16:明石飛脚(あかしびきゃく):「ドッコイサノサ~」
【粗筋】 足自慢の男が飛脚の代理を頼まれて、大坂から明石までの14里を鳴り物入りでり出す。西宮で,「もし、大坂から明石までなんぼおますやろ」「そりゃ14里や」「だいぶ走ったつもりが全然進んどらんな……ドッコイサノサ~」 三宮、兵庫、須磨と進んで行くが、どこで尋ねても、一向に距離が減らない。疲れ切って神社の側の茶店で寝込んでしまった。「これ、起きなされ」「ここはどこだす」「ここは人丸神社、明石や」「えっ、明石……ああ、走るより寝てる方が早い」 【成立】 男は無事明石に着くことができるのかというサスペンスと、目を覚ましてからの意外な真相……上方ミステリーの傑作。「雪隠の飛脚」「うわばみ飛脚」と続く三部作の一作目。見逃すな。