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カテゴリ:お話
「ふふ。こんな所で会うなんてね…慧朔(えのり)」
出会い頭にそんなことを言われた…。 ((ってか、あんた誰だよ!!俺知らないぞ…知らないはず…だが、なんか懐かしいと思うのは何でなんだろう…。)) 顔に出ていたのか突如前の人は笑い出した。 「あははは、やっぱ変わってな~い。多分、今『俺知らない』なんて思ってんじゃないの?」 「なっ!?違う!!」 「動揺しているから一発で分かるって!!…何で…私たちの記憶を忘れようとしたの?」 「俺はお前なんて知らない!!」 笑いながら言ったことに俺は反射的にそう言ってしまった。 「…そう。私は――よ!!また今度会いましょう」 そいつはその答えを聞くと悲しく笑い名前を言って消えていってしまった…。だが、名前は聴こえなかった…。 「えっ、何だよ聴こえない!!」 消えてしまっているのに俺は聞き返してしまった。 俺はこの生きてきた16年間の8~12才の4年間だけの記憶が欠落していた。 思い出そうとはしているんだがなかなか思い出せないでいた。 「大切な記憶の一部なのに…なぜ思い出せないんだ?その4年間に何があった?」 12歳のある日、この今住んでいる家の前に行き倒れていた。 その時、どこも行く場所がないので、そこの主人、星夜(せいや)さんに家に居候していたのだが…何を思ったのだか1年前、突如旅に出て行ってしまった…。 そして、今にいたる。 あの事件から生活が平和になったと信じていたのに…。 なにが嬉しくて、こんな目…昼ごはんの用意をしようと思い、冷蔵庫の中を見てみたら何も入ってなく、外に果物やらを取りに行こうと思いドアを開けたら、目の前には場にあってない服を着た怪しげな集団が居て、後ろの面々は拳銃を俺のほうに向けている。ついつい拳銃を向けられてるのに『この村には滅多に人が来ないはずなんだけど』と思ってしまう目ににあってるんだろう…。 多分、昨日の出来事が問題だったんだろうか…。 「慧朔君ですよね?我等と一緒に来て頂けないでしょうか?」 ((…やっぱり昨日の出来事が原因だ!!)) 全然関係ない(と思うが…)何故か昨日の出来事に八つ当たりをしてしまった。 「…どちら様でしょう?ここの家の主人はただいま留守にしておりまして。家に居ないんです…。そして、居候の身である俺が勝手に家を開ける訳にいかないので…」 ((俺の名前をいっているのに関係ないことをつい口から出てしまった…。まぁいいっか!このまま知らない振りを…)) 「ここの主人には私たちがお話いたしますので、一緒に来ていただけませんか?」 ((ヤバイ、このままだったら平和な日常が壊される!!やっと落ち着いてきたのに!!かかわっちゃいけないここは嘘の名前を!!)) 「…その前に、慧朔とは誰ですか?俺は…」 ((あぁ~名前が思いつかない~)) 「璃月(りげつ)!!」 「…あっ、き…」 続きの言葉を遮るように昨日の少女は話し掛けてきた。 「思い出した?今日、屋根修理してくれるって言ってたじゃない!!何分、私を待たせる気!!さっさと来てよ!!折角、璃月の為に暖かいお茶用意していたのに冷めちゃったじゃない!!」 そいつはすごい剣幕で近寄ってきた。 「この子は慧朔と言う子じゃないんですか?」 拳銃を向けられている人達を無視しながら俺の隣に立つ。 「璃月この人たち誰?」 そう言うとわき腹をどつかれた… 「ごふっ…なに…」 横を見ると目で何か言えと言っているようだった 「えっと…見ず知らずの人たち?」 「…なんで見ず知らずの人たちと相手しているの?こいつは璃月!!わかった?わかったらさっさと物騒な物をしまって帰っていただけますか?」 「君は誰だい?」 「そんな事貴方達には関係無いじゃないですか(黒笑)でもまぁ、あえて言うならば隣人でしょうか」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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