ぢい散歩12「北千住・芭蕉碑めぐり」:その2「やっちゃ場から源長寺」
「北千住に来ております」「前回の奥の細道からやっちゃ場の跡地に入ります」「やっちゃ場って、何でしたっけ」「青物市場。野菜という言葉がなまったのかと思っていたが、セリの声から出たというのが正解らしい」「はい」「中にある千住プチテラス。ここにも芭蕉の句碑がある。 鮎の子のしら魚送る別哉(わかれかな) 市場からの句じゃろうか。奥の細道でも、 行く春や鳥鳴き魚の目は泪 というのが市場に並ぶ魚だという説を出した人もいる」「はい、おかしいですね」「ここに句碑が多いのは、俳句が盛んだったから。これは昔の句会を描いた絵」「へえ」「菖蒲園という俳人がいて、入口の芭蕉像の所にもその人の句碑がある」「そういう土地だったんですかねえ」「さあ、やっちゃ場を抜けると、道路の向こうに見えるのが源長寺。この地を開拓した石出某(なにがし)が1610年に開いたが、千住大橋の架橋などに努力した郡代の法名を寺の名として開基としたという記録がある」「こちらには何がありますか」「円朝燈籠」「落語の三遊亭円朝が寄進したというんですね。下の方に名前が彫られています」「女行者、心静法尼の墓」「どういう人です」「さあ……円朝と関連があったと思うが、ちょっと……」「調べなさい」「まあ、そんな具合で、次回に続く」