137:お歴々(おれきれき)
【粗筋】 賭場で芽が出なかった博奕打ちが、着物をはがれて帰って来ると、田んぼで蛙が鳴いている。それが、「ハダカダ、ハダカダ……」 と聞こえるので、癪に触って踏みつぶそうとすると、通りがかった隠居が蛙を買い取って逃がしてやる。蛙は田んぼへ戻ると、「アンタガタ、オレキレキ」【成立】 東京では小噺であるが、上方では踊りの前に一席として演じたという。 蛙の声が人間の言葉に聞こえるという小噺で、三遊亭圓生(6)が「紀州」で音が言葉に聞こえる例として、「夜鷹」などと一緒に取り上げている。日本昔話集成420には、動物の鳴き声が人間の言葉に聞こえるものを集めてある。その題名が「嘉兵衛鍬」は、カラスが「嘉兵衛、鍬~」と、鍬を忘れたのを教えてくれたという話。落語では「鍬烏」。【蘊蓄】 あをがゑるこころこころと鳴きにけり(江戸の川柳)