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2019年04月29日
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山梨県の怪談○(江草・えぐさ)孫右衛門

 

『裏見寒話』「追加」(野田成方編)より、一部加筆

 

甲斐の北逸見筋江草村(現在の北杜市須玉町)の山中に異人あり。

延宝(167380)の頃迄は村人、

山に入れば何処ともなくやってきて、

樵夫(きこり)にまじわり斧を持て助力をする。

名は孫右衛門と云よし。折々人に語りかける。

 

我は上州(群馬県)の産、壮年にして父母を失い、

それより大酒・放蕩、親族の諌めを聞かず。

皆に見放され、生国を去ってこの国に来る。


 その時は武田信玄の世の盛りと覚えている。

 我、元來剛力.勇猛、深山に入って猟をし、
  鹿・猿・狐・兎の類を食とし、村へ出ない事数ケ年、

  自然と山谷を我が家として年月を経る。

三十年以前までは府下へも出た、近頃は人の交りがるさく、

常に甲(甲斐)豆(伊豆)遠(遠江)山を回って楽しみとすると云う。


 樵夫らが飯を与えれば喜んで食す。

其後は折々人に見える程度で、人家に近よる事なし。

然るに、正徳(171115)の頃、

江草の村人が山に入って草を刈るに、

異形の者巖上に立つのを見る。

髪は眞白にして、その髭胸に届き、眼光燗々たり。

これを見る人、魂を失ひ已に迯(にげ)んとするに、

忽ち狂風が起り、黒雲山頭に満ち、雷鳴草を貫く。

これ、孫右衛門の熟睡の場を知らずして、

草を刈って驚かせしたからだと云う。

今も時々姿を著わす、

村人は恐れて「孫右衡門天狗」という。






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最終更新日  2021年04月23日 19時11分54秒
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