落語「こ」の132:こんな顔(こんなかお)
【粗筋】 夜、川堤の柳の下に若い女が立っている。身投げでもするのかと心配して声をかけると、振り向いた顔が、目も鼻も口もないのっぺらぼう。びっくりして逃げ出し、うどん屋を見つけて飛び込み、今見た話をすると、「その女は、こんな顔ですか」と振り向いた顔が、またのっぺらぼう。【成立】 『日本昔話集』441の「こんな顔」。小泉八雲の『怪談』では狸の仕業ということで「ムジナ」という題を付けている。この後帰ってから女房にこの話をすると、女房まで「それはこんな顔ですか」と言って見せた顔が、またのっぺらぼうになるという演出もある。三升屋小勝(右女助)は「ノッペラボー」という題名で、どこまで行っても終わりのない話として演っていた。上方では「のっぺらぼう」ではなく「ズンベラボー」と言うらしい。