが、さっき言った通り、これが異様に増えることはない」「はい」「30分ほど後、ここにクマが出た」「へえ」「さあ、話は戻るが、ブナが消えて杉になったのは人間がやったこと」「そうなんですか」「さっき述べたように、水を含み、材木として使えない。それから写真のような大木になるのに80年も掛かる。それならブナを捨てて、杉を植えれば、早く育って金儲けが出来るという訳じゃ」「身勝手なものなんですね」「京都の北山杉のように、あそこまで育てればまあ見応えもあるのじゃが……」「あれも人間が作ったんですね」「もう一つ、人間が駄目にしているのが、木に彫りつけた落書き」「何でそんなことをするのでしょう」「マタギが山に入って木の表面に薄くマークを付けた。それを真似した素人が、深々と彫り付けたそうじゃ」「それで木を駄目にするんですね」「キノコが数種類あったが、幽霊茸だけをご紹介」「はい……名前で選んでますね」「さあ、木に残っていた熊の手の跡」「すごいですね」「あ、出た……熊さん」「失礼な……ガイドさんでしょう」「こちらがブナの双葉」「可愛い」「それがこんなになるが、杉と比べると、同じ年数で細い木になる程度」「なるほど……」「こういう歴史を考えると、この夏の土砂崩れは人災だったということじゃな」「はい。勉強になりました」