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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2021年06月13日
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カテゴリ:文学資料館

  元禄名句集

 

其角

   鐘ひとつ売れぬ目はなし江戸の春

   鶯の身を逆にはつねかな

   明星や桜さだめぬ山かづら

   越後屋にきぬさく音や衣更

   夕立や田を見めぐりの神ならば

   切れたる夢は誠か蚤の跡

   名月や畳の上に松の影

   声かれて猿の歯白し峰の月

   此木戸や鎖のさふれて冬の月

嵐雪

   元日や晴(れ)てすゞめのものがたり

   濡縁や薺こぼるゝ土ながら

   不産女の雛かしづくぞ哀なる

   竹の子や児の歯ぐきのうっくしき

   名月や煙はひ行(く)水の上

   蒲団着て寝たる姿や東山

   梅一輪一輪ほどの暖かさ

杉風

   馬の頬押のけつむや董草

   ふり上ぐる鍬の光や春の野ら

   五月雨に蛙のおよぐ戸口哉

曾良

   終宵(ヨモスガラ)秋風聞くやうらの山

   なつかしや奈良の隣の一時雨

嵐蘭

   百舌鳥のゐる野中の杭よ十月

素堂

    かまくらにて

   目には青葉山ほとござすはつ松魚

   浮葉巻葉此蓮風情過ぎたらん

   あはれさやしぐるゝころの山家集

桃隣

   白桃や雫もおちず水の色

沾圃

   うぐひすや降ルも長閑き日照り雨

子珊

   二の膳やさくら吹込む鯛の鼻

木因

   星祭嬉しや桃の苦からず

荷分

   こがらしに二目の月のふきちるか

杜国

   大木や空はひとつに花の波

越人

   うらやまし思ひ切る時猫の恋

野水

   一いろも勤く物なき霜夜かな

濁子

   山吹をいさむる蝶のその羽談

荊口

   藪畔や穂麦にとゞく藤の花

此筋

   逢坂や雪の師走の車道

千川

   傘(カラカサ)や雪見ながらの城通ひ

如行

   紅梅のつぼみを落る雫かな

落梧

   飛入てしばし水ゆく蛙かな

知足

   蘭の香やほのかに光る金屏風

菐言(ぼくげん)

   浦は町やむかしの鳴海啼ちどり

尚白

   菜の花に日闌(ヒタケ)て起し朝かな

   松かさの埋火深し里の雪

   湖を屋ねから見せん村しぐれ

   みちばたに多賀の鳥井の寒さ哉

   葉畠や二葉の中の虫の声

千那

   君見ずや奥の吉野の朧月

   よみ残す秋海棠の夕かな

洒堂

   いろいろの名もまぎらはし春の草

   鳩ふくや渋柿原の蕎麦畠

   目の影やごもくの上の親すゞめ

   苅かぶや水田の上の秋の雲

    呂丸追悼

   鴈一羽いなでみやこの土の下

乙州

   かき上る泥の上干や梅の花

智月

   詩巻や氷にまじるちりあくだ

曲水

   おもふ事だまつて居るか幕(ヒキガエル)

正秀

   白雨(ユウダチ)に河追あぐる裸馬

木節

   屋根葺きや比良の時雨の晴て行

角上

   蕎麦粕の枕の音の寒さかな

去来

   うごくとも見えで畑うつ男かな

   花守や白き頭をつき合せ

   湖の水まさりけり五月雨

   あき風やしら木の弓に弦はらん

   応々といへどたゝくや雪の門

凡兆

   鶯や下駄の歯につく小田の土

   鷲の巣の樟の枯枝に目は入ぬ

   すゞしさや朝草門ンに荷ひ込

   市中は物のにほひや夏の月

   灰汁(アク)桶の雫やみけりきりぎりす

   時雨るゝや黒木つむ屋の窓あかり

   門前の小家もあそぶ冬至哉

   呼かへす鮒売見えぬあられ哉

   下京や雪つむ上の夜の雨

羽紅女

   霜やけの手を吹てやる雪まろげ

史邦

   広沢やひとり時雨るゝ沼太良

風国

   師走にもたつや高瀬の水煙

卯七

   爪紅の濡色勤く清水哉

丈草

   大はらや蝶のでて舞ふ朧月

   春雨やぬけ出たまゝの夜着の穴

   時鳥啼や湖水のさゝにごり

   夕立にはしり下るや竹の蟻

   幾人かしぐれかけぬく勢田の橋

   うづくまる薬の下の寒さ哉

   鷹の目の枯野に居(スワ)る嵐哉

   淋しさの底ぬけてふるみぞれかな

   水底の岩に落つく木の葉哉

半残

   物ずきやながめて寒き石の苔

土芳

   おもしろう松笠もえよ薄月夜

   かげろふやほろほろ落つる岸の砂

   梅ちるや糸の光の目のにほひ

猿雖

   雪の目やうすやうくもるうつし物

卓袋

   ぬり直す壁のしめりや軒の花

雪芝

   折々や雨戸にさはる荻のこゑ

楕風

   かんがりと消て物うきかやりかな

呂丸

   かなしさの胸に折レ込枯野かな

不玉

   水無月の水を種にや水仙花

浪化

   二三目蚊屋のにほひや五月闇

北枝

   焼けにけりされども花は散りすまし

   馬かりて燕追ひゆく別れかな

   川音や木槿さく戸はまだ起きず

   馬洗ふ川すそ闇き水鶏(クヒナ)かな

牧童

   月影や海の音闇長廊下

   句空冬瓜のかくてもあられ降夜数

秋之坊

   声ほそき小鴨にはるゝ雪次数

一笑

   心から雪うつくしや西の雲

桃妖

   すゞむしの啼そろひたる千ぐさ数

許六

   部の花に蘆毛の馬の夜あけ数

   +団子(トヲダコ)も小粒になりぬ秋の風

   新わらの屋根の雫や初しぐれ

李由

   やぶ人や親なき里の春の雨

   鱈船や比良より北は雪げしき

謀竹

   川の瀬やむかしながらの芦の角

車庸

   おろくし妻に呼るゝ猫の顔

   美濃紙や一重はのめく除夜の梅

舎羅

   世中は成しだひ也ふりなすび

園女

   行秋や三十日の水に星の照り

   さゆる夜のともし火すごし眉の剣

路通

   肌のよき石にねむらん花の山

   火桶抱いておとがひ臍をかくしける

   鳥共も寝入つてゐるか余谷の海

   いねいねと人にいはれつ年の暮

支考

   春雨や枕崩るゝうたひ本

   船頭の耳の遠さよ桃の花

   馬の耳すぼめて寒し梨の花

   食堂(ジキダウ)に雀啼なり夕時雨

   呵られて次の間へ出る寒さ哉

   歌書よりも軍書にかなし芳野山

惟然

   うめの花赤いはいはあかいはな

   別るゝや柿喰ひながら坂のうゑ

   更行や水田のうへの天の川

   蜻蛉や日は人ながら鳩の海

凍菟

   尻ふりて蛤ふむや南風

乙由

   諌鼓鳥(カンコドリ)我もさびしいか飛んで行く

露川

   栗ぬかや庭に片よる今朝の秋

野坡

   時雨るや町屋の中の薬師堂

   ほのぼのと鴉黒むや窓の春

   山伏の火をきりこぼす花野かな

   小夜しぐれ隣の臼は挽やみぬ






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最終更新日  2021年06月13日 12時30分43秒
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