ぢい散歩19「滋賀・京都スペシャル」:20「ホテル」
「さあ、今日も一日終わった」「行ったお寺、刺繍博物館と二条城まで加えても5ヶ所だけでしたね……報告にずいぶん掛かりました」「スペシャルじゃから」「はいはい……で、何ですか写真は」「地下鉄二条城前駅からの地下道」「長いですね」「歩いたのは約200メートル。堀河通りを越えてお堀を越えて、ホテルの前の道まで直通」「そんな写真紹介するかねえ」「その堀」「ここも桜が咲いていますね」「昔は堀河院という、九世紀後半に藤原氏が作った邸宅じゃな。『大鏡』では兼通がここに住んだので、堀河殿と呼ばれておる。『讃岐典侍日記』にはここが御所となり、帝が亡くなる様子が描かれている。その天皇はそのため堀河天皇という」「珍しくまともな説明をしています」「さあ、この建物が京都国際ホテル。今夜の宿泊施設じゃ」「はい」「ここは幕末の福井藩士、橋本左内が、安政5(1858)年の2月から4月まで住んだ場所」「二か月だけですか……橋本左内って……聞き覚えがありますが……」「徳川慶喜を将軍にしようと画策して、京都で裏工作をしていたのじゃ。井伊直弼が大老になったために失敗。翌年の安政の大獄で処刑される」「あ……あの人だ」「そう……こちらがお墓。南千住駅前の回向院にある」「今年は色々縁がありますね」「こちらは千住大橋の近く、お墓の周り鞘堂が移設されている」「ここも今年行きましたね」「中に作られた像」「不思議な縁ですね」「まあ、もちろん狙ったのじゃが……このスペシャルも、井伊大老の生まれた彦根からこのホテルと、歴史を狙ったのじゃ」「はいはい」「ホテルの絵葉書」「あら……ホテルの紹介と言いながら、ホテルの中身はないね」「ホテルのトレードマークになっている牛車」「無理してホテルの写真使わなくてもいいじゃん」「ホテルの庭。白鳥がいて、小さいが桜も……」「はい」「さて、部屋には短冊があって、季節の句が書かれている。わしの部屋は、 活けし梅一枚強く壁に触る という誓子の句。なかなかいい字で書かれていたぞ」「はい、写真は省略ですね……出ている写真は」「夕陽が沈もうとしている。はっきりした屋根はホテルのもの。その向こうが二条城じゃ」「この後、夜桜見物に出たんですね」「夜の写真。手前が庭園の桜。左上が夜桜でも紹介した櫓。右上の細く見えるのは二条城じゃよ」「へえ」「はい、同じ場面の朝の写真」「なるほど」「ということで、二日目は終了。歩いたのは万歩計で15400歩。わしの普段の歩きからなら10キロちょっと。 交通費は全てゼロ、土産代はゼロ、オプションの二条城は普通は400円」「普通はって……」「わしゃ引率じゃから……」「せこいね」「京都に来る度に訪ねているが、わしはいつも引率者を装ってタダで入っている」「胸を張るな」「それで、夕食の代金5000円。お賽銭が各寺社に10円ずつで、同じ境内に色々あるから、トータル60円」「ケチだね」「そういう訳で、最終日は自由行動でございます」「また次回」