69:生まれ変わり(うまれかわり):2
【粗筋】 死んだ人があの世の入り口まで来た。このままあの世に行ってもいいが、生まれ変わりを申し込むことも出来る。生まれ変わりは人間でも他の動物・植物でもいいが、人間はつかえていて、順番が回って来るまで数十年、数百年掛かる。何に生まれ変わるのがいいか、3回までは取り消しが出来る……というが、5秒以内にどっちか返事をしないと勝手に決められる。 木を選ぶが、屋久杉か、ヤシの木か、北海道の原生林か、それは運しだい。決められるのは、寿命が尽きた後で柱か板か、天井板か床板か……あまりいいとは思えず、やり直し。 やっぱり人間がいい、男で戦争の時代に生まれても……というので女性を選ぶ。美人か不細工かは選べるが、性格は選べない。男で苦労するか、子育てで苦労するか……出来るだけいいものを選ぼうとして試行錯誤するが、どうなっても大変。 もういい、最後のやり直しを使う。いいものを選ぼうとするからいけないのだ、と全て悪い方を選ぶことにした。男で、気が小さい、喧嘩も弱い、女運が悪くて、先行きの見えない仕事で…… というわけでこの男が1943年に生まれ変わって、この世に生を受け、この私となったのでございます。【成立】 桂文枝の創作落語、第154作目。2003年6月初演。女運が悪いんだって……確かに、色々問題があったねえ。