排卵障害 その2
治 療 法☆薬物療法 排卵は FSH と LH というホルモンが卵巣に働きかけて起きます。 これらのホルモンが不足したり、その作用が十分に卵胞に伝わらないと 排卵障害が起こります。 これらのホルモンを補う働きをするのが 排卵誘発剤です。 排卵誘発剤には クロミフェンなどの飲み薬と、hMG-hCGの注射薬があります 一般的には クロミフェンから始めて、効果がなかなか上がらないときに hMG-hCG療法に切り替えます。 排卵誘発剤は 排卵が無い人だけじゃなく、排卵が遅れる(低温期が20日以上 続く)、排卵しにくい、卵胞が十分大きくならない人にと使用されます 1・クロミフェン (商品名: クロミッド、セロフェンなど) クロミフェンは、体にエストロゲンが不足していると錯覚させて、エストロゲンを 出させる FSH、 LH をよりたくさん分泌させる飲み薬です。●服用方法 クロミフェンは原則として、生理周期5日目から、5日間服用します。(服用方法は 薬を使う目的、症状、医師の治療方針によっても違ってきます) 薬の効き方は個人差があるので、1日に1錠から始めて、効き目がなかったら 量を増やしていきます。(1日に3錠くらいまで) 排卵障害の人に使うと 約60%の人に排卵がきちんと起こるようになります 生理周期12日~20日目ごろに 排卵が起こります。 より排卵効果を高めるたねに ほかの薬を併用することもあります 多嚢胞性卵巣には 副腎皮質ホルモン や メトホルミン 高プロラクチン血症には ブロモクリプチン などです。●副作用 ただ、約30%の人は 頸管粘液が減ったり、子宮内膜が薄くなるなどの症状が 出て かえって妊娠しにくくなる事もあります。 また 服用量が多いと、頭痛を起こしたり、なかには 服用中に目が見えにくくなる こともあります。 クロミフェンを服用して妊娠すると、多胎になることもありますが、その確率は 5%以下で、ほとんどは双子です。 クロミフェンをしばらく服用しても 排卵が起こらない時は、hMG-hCG療法に 切り替えます。 また クロミフェンを半年くらい飲んで タイミング療法を行っても 妊娠しない時も hMG-hCG療法に替える事が多いです。 2・hMG-hCG療法 (hMGの商品名: ヒュメゴン、 パーゴグリーン、 HMG日研 HMGフジ、 フェルティノームP など) hMG は FSH と同じ働きをするホルモンで、卵巣に働きかけて、卵胞を大きく 育てます。 hCG はLHと同じ働きをするホルモン剤で、排卵を促します。これらのホルモン剤は 直接 卵巣に働きかけるので、排卵効果はとても高いのです。●使い方 両方とも注射薬なので、注射を受ける日は通院しないといけません。 生理周期3~5日目から 原則として排卵がある日まで 毎日hMG の筋肉注射を 行います。 数日ごとに超音波検査で卵胞を観察して、卵胞が十分大きくなったら、hCGの注射 を打って、排卵を起こします。 クロミフェンなど 他の薬と組み合わせたり、注射を打ち始める時期や 注射をする 薬の量、回数など さまざまなバリエーションがあります。●副作用■卵巣過剰刺激症候群 (OHSS) 排卵したあと、卵巣が腫れて 腹水などが溜まるOHSSが約10%の人に起こります 稀ですが ひどい時は、血栓症(血液が固まって血管内に血栓を作る)などの重い 病気を起こすこともあります。 お腹がひどく張ったり 息苦しくなったり おしっこが出にくくなった時には 直ぐに 病院を受診します。 多嚢胞性卵巣の人はOHSS を起こしやすいので、特に注意が必要です。■多胎 hMGを注射すると たくさんの卵胞が同時に大きくなり 一度に何個か排卵します すると それらが同時に受精してしまい、着床すると、多胎になることがあります hMG-hCG療法で 妊娠した場合、約13%が双子 約7%が3つ子以上の多胎に なるといわれています。