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2021年09月29日
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カテゴリ:俳諧資料室

これは、一茶が九十二歳で故郷に退き、生れて初めて花嫁を迎へ家庭をつくった時の婚礼の光景を繪にかき、感想を文につづり句に詠んだ珍らしい遺稿であるが、(二四)と番號を打ってあるところを見ると、「おらが春」のやうな隨筆集の未健見の稿本が他に一冊あり、これがその断片であるらしい。

これは最近私が信濃柏原の某氏の手を経て得たもので、その後更に(二八)(二九)と丁数を記入した二葉をも得た。内容が本書と闘保が深いので特にこゝに掲げることにした。(御風紀)

 

 

他力信心々々と一向に他力にちからを入て

頼み込み候輩はつひに他力繩に縛れて自力

地獄の炎の中へほたとおち入候其次にかゝる

きたなき土凡夫をうつくしき黄金の膚になし

くだされと阿彌陀佛に押し誂へに誂はなし

にしておいてはや五體は佛染み成りたるやうに

悪るすましなるも自力の張本人たるべく候

問ていはくいか様に心得たらんには御流儀に

叶ひ侍りなん答ていはく別にむつかしき

子細は不存候たゞ自力他力何のかのいふ

芥もくたをさらりとちくらが沖へ流して

さて後生の一大事は其身を如来の御前

に投出して地獄なりとも極楽なりともあなた

蜐(きょう)の御はからひ次第あそばされくださりませ

と御頼み申はかり也

如斯決定しての上にはなむあみだ佛と

いふ口の下より秋の絹をはるの野に手長

蜘の行ひして人の目を霞の世渡る雁

のかりそめにも我田へ水を引く盗み心を

ゆめゆめ持べからずしかる時はあながち作り

聲して念佛申に不及ねがはずとも佛は守り

給ふべし是則當流の安心とは中也穴かしこ

   

ともかくもあなた任せのとしの暮

  

文政二年十二月廿九日  五十七齢

 

一茶坊






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最終更新日  2021年09月29日 16時14分11秒
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