南風一の世界

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• 夢の　また夢

  　　夢の　また夢　　　南風一 近くに寄ってみると背は意外に小さかったのだなと思った「・・・・・・・」言葉が良く聞き取れなかったので彼女の顔に耳を近づけて「はい？」と聞くと「薬は飲まれていますか？」という「ええ妻がきちんと飲んでいます」と返答した以前から疑問に思っていることをまた繰り返し思って「独身かな？」とか「ふうむ　顔は細面できれいだけど少し歯並びが悪いなあ」とか「右の鬢の髪はなぜこんなに濃いのかな？」とかどうでもいいことを考えながら彼女の瞳をまじまじと覗き見た彼女はいつもの営業上の笑みを浮かべている「お気を付けて」という言葉に見送られながら「さて若い女性とアバンチュールできたとして　何処に面白さやわくわく感を見出せばいいのだろう？」こんな疑問が湧いてくる御仁には若い女性とのアバンチュールなど夢のまた夢なんだろう （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/08/04

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• 散髪

  　　　散髪　　　　南風一 散髪には月１回行くさっぱりして気分転換というわけではなくただ髪が伸びすぎると見苦しいしぼさぼさ頭も度が過ぎると職場のひんしゅくを買う恐れもあるという情けない理由からである学生時代は散髪はもっと不定期で外観なんてほとんど気にしていなかった月に１回散髪に行くというのはサラリーマンのしがない習性のゆえだろう何事も極端に振れることを避ける極端に振れてしまって問題化することを避けるでもそれって日々特にこれといった事件に遭遇することなく病気になることなく今日の一日をつつがなく送れるという幸福の極みじゃんと思うさて次はいつ散髪に行くかなと１か月ごとに呑気に同じ問いを発しているのは幸福な日々を送っている証かなと思う （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/08/04

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• 今を生きる

  　　　今を生きる　　　南風一 人は今日元気であっても明日の夜を生きているかどうかそれは分からないちょうど１年前の今頃まだ母は元気だったまさかそれから３か月も経たないうちに亡くなってしまうとは予想もしなかった母は当時でもう１年以上ベッドの上に寝かされていたから背中も痛かっただろうし手足を動かすことさえ億劫だっただろう昨年８月にはもう自分の手でスプーンを持って流動食を口に運ぶことさえ腕がだるいといって食事を放棄していたそんな母は「早くお迎えが来てくれないかな」と言うのが口癖だった母の身体のだるさや毎日呼吸して生きていることの辛さなど元気な私には想像もできなかったから私はただ「まだ元気なんだからお迎えが来るまでは生きていればいいじゃないの」「そのうちいよいよ死んでいくときにはお迎えが来るから。それまで待っていればいい」そんな軽口を叩いていたものだった母にとってベッドの上でものを食べることもできず自分でトイレへ行くこともできずただ毎日天井の模様ばかりを眺めているそんな日々の何処に自分が生きている意味があるのだろう？そんな風に思っていたのだろう母はまだ言葉を喋れる頃やたら自分の父親の名前を何度も口に出した私には祖父に当たるが余り可愛がってもらった記憶がないからこれといった思い出もないところが母にとっては思い出がたくさんあったのだろうまた母は８人兄弟姉妹の長女だったから父親から可愛がって貰った記憶もあったのだろうベッドの上で「マサエさんは元気か？」（マサエさんとは母の父親の名前である）私が「マサエさんはもうとっくに死んでしまったよ。俺が小学校４年生のときだったからもう４７年になる」と言ったら「嘘ばっかり。お前、嘘を言ってはいけないよ」と言ったそれから１週間後に母を病室に訪ねたときには「マサエさんは亡くなったそうだね。葬式に行けなかった」と言ったりした母は亡くなる１週間前からもう意識はなかったけれど小さい頃可愛がって貰ったマサエさんに手を引かれて天国へ昇って行ったのかなと思っている （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/28

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• 高校１年生

  　　　高校１年生　　　南風一高校に入学したときのクラスメイトは初めて広域の通学圏から集まった集団の構成員からなり育った場所も地域も異なっているから話すことも考え方も仕草も行動も随分自分と異なっているなあと感じたものであるまた女子は女性になりつつある容姿や身体にますます磨きがかかって入学して数か月もすればあるいは１年が経つ頃にはすっかり色気づいた乙女に変身してしまっていたそんな調子だから入学した頃のままの席順でお見合いのように実験室の大テーブルに向かい合って授業を受けるのはいつも可愛い女子を正面に見据えてしまうので目のやり場に困ったものだ１年間もお見合いを続ければ嫌でも向き合う女子たちとはお互いによく見知ったような錯覚に陥ってしまうそれがために高校２年や３年になっても校舎の廊下や登下校の道ですれ違ったり追い越したりすればつい気軽な軽口をきいてしまったりしたそんな少し照れくさくて思いは入学したての頃の純粋な心のままそれにもかかわらず異性として少し好きになっていたそんな半分好きで半分叶わない永遠の片思いのような相手として甘酸っぱい思い出の中に生きているそんな初恋の異性たちかなそれが高校１年のクラスメイト女子の思い出 （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/24

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• 職業

  　　職業　　　南風一私の職業は会社員誰に聞かれても自分の職業は何隠すことなく素直に言える「今の私」だからそうなんだろうということは知っている昔私が小学生だった頃学校で父親の職業を聞かれて答える場面があったみんなは普通に「学校の先生」とか「会社員」とか「県庁職員」とか「自営業」とか「農業」とか答えていた私も普通に「農業」と答えた（本当は狭い山間の田んぼだけでは食べていけない時代になっていたから父は普段は建築関係の仕事をしていたのだが、説明するのが面倒だったので私は無難に「農業」と答えた）友だちの中に一人ひとりだけ「土方（どかた）」と答える者がいた先生はその言葉がよく聞き取れなかったのか「何？」と聞き返したその友だちは一層声を張り上げて「どかた」と答えた教室の中にはどーっと笑い声が広がったクスクス笑う者もいた先生は笑い声を制して何事もなかったようにまた質問を続けた私はその日父親の職業を「土方」と答えたその友人を心から「偉いものだ」と尊敬したその友人はクラスメイトの笑い声に照れていたけれどだからといって悪びれるところは全くなかった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/22

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• 俺の恋した娘たち

  　　俺の恋した娘たち　　　　南風一 特に俺が学生だったときだけ可愛い娘が多かったわけではないだろう男の数に対して一定比率で可愛い娘は存在したはずだと思うそれにもかかわらず高校時代の３年間によくもまあ次から次に振られてもまた振られても次から次に性懲りもなく可愛い娘を見つけ出してせっせとラブレターを書いたり電話をかけたりデートに誘ったりとよく勉強もせずに好き放題なことができたものだと今さらながら自分の行動力に感心するとともにもう亡くなってしまった母には目を盗んで女の尻ばかりを追っかけてしまいつゆそんなことも知らずに母は俺に期待をかけて一生懸命に働いてくれたことを思うと今さらながら申し訳なかったと悔いるところもあるそれにもかかわらず俺が惚れた娘たちはなぜあんなに可愛いかったのだろうと今でも不思議に思っている女には一番美しく可愛いときがあるそれがちょうど男たちの１６歳から１８歳までと幸運にも一致していただけなのかも知れない今風にいえばAKBの可愛い女の子たちにも負けず劣らずの可愛い娘たちだったと思っている （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/20

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• もう一度

  　　　もう一度　　　　　南風一 やり直したいことああすれば良かったこと確かにそんなことはたくさん有るたくさんあるけれどもう一度やり直してごらんと言われればもう一度やり直すことは難しいことごとくの行動を実際に自分が取った行動とは正反対の行動を取ったならば果たして事態はどうなっていただろう？好きな女の子とうまく行っていれば今の妻と結婚していなかっただろうし３人の子どもたちも３人の孫たちも違っていたかも知れないそれからすれば現在の事態を変えない都合のよい物事だけがラッキーな方向へ変わっていてくれればと望むことになるそんな安直な希望など実現していいわけがないそれこそそんな安易な人生など人生の価値に値しないなかなか思うように行かなかったけれど様々な偶然が働いて現在のラッキーな人生が形成されているそう思えるから初恋の女の子とすれ違いになったことも楽しい悔恨として思い出すべき人生なのかなと思っている （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/19

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• 紫陽花

  　　　紫陽花　　　　南風一母がまだ元気だった頃紫陽花の鉢植えを貰って玄関口に飾った紫陽花の季節が過ぎて花木を鉢から出して北側の庭に植えたそれから１０年くらい紫陽花はきれいに花を付けていた紫陽花の木は放っておくと横に枝を伸ばして随分空間を占めるようになる裏庭を横切るとき邪魔になったので枝葉を切るうちにいつかしら花木は枯れてしまったそれから紫陽花は梅雨時にテレビのニュースで見るか通勤途上に公園か民家の庭に咲いている紫の花を見てああ今年も紫陽花の季節がやって来たと気付くのだった今回母から受け継いだ畑の一角の陰に紫陽花が一輪横たわった茎から弱弱しく咲き出ているのを見つけてこれは母からの贈り物に違いないと思って一旦根元から掘り出して家に持ち帰った根が付いている本茎はそのまま鉢植えにしてそれ以外は横に広がる枝を切ってコーヒーの空き瓶に水を入れてその中に枝を生けることにした秋口までに本茎がしっかり枝を伸ばして空き瓶に生けた茎が根を付けたら畑の縁に紫陽花を移植することにしよう紫陽花とシャクヤクという変てこな組み合わせだけど自販機の飲み物を買おうとする人たちが「あらきれいな花だこと」と目を楽しませてくれることを楽しみにしよう （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/15

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• 日常空間

  　　　日常空間　　　　　南風一 夜が明けて朝日が出て日が沈む一日はその繰り返しにしか過ぎない一日の繰り返しが一か月になり一か月の繰り返しが一年になり一年の繰り返しが十年になる十年の繰り返しが子どもから青少年を生み青少年から成年を生む成年から父母を生み父母から祖父母を生む祖父母はいつの間にかいなくなって青少年もいつの間にかいなくなって思い出は誰からも消えてしまうそして残っているのは祖父母や子どもたちが賑やかに過ごした古家やだだっ広い庭ではなく綺麗に舗装された道や区画割された新築の家屋昔にそこで過ごした祖父母や孫たちの面影もなければそんな人たちがいたことを知る者も誰もいない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は 人気blogランキング

  2018/07/14

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• あっという間に

  　　　あっという間に　　　南風一まだ随分先だなと思っていたのに気が付けばその日がやってきているそれは成人病検診だったり妻の薬を取りに行く日だったりそしてお盆だったり年末年始だったり春夏秋冬だったり親の命日だったり果ては自分の命日になっているのかなまだまだ先と高をくくっていたのにあっという間にやってきている可愛かった娘がいつの間にか大きな子どもの手を引いてたくましい体格のお母さんになっているこれなんかあっという間にやって来るものの典型だな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/07

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• 長雨

  　　　長雨　　　　南風一 幾ら大雨が続くといっても３６５日大雨が続くことはないそうは思うけれど大雨が降っている日々の最中では本当にもう梅雨は明けないのではないかと悲観的な思いも頭をもたげるこれまでの経験からして幾ら寒い寒波でも１か月は続かない炎暑の夏は２か月から３月は続くそれからすると梅雨が２か月から３か月続いて夏が消えた年もあったからもしかしたら今夏はなくなってしまうのかもとも思ったりする日本は古代から旱魃や炎暑、地震や天災に悩まされ続けてきたから現代になって自然の脅威が消えてなくなるわけではない科学技術の発展により何もかも思い通りにできると過信すると自然の手痛いしっぺ返しを受ける自然には素直に従うしかない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/05

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• さよならだけが人生さ

  　　さよならだけが人生さ　　南風一 梅雨が続くうちに田んぼの稲は水から上の緑の面積が随分大きくなってきた住宅地の田んぼの場合家を建てるには広すぎるけれど米を収穫できたとしても自分の家族の１年分の消費量を差し引いて米を売ったところでどれだけの稼ぎがあるのだろう？と思う住宅地の米作はもはや趣味か道楽以外の何物にも過ぎないと思うけれど先祖代々の土地を田んぼとして所持するにはそれくらいしか活用方法がない米作や畑作をしないならアパート経営やコンビニ経営という手もあるがこれは収益が場所に大きく依存しているのでそうそう簡単に成功できるわけではないただ広くて日照があり水があれば米が育つというほど簡単ではない現代において都会にしろ田舎にしろ土地を活用して商売が成り立つというほど単純な話ではない都会で人の入りのよいアパートを建てたところで経年劣化は免れずメンテナンスを怠れば早々に入居者がいなくなってしまうことは目に見えているそういう次第で金の生る木を持ち続けるというのは非常に難しいほんの一瞬綺羅星の如く輝いて一攫千金を稼げたならばハイさようならさよならだけが人生さ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/04

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• 鬼ごっこ

  　　　鬼ごっこ　　　　南風一小学生の頃鬼ごっこをしていた時のこと子どもの遊びにもおのずとルールがあるものだが俺は何より負けず嫌いだったのでルールを完全に逸脱してしまうのだった友だちが俺を追っかけてきたとき俺は学校の敷地から出て農道をひたすら走った鬼役の友だちも一旦校外に出たからには名誉にかけて引き返せなかったのか暫く俺の後を追っかけてきた俺が余りにも遠くへ逃げたのでさすがに鬼役の友だちも諦めて引き返して行った（そのときの友だちの心の中を　想像して随分悪いことをしたなあと今さらながら　悔やんでいる）暫くして俺も小学校へ引き返して帰ったはずだがその後のことは記憶にない置いてきぼりを食った他の友だちはその後どうしたのだろう？そんなことも思い出せない遊びのルールは守らないと遊びが詰まらなくなるそんなことに気付いたのは小学校を卒業して何十年も過ぎてからだった我ながら愚かな子どもだったなと初老になって反省している （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/01

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• 半夏生

  　　　　半夏生　　　南風一そろそろ梅雨明けかと思うけれどなかなか蒸し暑くてそうは問屋が卸さない買い物を終えて店から出ると背中や腕から汗がにじみ出てくるそういえば一年前まだ母が元気だった頃に西瓜や桃を持って行っては看護師の目を盗んで母に食べさせていたそれまで自分でスプーンを使って器用に流動食を口に運んでいたけれどそれから１か月も経たないうちに母は「だるい」と言ってスプーンを持たなくなったそれ以降は点滴生活だったから４か月というのはよく持ち堪えた方だったのだろうあれから１年が経ってまた半夏生の訪れスーパーでイイダコの足を買って今夜はタコの酢の物を食べる毎年同じことしか言わなかったけれど「今日は半夏生」と言って間を持たせた相手がいなくなった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/07/01

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• 苦界

  　　　　苦界　　　　南風一 自分でお金を稼ぐことは難しい自分で月々の電気、ガス、水道代を工面し自分で健康保険料を工面し自分で月々の食費を捻出するのは難しい母は父が不慮の事故で下半身不随になったのに俺を大学院まで行かせてくれたよく生活ができたなあと不思議に思う我が家の長男は派遣で働いているが未だ妻は私に内緒で生活費を送っている今日は生憎私が休暇だったために長男が風邪を引いて病院へ行くお金がないというのですぐに送ってくれという電話があって図らずも長男が健康保険に加入していないことが判明した長男は昨年私の健康保険の被保険者の扶養者から外れて自分で健康保険に入ると言っていたのに実際には派遣社員では健康保険に入れなかったようだ１年間これといった病気もしなかったから良かったものの今年は夏風邪を引いてしまったらしい無保険者では十分な医療サービスも受けられない長男にはアベノミクスの好景気のトリクルダウンは無関係らしい我が息子ながらいつになったら将来展望が開けるのかな？もう３２歳になるのにこのまま非正規独身を続けていては自分の年金で暮らすこともままならない（それより日本国が財政破綻することで年金も破たんすることは確実に違いないけれど）それでも将来何歳になっても生活の糧を稼ぐために働き続けて行かなければ生きていけないというのはなかなか辛いものである （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/25

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• 無邪気な頃

  　　　　無邪気な頃　　　　　南風一 まだ成人病検診へ行き始めて数年しか経っていない頃現在のように病院側の体制も整っていなかったから検査ごとの小道具も整っていなかった背中を丸めたり横になったりして腎臓の超音波検査が終わると「前立腺の検査をしますので下腹部を出してください」と言われた言われるままにパジャマとトランクスを下げて下半身を露わにした女性の看護師さんは黙ったまま性器の周りにゼリーをゆっくり塗り始める暫くすると私の性器はいきり立ってむっくりと屹立してくるのが自分でもはっきり分かる女性の看護師は手を休めているのか俺の性器が屹立して下腹部の方に斜めにそびえ立つのが検査に支障があるのか暫く何もしないでいるようやく検査が終わったところで「これでしっかり拭いてください」と言って乾いたごわごわのタオルを寄こした固いタオルで性器をこすっていると再び先端が赤く剥け黒々としたこん棒のようにむくむくと屹立した女性の看護師は心なしか嬉しそうに黙って俺の仕草を眺めている今なら前立腺の超音波検査の前にパジャマと下腹部の間に事前にタオル入れて性器があからさまに出て来ないようにしている何か詰まらなくなったので私は超音波検査が終わって女性看護師が「これでしっかり拭いてください」と濡れタオルを寄こしたらパジャマとトランクスを勢いよく下におろしてぬるぬるとしたゼリーを入念に拭き取る性器の先端を持って周りを拭いているとやはり性器はむくむくと屹立して来る性器の周りを濡れタオルで巻いて前後に二、三回しごく太くなった性器を前後に二、三回振って下腹部から胸のあたりまでを拭き取る私が性器をぶらぶら立ててタオルで拭っている間女性看護師はモニター画面を見たりしているが私が「このタオルどうしましょう？」と聞くと即座に「貰います」と言って手を差し出した何のことはない私の仕草をじっと見ていたのだった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/24

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• エロス

  　　　エロス　　　　南風一あからさまな裸や赤裸々な告白より被害者本人には少し不謹慎には違いないが（それだから被害者は二度被害を受けると言われる）そのときの思考停止状態や肉体が硬直してしまう状態において強く拒絶する行動など取れるはずないのだが（強く拒絶できなかったから相手の思う壺にはまってしまったのだが）自分が強く拒絶の行動を取れなかったことが余計に自分を苦しめ既婚者ならば夫に申し訳なかったと自分を追い詰めていくことになる加害者は被害者が特に拒絶できなかったことを持ち出して「本人の同意の上だ」としゃあしゃあとした顔つきで言い放つこれでは被害者の心的打撃も肉体的な苦痛も和らぐはずがないそれは分かっている何の落ち度もない被害者が自分の潔癖症のゆえに自分を責める姿を痛ましく思うし興味本位か戯れごとに過ぎない加害者の行動を許せないとも思うその一方で被害者が夫に話した告白の内容や被害者が精神的に追い詰められて頭がおかしくなった話をついつい読み進めてしまう被害者の告白や夫の話から立ち昇ってくる想像の産物に限りないエロスを感じている私それは真実ではないにもかかわらず真実でもある （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/16

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• Ｗａｉｔｉｎｇ

  　　　　Ｗａｉｔｉｎｇ　　　南風一 母の日課は毎日天井を眺めるだけ夜眠れないとも言っていたが俺がいつ突然病室を訪ねても母はいつも目を覚ましていた四六時中天井を眺めて母は何を待っていたのだろう「早くお迎えが来てくれないかな」というのが母の口癖だったそうして母が待っていたもの確かに１１月１２日母の呼吸は途絶えた母が望んでいたものはやって来たか？呼吸が止まることを待っていたのかな？それともただ苦しいだけのベッドの上の寝た切り生活それから解放されたかったのだろうか？今だからそう思い至るけれど多分もっと個別に歩行のリハビリや咀嚼の練習をすれば母は自分の両足で立ってまだ元気に生活していたと想像する大腿骨骨折の手術はうまく行ったのにそのあとリハビリもせずベッドに寝かされただけの生活そんなものを２年も続ければ誰だって身体が弱って死んでしまうよね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/15

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• 魂

  　　　魂　　　　　南風一死んでも魂は残るという話はよく聞く夢で死者に会うことはあるけれど現（うつつ）に死者と会ったことはないところが現（うつつ）に生者の魂と会ったことはある妻の鬱病が悪化して義父母や義姉夫妻とやっとの思いで妻を強制入院させたときのこと連れて帰ってくれと叫ぶ妻を鉄格子扉の向こうに残して病院から帰ってぼんやり外を見ていた時である二階の窓から道を見下すと妻が外出するときの姿そのままに白い日除けの上着と白い帽子を被ってゆっくり自転車を漕ぐ女性の姿が見えた暑い盛りの昼下がりになぜ妻がそんなところを通っているのか私は目を疑ったすぐに外に出て道の方へ向かったけれど妻と瓜二つの女性の姿は何処にも見えなかったまさかそんなに早く見えなくなるようなスピードでもなかったのに自転車に乗った白い帽子の女性の姿は忽然と消えていたそのときの自転車に乗った女性の姿は自宅に帰りたかった妻の魂が私を追っかけて自宅に帰ってきたものだと察した （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/10

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• ５歳

  　　　５歳　　　　南風一 ５歳の記憶は余りに遠いというかほとんど皆無に近い幼稚園へ行っていた頃の記憶ならば近所の農家の西瓜畑のソフトボールくらいの青い玉を肥溜めに投げ入れて母親からこっぴどく叱られた記憶はあるそれとて６歳近くにはなっていただろうそれに比べて５歳の女の子は自分で目覚まし時計を午前４時にセットして朝起きればひらがなの練習をして「おねがいだからゆるして」という文字を丁寧にノートに刻んだ５歳の女の子の願いも虚しく女の子は東京に引っ越してから１か月の内に虐待で死亡した体重は１２キログラム弱私の２歳１０か月になる孫の体重より軽い５歳にして１６キログラムの体重の何処が太っているのか（義父から言わせば「太っている」から痩せろという命令だった）赤ん坊がどの母親の下に生を受けるのか自分で選ぶことは出来ないそれにもかかわらず５歳の女の子は義父に理由なき虐待を受け５歳にして「生きたいからごめんなさいと謝っている」まだ生を受けたばかりなのにもう人の世の苦労を舐めていたそんなに早くから謝ったり死の恐怖を味わう理由は何処にもなかったのにね （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/07

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• 梅雨

  　　梅雨　　　　南風一 温帯モンスーン気候の日本にあって梅雨は米作になくてはならない自然の恵みだから五月晴れの後に続くうっとしい湿っぽさにも日本人は文句も言わず耐えてきた近年は米の消費量の減少に合わせて作付面積は年々減少してきたし米作だけで生活は成り立たない時代になったから専業農家の戸数も減ってきたしやがて博物館入りするときもやって来ようそんな時代に米作の営みに合わせた数々の伝統行事（たとえば田植えとか害虫駆除、灌がい、稲刈り、収穫後のお祭りといったもの）は内実が消えて村落共同体の営みもなくなるから自然に人の交わり機会もなくなってゆくそうして米作を核として営々として営まれてきた日本の集落の伝統行事や暮らしは消えていくそうして後に残るものはお金を稼ぐために長時間汗水たらして働くだけの原始的な生活とスマホとネット通販で成り立っている手抜きの生活米作を捨てて日本人は何を手に入れようとしているのか？誰にも分らない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/03

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• 死ぬまでに行きたい

  　　　死ぬまでに行きたい　　　南風一死ぬときに果たして「あの場所に行っておいて良かった」と思うだろうか？そんな瞬間はあるのだろうか？そんなことを思う余裕がないのならば死ぬまでに行っておいたところでさしたる効用もない死とは別にしてよりよく生きるために「あの場所に行っておいて良かった」と思うことはあろうそれは初恋の場所かもしれないし彼女とデートした場所かも知れない若かった頃や学生時代の元気いっぱいだった頃の楽しい思い出の場所かもしれないあの場所に行っておいて良かった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/02

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• 衣更え

  　　衣更え　　　　南風一今日は朝から気温が上がって長袖のポロシャツで作業をしていると汗で下着がびしょ濡れになったさすがに昼飯で自宅に帰ったときは長袖から半袖のポロシャツに代えたついでに冬物衣類を仕舞って夏物衣類を取り出して箪笥の中の入れ替えをした夏物衣類を見るとつい昨年の初夏に半袖のシャツで母の入院する病院を訪ねたことを思い出すまさか年越しすることなく亡くなってしまうなんて誰が想像したことだろう母は認知症で糖尿病だったけれどもし大腿骨骨折の手術後に介護の手はかかっただろうけれどリハビリに時間をかけて歩行することができていればもっと自分で食事をすることもできたしあんなにあっけなく死ぬこともなかっただろうにと想像する後の祭りだがもう少しの時間をリハビリに費やすことができれば母はもっと長く生きていただろうもちろん生きて何をするでもなくという話はあるかもしれないがただ生きていることが貴重母が亡くなってから確かにそう思うそして後悔している （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/06/02

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• セクハラ

  　　　　セクハラ　　　　南風一まだうら若き乙女のアナウンサーが自分の居宅で窓から外を通り過ぎる２０歳前後の女性二人に向かって下半身を露出させたとして男が逮捕されたと伝えている警察の調べに対し男は間違いありませんと答えている男は若い女性二人の反応を見たくて下半身を露出させたと話している事件とはいえまだ独身らしきうら若き美人の女性アナウンサーにこんな事件を報道させてＮＨＫは何とも思わないのだろうか？私も興味本位ではあるもののついうら若き乙女の美人アナウンサーが顔を赤らめていないかＴＶ画面の奥をまじまじと見つめてしまった心なしか女性アナウンサーは怒ったような顔をして早口に読み上げたような気がした （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/26

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• 初々しさ

  　　　初々しさ　　　　南風一大学の近くを通ると真新しい自転車に乗った新入生らしい男女の集団がわいわい騒ぎながら通り過ぎていく土曜日というのに大学は講義をやっているのだろうまだ何者にもなっていない大学に入学したばかりの若者たち彼らはこれから４年もすれば就職先を探して社会人になっていくのだろう妻が初々しかった頃性交した後妻の性器をティッシュペーパーで拭いて私の一物に目をやって「もういいかな？」と問うたとき妻は「仕舞っておいて」と返答してきたあんな小娘のような物言いをしていた頃が懐かしい子どもたちがすっかり大きくなって孫からばば、じじと呼ばれるくらいだからもうすっかり年を取ってしまった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/26

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• 間抜けな日々

  　　　間抜けな日々　　　　南風一 今月の給料日が過ぎれば早や次の給料日が早く来ることばかりを願う今年定年を迎えるという同僚の話を聞けば早く月日が過ぎて早く私の定年の日が来ることばかりを願うそうやってあっという間に１か月が過ぎ半年が過ぎ１年が過ぎてみると寿命が１年過ぎたことに気付く命は無限ではない必ず人の死はやって来る早く日が過ぎてくれと願うことは早く死んでいく日よ訪れてくれと願うことと同義なことよく生きることはよく死に向かって歩いていくこと結局早く死ぬことを願っているなんて随分間抜けな日々だなと思う （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/23

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• ラジオ

  　　　　ラジオ　　　　南風一 休日にラジオを聴いて２年前に母にラジオを買ったときのことを思い出しているそのときはラジオを聴いて退屈しのぎをして貰えばと思った退屈しのぎは本当に１年も続かなかった病室に入るとラジオを切っていることの方が多かった同室の入院患者さんにはテレビを四六時中付けている方がいたからラジオでは詰まらないのかなと思ったりした１年前にポータブルテレビを買って行ったけれど眼鏡を付けられなかったから実際には音声しか聞いていなかったのかも知れない昨年１１月１１日の早朝に病院から電話があって病室に駆け付けたときにもテレビはかかっていた母が亡くなったときにもテレビはお気楽にかかっていた臨終のときに母の耳に残った音はテレビの音だったのかな？それとも何も聞こえていなかったのかな？テレビを買って行ってようやく１年が過ぎたばかりなのに母が亡くなってもう７か月が過ぎてしまった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/19

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• 心

  　　　心　　　　南風一 学校帰りの小学校２年生の女の子が殺され線路わきに遺棄された被疑者は捕まったが「車が女の子にぶつかったので　女の子を乗せて市内を７時間ばかりぐるぐる　乗り回していた」と供述している警察が調べたところ女の子の身体に車がぶつかったような跡はなく被疑者の供述とは完全に矛盾している被疑者が嘘を言っているのかそれとも警察の鑑識の方が誤っているのかそれは分からないはっきりしていることは人の行動は分からないということだ今朝なぜそんな朝食を食べたのか？ランチにアジフライ定食を食べたのはなぜか？今日はなぜそんなに早く仕事を切り上げて何処にも立ち寄らずに帰宅したのか？それらの行動の一つ一つの理由を探すけれど特にこれといった理由は見当たらないただ何となくそういう行動を取っていた （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/16

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• 恩讐の彼方に

  　恩讐の彼方に　　　南風一叔父Ａの家を訪ねてもう一人の叔父Ｂに会った叔父Ｂとは母も叔父Ａも絶縁していたはずだったが一時燃え上がった祖母の扶養に係る諍いは長い歳月のうちにすっかり押し流されたものと見える叔父Ｂは私の顔を見て「おお、元気だったか？」と聞いたとても何十年のブランクがある言葉ではなかったそれから頭の禿げの話をして当たり障りのない話をして叔父Ｂはそそくさと引き上げて行った私が叔父Ａと母の所有していた畑へ行くことを知っているようだった兄弟姉妹という関係はこんなにも不思議な関係なんだなと思った祖母が亡くなったときにはあんなに兄弟姉妹から疎まれた叔父Ｂだったのに今ではすっかり復権して昔そうであった兄弟姉妹のように仲良く親しげに付き合っている身内とはいえ人間関係というものはなかなか不思議なものだ母が生きていたら何と言うかな？母は私の知らないところで叔父Ｂをすっかり許していたのかも知れない叔父Ａと母が残した畑へ行って車が駐車できるスペース作りについて打ち合わせを行った叔父Ａが母の嫁いだ家の畑へ行ったのは半世紀以上前に２、３回手伝いに行っただけだったので所在位置は昔の記憶と随分ずれていた叔父Ａは叔父Ａで何を思って物好きにも姉である私の母の残した畑の駐車スペース作りに一肌脱いでくれることになったのだろう？畑から帰って叔父Ａのおごりでとんかつ定食をご馳走になった久々に四方山な話をして叔父Ａの家を辞去した （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/12

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• 何か

  　　何か　　　南風一おーいお前は誰だ？俺はいつも待っているんだけど何を待っているのか一向に分からないんだ俺が待っているものは何だ？俺が待っているのは誰だ？あと幾ばくか我慢すればきっとやってくると信じているお前は誰だ？お前は何だ？きっとやって来るそんな予感があるから今日も待っているお前は誰か？お前は何だ？名前は分からないけれどきっとやって来るだから待つことが出来る （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/09

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• 夏目漱石

  　　　　夏目漱石　　　南風一 本屋へ行けば漱石の小説が並んでいる小説を読めば漱石はそこに生きているしかし漱石は死んだとされている最早漱石の死に立ち会った人は誰もいないはずなのに漱石は死んだとされている漱石は今も生きているのではないか生きているけれど流行作家みたいに新しい小説を発表しないすでに発表した小説で十分と思っているだから新しい小説を発表しないだけ漱石は生きている生きていると感じている人にとってその人は生きている （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/06

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• 蟻の営み

  　　　蟻の営み　　　南風一通りすがりの車からチャ・リーンとお金を落としてもらう昔なら旅人に売上げを期待する宿屋か旅籠屋みたいなもの拠って立つものは確実な収益基盤とは言えないかも知れないけれど山沿いの痩せた畑ではこれといったお金を生む方策もない唯一の救いは山沿い畑とはいえその前を自動車道が通っていることだけ自動車道を逆手にとって通りすがりの車からお賽銭を落としてもらうこれほど妙案はないということで車が駐車できるスペースを作ることにして土建屋さんに工事の見積もりをお願いしたさて駐車場を作って自動販売機を置くだけで固定資産税程度は稼ぐことが出来るか？せっかく車を停めて貰うのなら駐車しようという動機が湧くように何か付加価値を付けた方がいいに決まっている花壇を作って花を観賞してもらうあるいは付近の歴史品を展示して観覧してもらうあるいは見晴らしの良い借景を観賞してもらう蟻の営みのような土地活用に過ぎないけれどスマートでクレバーな解答はなかなか見つからない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/04

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• そしていつの間にか

  　　　　そしていつの間にか　　　南風一 祖父母との思い出と言えば盆正月に会った時お小遣いを貰ったこと祖父母の家に田植えや稲刈りの手伝いに行ったとき冷たい西瓜を食べたこと中学校へ進学するとき祖父に数学辞典を買って貰って嬉しくて仕方なかったことそれから１年半後に祖父は亡くなった孫からすれば祖父母との交流は本当に短かった祖父母は年を取っていたから亡くなった特にもことさら早過ぎるとも思わなかった今私には３人の孫が出来て妻とともに孫たちの祖父母になった自分の頭の中ではまだ何十年もこれまでと同じような生活が当たり前に続いて行くと信じて疑わないでも私が成人する前に私の祖父母たちは当然の如くに亡くなったから私もまた孫たちが大きくなる前に死んでしまっても何の不思議もない孫を持つことになったお年寄りは孫が成長するうちに当たり前のように死んで行くから私や妻がいつの間にかこの世から消えていなくなっていても何の不思議もない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/03

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• 早く行かなくちゃ

  　早く行かなくちゃ　　　南風一ＧＷとか休日には家の掃除とか最小限の用事を済ませたら母が入院している病院を訪ねたもっと前に子どもたちが小学生だった頃の休日には子どもたちと公園へ出かけたさっさと用事を済ませたら早速出かけなければという強迫観念母が亡くなって子どもたちも大きくなってそんな強迫観念は今はない休日は文字通りお休み 特にこれといった用事もないからどう使ったところで誰かに責められることもないし後ろめたく感じることもない早く行かなくちゃと思わなくなって自分で目標を持つしかなくなった何かを成し遂げたからと言って伝えるべき人は誰もいない喜び勇んで行く処は何処にもない早く早くと死に急ぐ必要もない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/05/03

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• 生きとし生けるもの

  　　　生きとし生けるもの　　　　南風一近所の幼友だちの次男が交通事故で亡くなったと言っていた母母は幼な友だちに「気を落とさないで」と励ましたというまた絶縁した弟（長男）の嫁の脚が悪くなって寝たきりになったのは弟と嫁が祖母を家から追い出したからだと信じて疑わなかった昨年母の告別式が終わってお供え物のお裾分けに弟（叔父）の家を訪ねると嫁（伯母）は元気に歩いていた母の弟（三男）の嫁が５０歳代前半に亡くなったときは「若い者が先に逝ってしまって私が代わって上げたかった」と言っていた母誰にもお迎えは突然やって来るものだから他人の死を悼んでいた母が悼まれる立場になってそうして若い人もいつしか年老いて消えて行く生きとし生けるもののことわりかな （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/30

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• 心待ち

  　　　心待ち　　　　南風一家の中から見る外は広くて障子戸を開け放つと外から家の中が丸見えになると心配するのだが庭を掃除する折に障子戸の隙間なんかから家の中を覗き込んでも何も見えない同じものでも見る立場によって正反対な形に映る同じように秋から冬にかけて５月さえ来ればと心待ちにしていたその５月が実際に来てみれば「５月さん、あなたはなぜそんなに早く私の処にやってきたの？」と訝しんでいる５月にしてみればただ地球が太陽の周りを公転しているから春分の日が来て１か月半すれば私の月がやってくると涼しい顔をしている心待ちにしていた５月ではあっても気が付けば５月はもうやって来ているそんなに簡単にやって来る５月だから心待ちにして損しちゃった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/30

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• ＧＷ

  　　　ＧＷ　　　　　南風一昨年の今頃は鰆の押し寿司が好きだった母のために妻の日曜の買い物に付き合った後には母の入院する病院へ通っていた母にはもっと鰆の押し寿司やイチゴを食べて貰いたかったけれど口から食べ物を食べられたのは昨年の夏が最後だったそんなことを思い出しながら母の残した畑の有効活用に奔走している今日は道と畑の間にある側溝に蓋をするためにホームセンターを何回も往復した結局９メートルの長さの溝に取り敢えず蓋をしたものの半分は溝幅が４０センチより狭くなっていて蓋を斜めに置いたところで日が暮れた明日ハンマーとタガネを持って溝幅が狭くなっているところの溝を削って垂直に蓋を落として置く必要があるそれが終われば車で畑に出入りする口の確保と駐車スペースの確保駐車スペースにアスファルト舗装をしてもらうことまだ外壁塗装も終わっていないのにまだまだ畑には手間がかかる駐車スペースの確保が出来たら電源工事も依頼しなければならない安定的に収益を稼ぐにはまだまだやらなければならないことが多い幅４０センチ×長さ６０センチのコンクリ製蓋は厚さが６センチもあって重さは３０キログラム最後の蓋をしたときはやれやれと腰を起こしたものだったもっと簡単にならないものかな？何のためにＧＷの一日を方ぼう駆けずり回って一体全体天気の良い晴れた日に何をしていたのだろう？ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/29

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• 知っている者

  　　　　知っている者　　　　南風一 同級生や祖父母、父母が亡くなるということは彼らと共有した人生の時間が消えるということだから悲しく感じるのだろう私が小さい頃に訪ねた祖父母の家は消え父母の家も建て替えられた付近の風景も一変してカッコウが鳴いていた野山や谷や田んぼは道路や整地された田畑に変わった地形もすっかり変わってしまったから子ども頃田植えや稲刈りに行った田んぼや畑は盛土の下に埋もれてしまった若かった祖父母や父母の後ろ後を追っかけて行った道も谷の田んぼに降りる途中にたくさん実を付けていたイチジクも今は何処にもない亡くなってしまった祖父母や父母や近所に暮らしていた人たちは盆正月に何処の土地に帰って行けばいいのだろう？帰る土地は何処にもないから皆んな仲良く小高い丘の上に石の姿で並んでいる石の下から変わりゆく郷里の姿を見下ろして呆れているかも知れない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/24

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• 初夏地区運動会

  　　　初夏地区運動会　　　　南風一 昨年　ああ今年も地区運動会があるのだなと思ってそれは昨日のことのように鮮明に憶えているのにもう今年の地区運動会がやって来た運動会に出ることもないからどの年の運動会も似たようなものただ繰り返しが早くなってちょっと待ってくれそんなに早くやって来る必要はないと言いたくなる自分の定年は早くやって来て欲しいと思うのにそれ以外のことはのろのろ足で出来れば昼寝でもしてやって来るのを忘れてくれてもいいと思う （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/22

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• ウェディング

  　　　　ウェディング　　　　南風一この人と定めた人だったのにいつしか浮気をしている場合があるまたこの人と定めた人だったのに昔の恋人を未練たらしく思い出していることもあるでもそれはまだ若いうちのこともう顔も身体も昔の面影がないほどに年をとってしまってそれでもまだ恋人気取りでいるのは何ともあさましい姿にちがいないそんなわけで一時はあれほど未練たらしく思い出していた元恋人のことも何とも思わなくなった一時彼女の方も電話でならと話ができたけれど今は逢えないと言って一線を越えることはなかったそれきりとなったから彼女の方ももう何とも思わなくなったのだろう今さら彼女に逢えたところで求めるものは何もない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は 人気blogランキング

  2018/04/21

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• 夏日

  　　　夏日　　　南風一 自動販売機は小売店や酒屋さんの店先にあるものだと思っていた車でドライブすると道端に自動販売機が立っていたりする喉が渇いたときに自動販売機を見つけると「ラッキー」と思ってつい車を止めて缶コーヒーを買ってしまう母から相続した田舎の畑の扱いに困っていた会社で休憩時間にコーヒーを飲んでいてその場に居合わせた守衛さんの一人から自動販売機の飲み物の補充の話を聞かされてふと畑に自動販売機を設置することを思い付いた早速インターネットポータルサイトから申し込みをしたところ昨日１社から「今回は見送りたい」というメールが届いた車の往来は結構あるけれど人が通らない　車を止めるスペースがないということか今日久々に畑を訪ねて道から自動販売機がよく見えるように勝手に大きく伸びていた２本の木を鋸で切ってきた少しは見映えがよくなったかな？それでも設置を見送る会社ばかりのときは縁がなかったと思うことにした （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/21

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• 玉手箱

  　　　玉手箱　　　　南風一財務省次官のセクハラ辞職をめぐるニュースを見ていて次官に聞き取りを行ったという部下の官房長の姿を見ていて何処かで見た風貌だなと思ったそれともよくある風貌だからそう思ったのかなと自分でもその時の何か知り合いに逢ったような気持ちがするのがちょっと不思議だった今朝新聞を見てその謎が氷解した３４年前の記憶が蘇った彼は確かに私が留年した１年間だけ住んだ下宿の隣にいた１年下の後輩だった彼と同じゼミの１年先輩が私の友人だったのでその友人が彼女とともに私の下宿（つまり官房長となる青年の下宿でもある）に訪ねて来たこともあった官房長は大学時代テニス部に所属していて真っ黒な顔をしていたが今もその風貌は変わらない官房長の１年先輩の私の友人は昨年１０月に急死したそんな関係も忘れていた官房長の次官に関する答弁を聞いていて役人言葉には違いないがゆっくり噛みしめるような物言いは変わっていないなあと思ったその裏に果たして昔の誠実さを忘れていないかどうかそれは分からなかったけれど （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/20

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• 過呼吸

  　　　過呼吸　　　　南風一 はーっ　はーっ　はーっ　はーっこんな溜息をつくような呼吸がそんなに何時間もはたまた一昼夜も続くはずがないそんなことは今だから分かる当時はそんな少し冷静になれば分かることが分からなかった俺と妻は母が持ち直したものと思って弁当を買いに出た車の中で弁当を食べて病室に戻ったときは虫の息だったそれまでの過呼吸は母がはーっ　はーっと最期の力を振り絞って呼吸していたのだった（そんなことも分からなかった）俺と妻が病室に戻ってものの１分も経たないうちに母の呼吸は永遠に止まった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/16

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• 真逆

  　　　真逆　　　　南風一立ち位置が違うと同じ物事を眺めているのに全く正反対の結論を導き出す極めて恣意的にそういう見方もあるものかと呆れるほどに偏った見方だどこからそんな考えが導き出せるものかと呆れてしまうそれでも権力者や権限者がそういう思想を持つときにはその思想が政策として実行されてしまうそこが怖いところだ近頃の政府や日銀の政策が一般の人が納得でき理解できるものかどうか政府や日銀は一般の人に理解してもらうことを完全に放棄してしまっている物価上昇２％の達成のために上場投信を大量に買って株価を上げる政府の財政赤字をファイナンスするために大量に国債を購入するこれが金融政策と何の関係があるというのか？デフレの何処が悪いのか？物の価格が下がって消費者には極めて良いことではないか？実質金利という言葉を持ち出して預金の金利はゼロより下がらないから資本コストは相変わらず高い金利のままだという世の中の企業が投資資金や運転資金を銀行から借りるときに物価が下がっているから物を生産すればするほど損をするから生産しないことにしようとか工場は建てないことにしようと考えるか？収益が見通せるときなら追加的な投資は幾らでもするだろう収益が見通せないから大きな投資をする必要がないと考える安定的な収益は何処から来るか？それは突飛な一時的な需要ではない恒常的に繰り返される需要であるこの長期案的な需要を満たすために必要な投資をしていくこういう当たり前の需要を作り出していく政策をとらないから個人消費は盛り上がらない消費の元となる所得や金融資産が増えないから消費は増えない少子高齢化といったところでその影響が今現れているわけでもないのに将来を先取りして現在の需要不足の犯人に仕立て上げようとする政府や日銀は何をしようとするのか？短期の目的も長期の目的も完全に見失っている怖いことだ （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/16

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• ４月晴れ

  　　　４月晴れ　　　　南風一雨が上がって陽射しが射す４月の陽射しは柔らかく暖かい新緑の息吹とともに生まれ変わりを感じさせるあらゆるものが新しく始まる予感出来る事ならば私の命もすでに死んでしまった父母の命もこれから新しく始まるということだったらどんなにか楽しいことだろうさあ母に手を引かれて小学校に入学したところからもう一度スタートだ父母も祖父母もみんな若くて元気いっぱい何も悲しむことはない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/15

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• 後悔

  　　　後悔　　　　南風一 １年前の今頃母は自分で食事を摂れていた入れ歯が取れて食べ物を噛むのが難しそうだったから早く入れ歯を治して貰ったらと言い続けたけれど結局治療することなく逝ってしまった昨年の今頃はまだ自分でスプーンを起用に操ってどろどろの液状になった食べ物を食べていた「ああだるい」と言ってスプーンを投げ出して自分の手で食べ物を口へ運べなくなってからは日々弱って行くのが早かった点滴になったらもうそんなに長くは持たないというのが常識だろうそんなことさえ私は思わなかったしそう思わないことで母が快方へ向かっていくような呑気な期待さえ抱き続けていた毎土曜日に「ばあちゃん　来たよ」と病室へ入れば「ああ」といつも顔をこちらに向けてきたまるでその日その時　私が部屋に入ってくるのを知っていたかのようにいつも歓迎の準備が出来ていた朝から晩までベッドの天井を見ながら何を見ていたのだろう？たまに自分の父の名前を呼んで「元気かな？」と言ったり自分の母の名前を呼んで「元気かな？」と聞いてきた私が「何を言ってるの？」「おばあちゃんの父親はもうとっくに私が小学校５年生の時に死んだよ」「おばあちゃんだって葬式にちゃんと出ていたじゃないの」と言えば不思議そうな顔をして「お前、嘘を言ったらだめだよ。マサエさん（おばあちゃんの父親の名前）は　元気でいるよ」そう言ったかと思うとその２、３週間後にはもう観念したのか「お前、マサエさんはもう死んだそうだね　可哀想なことをしたね」と言ったりしたそんな言葉を交わしていたのがつい昨年の今頃か梅雨時で月日の経つのは早いものだまさかあんなに早く向こうの世界へ旅立ってしまうなんて今でも信じられない１０月下旬にすっかり弱ってしまって声を出そうとすれば咳き込んで言葉を出せなかった黙ったままじっと私の顔を見上げていた目が言いたいことをたくさん言っているようで照れくさかった母は目で思いを私に送っていたのだろう （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/13

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• 惚れていたもの

  　　　惚れていたもの　　　　南風一 学生の頃恋焦がれた女性がいたその女性の何処にそんなに惚れてしまったのか？今も分からない顔？確かに可愛かったがもっと可愛い女の子はいた背はむしろ小さい方で必ずしもスマートでもないとりたてて賢いわけでもないむしろバタバタと飛び跳ねている感じとても絶世の美人でもないしスタイルもよいわけでもないそんな女の子の何処に惹かれてしまったのかな？その子の気を引くことができれば天にも昇る気分だろうなと思ったしそれが願望だったきみの裸を見たいとは思わなかったしセックスしたいとも思わなかったただきみの口から「好き」という言葉が出てくることを望んだそのことはきみの方でも同じだったこんな二人が現実的な結婚など出来るはずがなかった （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/11

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• 出発そしてさよなら

  　　　出発そしてさよなら　　　　南風一 前途洋々だから本人は満面の笑み心はもう向こうへ飛んでしまっているから気もそぞろ送る者は取り残されるだけだから名残惜しい「それじゃ行ってくる」「お元気で」出発する者は背を向けて足早に去って行く残される者はその背中に向かって背中が見えなくなるまで手を振り続ける時代が変わってもいつも目にする似たような光景今春も日本や世界の至る処で繰り返される （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/08

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• 当たり棒

  　　　　当たり棒　　　　　南風一 幾ら冷たくて美味しいアイスキャンデーであってもそう何本も食べられるわけではない２本も食べたら只で貰えるといったところでもう結構と思うものだ小学生というのに今から思えばそれは勉強の出来具合とは関係なくある種の才能というやつだったと思うがアイスキャンデーの当たり棒の見分け方を見つけてしまう悪友がいた私も半信半疑でその友だちから教わったとおりに駄菓子屋の冷蔵庫からアイスキャンデーを選んで見ると本当に当たりが続いた２、３回も続けて当たり棒で只のアイスキャンデーを貰うと何やら錬金術師になったような気がして得したという気持ちが半分何やら悪いことをしてしまった罪悪感が半分だった子どもながらにインチキ臭いことをやっているといつかは天罰を受けるという気がして友人から教わった秘密は誰にも言うことなく忘れることにしたそんなある種の才能があった悪友はその後どんな大人になったのだろうか？私は大学へ進むと共に故郷を離れてしまったのでその友人のその後の消息を知らない （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/07

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• 初恋

  　　初恋　　　南風一出張でとある町を訪ねたときだった目的地へ向かって街を歩いていたときだった目の前に門と　その奥に広々としたグランドと瀟洒な校舎が開けた「○○女子学園」とある見覚えのある学校名だった「あっ　あっ　そうだ」もう４０年も前の出来事が蘇ったある雑誌で文通友だちを募集している女学生がいて俺はその子宛に手紙を書いたのだったある日学校から自宅に帰ると手紙が届いていて差出人は俺が手紙を書いた相手の女子ではなくその子の友だちだった俺が手紙を書いた女子にはたくさん手紙が来過ぎて彼女の友だちが文通の助っ人を買って出たというわけだった手紙を送ってくれた女子は真面目でしっかりした女子のようだった俺も暫くは熱心に手紙を書いたどんなわけか俺のスナップ写真を送って彼女もピアノに向かう写真を贈ってくれたそれが破局の始まりだった俺は面食いだったのでちょっと趣味に合わないなと思うともう手紙を書く気が失せてしまった彼女からはなぜ手紙を呉れなくなったのか？　と何度も催促の手紙が来た俺は暫く打っちゃっておいたそのうち彼女のことは忘れてしまったそれから何か月か経った後彼女の兄から手紙を貰った彼女はずっと沈み込んでいて兄としても一言でいいから妹に手紙を書いて欲しいというものだった　と思う俺は多分重い筆を持って好きな女の子が出来たので申し訳ないけれどもう手紙は書けないと書いたように思う彼女からはすぐに返事が来て「分かりました。心の整理がつきました。」というものだった　と思うさよなら恋する人よ恋はいつも片思い誰に恋するものかそれは誰にも予想できないものでまたすぐに新しい恋に出会うこともある失恋があるからまた新しい恋に出会える４０年前の忘れていた恋 （詩集の宣伝）「青春１７切符＋１」３月２６日発売。 購入は、 こちらからどうぞ 詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2018/04/05

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