山梨県歴史文学館　山口素堂とともに

朝のちゃんこ（お焼き）は表から焼ける

　ちゃんことは、おやきの事である。主として玉蜀黍（とうもろこし）の粉を焼いたもので、主食にしていた時代があった。

　こねた粉を丸くまるめて平たくして、炉ばたの熱灰の中で焼き上げる。

　ところが朝は灰が冷えているので、火の側だけが焼ける。その為に、朝のちゃんこはよほど注意深く位置をかえながら、両面にうまく大が当るようにしないと、おいしく焼き上げる事ができない。

　どんな事でも、正しく判断し、上手に処理をするには、一方だけではいけない。また片方の意見を聞いて判断したり、信じこんだりする事は危険である。私たちは、ともすれば人の話をそのままうのみにして他人を非難したり、偏見をもったりする。また自分の都合のいいように判断してしまったりする。

　　『朝のちゃんこ』じゃあいけんぞ」

　物事を判断したり、行動する時は、よく聞き、見、調べ事実とたしかめる事を忘れてはならない。