山梨県歴史文学館　山口素堂とともに

悪妻は百年の不作

実際に、このように嘆いている夫が多数いるとみえて、古今東西この種のことわざは誠に豊富である。

［悪妻は家の破滅］

「一生の患は性悪の妻」

「良い女房は一生の得」

「つまづくウマは車を破り、悪婦は家を破る」

とか、また西洋でも

『君が良い妻をもてぱ率福者になるであろうし、悪い妻をもてば君は哲学者になるであろう』　　（ソクラテス）、

［悪妻はその夫の破滅である］

といわれている。

これだけいえばわかるように、男にとって悪い妻をもつと一生の不幸であるばかりでなく子孫の

代まで悪い影響をもたらすことになるから、結婚にあたってはよくよく注意しなければならないと

いう教訓である。

転じて、このように男の生活を左右する妻の陰の力の大きさを認めているともいえる。このほか、悪い妻をもった愚痴としてもつかわれる。悪妻、悪妻というが、これを悪夫に置きかえても面白いのではないか。

　さて問題は悪妻とはどんな女かということになるか、それは悪妻をもった不運な夫のみが知るこ

ととなるであろう。