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夢先生の玉手箱-annex

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2009年04月10日
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結局Yは、年下のボランティアメンバーと
行動を共にすることを希望し
児童館、小学校、孤児院などを
一緒に訪問して回った。

そして彼は、一生懸命に日本のことを知ってもらおうと
現地の子どもたちと交流する姿に打たれ
自分も同じように感動を分かち合いと考えるようになった。

例年、帰国する日の夕方
孤児院で「さよならパーティー」を催し
涙でお別れするのだが、
今回は特に感動的な別れのシーンだったという。
(残念なことに私はそのシーンを目にする事はなかったのだが…)

すべての交流が終わった後
孤児院の生徒が挨拶をした。
「私たちは、みなさんのおかげで日本語の勉強ができ
 コンテストで入賞することができました。
 ありがとうございます。
 皆さんがいなければ、今の私たちはありません。
 でも、私たちは皆さんがしてくれるように
 皆さんに何かをしてあげることはできません。
 その代わりに私たちは神様に皆さんの健康と幸せを祈ります」

と涙ながらの言葉に、生徒達は皆泣きながら
「皆さんがいてくれるから、私たちは日本語を教えることができ
 こんなに素晴らしい時間を過ごすことができます。
 ありがとうございます。」

この言葉に日本語の先生も涙を流したと
現地スタッフから報告を受けた。

孤児院から帰ってきた生徒たちは、
皆、泣き顔で口々にさよならパーティーのことを
聞いてくれるなと言いながら、思い出し涙をこぼしている。

Yに「あなたも泣いたの?」と尋ねると
「自分は何もしていないから泣けませんでした。
 次ぎの機会には、一緒に泣けるように、
 しっかりと日本で活動していきたいです。」
と、答えた。

彼は、海外研修に同行した感想文に次ぎのように書いていた。

「医学部志望を止めた原因が「医者は人を助ける仕事、
 ボランティア精神が無ければダメ、自分勝手で、
 自分さえ良ければよい、と考えている自分にボランティア精神など
 あるはずがない」ということでした。
 その為、今回教室のボランティアに参加したいと心から思えたこと、
 それが最大の収穫だと思います。

 今まで教室で、海外研修の写真や作文を目にしていても、
 「募金をすると、自分にどんなメリットがあるのだろう」
 そんな考えを持っていて興味を持つことも、
 参加することもありませんでした。
 今回行動を共にさせてもらってメンバーの皆さんのさまざまな
 テーマで日本の文化を伝えようという姿も必死で、
 そんなメンバーを見た小学校の子どもたち、児童館の子どもたち、
 専門学校の生徒達、そして孤児院の子どもたちの日本文化を知ろうという
 姿勢も印象的でした。
 最初は、小学校を見たいという自分の目的の達成の為にボランティア活動に
 参加させていただきましたが、ボランティアに興味を持ち、
 日本でメンバーと一緒に活動して、喜びを分かち合いたいと
 思うようになりました。
 先程も書いたようにこれが最大の収穫です。
 今回の目的の一つである「将来、自分のやりたいことを決める」
 というのはまだ達成していません。
 しかし、ボランティアに興味を持てたことは、とても大きいと思います。
 また、「ありがとう」という言葉の素晴らしさも、
 ここでの生活で学びました。
 将来はやっていて「ありがとう」と言われるような
 職につきたいと思っています。」

この彼の感想文を読んで、お母さんは
「まだまだですけど、少しは成長したんですね」
と、目を潤ませた。

明日の朝、Yは帰国する。
彼の両親への第一声は何なのだろうか?
私もとても楽しみである。





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最終更新日  2009年04月10日 19時48分34秒
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