南風一の世界

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• 浅知恵

  　　　浅知恵　　　　南風一当たり前のことだけど父と母が揃って二人とも健康これがまず栄える一家の大前提その上に子宝に恵まれ男子が父を助け女子が母を助けるこれが子孫が末永く続いていく一家の秘訣王道から外れた一家は父が未成年の子供たちをたくさん残して若死母は後家となって見知らぬ男の子を産み落とし娘は見知らぬ男の子を産み落とすやがて実入りは出費に追いつかず先祖伝来の田畑を売り払ってようやく糊口をしのぐ兄弟たちは分けてもらえる土地とてなく遠くへ分家する男があり病死する男があるやがて若かった長子もいつかしら初老になり子どもを作る暇なく他界するもはや家を継ぐ男は一人もなく一家は断絶明治大正時代に限らずそんな一家は日本じゅうにたくさんあっただろう人間様のちょっとやそっとの浅知恵では運命に抗うことはなかなか難しい （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/27

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• １回きりで

  　　　１回きりで　　　　南風一ワックスがけ不要の洗浄液梅雨が続くのでいつの間にか使い切って容器が空になった２リットルに満たないけれど前回購入したのはいつだったか定かな記憶はない何かを購入するときずっと使うつもりか使い捨てかで選択するものが変わってくるたとえば洗車に使うものはずっと（死ぬほど長い間ではないけれど）使い続けるという前提で買う旅先で知人を訪ねるとき駅前の売店でお土産を買った店員さんは私のことを当然近くに住む住人と思ったから会員加入だのポイントカードだのを勧めた断るのも面倒だったので言われるままにポイントカードを受け取った俺にすれば１回きりの購入に過ぎないのに店員にすれば常連のお客さんになってくれると思い込んでいる１回きりでもう会わない関係なんて誰も想定しないだろう俺も１回きりで終わりなんて予期することもできなかったけれどそういう出会いもあるきみだって１回きりで終わりなんて想像したこともなかっただろう （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/26

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• 嫌いなところは何処もなかったのに

  　　　嫌いなところは何処もなかったのに　　　南風一きみの責任ではなく俺の責任でもない強いて上げるなら青春に特有の不運かな？でもそれがたった一つの原因じゃなかっただろうどちらが先か知らないけれど好きな娘ができたからあからさまに二股かけるのはよくないと思った？もし結婚するとして身内の理解が得られないかも知れないと思った？それより毎日顔突き合わせて何を話題にすればよかっただろう？かわいいとか性格が素直とかすれ違った男どもが振り返るくらいの器量よしそれだけで十分だけどそれだけじゃ十分じゃないきみも俺も嫌いなところは何処もなかったのになぜ距離を置いてしまったのかな？ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/25

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• 一直線に

  　　　一直線に　　　南風一一直線にきみのところへ進めた日があった四の五の言う暇もなく俺はきみの柔らかな手を掴んだ一直線にきみのところへ進めた日があったきみは驚いた風でもなく一方的に喋る俺に任せて肩を並べて歩いた一直線にきみのところへ進めた日があったきみは嫌がることもなくＹＥＳと答えてくれたけれど帰りにはやっぱり友人たちの手前一緒に帰れないと伝えてきた一直線にきみのところへ進めた日があった春の日差しを浴びてきみの透き通った素肌は美しかったきみのそれからや俺のそれからそんなものはまだ全然顔を覗かせていなかった昔むかしそんな美しい日々は当たり前にころがっていたけれどこれから二度と体験することはできないね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/24

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• もう少し若い姿のままで

  　　　もう少し若い姿のままで　　南風一若い女性が容姿を気にするのを愚かしいことだと思っていたもって生まれた自然の魅力以上にどんなに魅力的なものも存在しないところが自らが中年に至って洗面所の鏡に白髪が目立つようになるともう少し若い姿のままでいたいと未練がましく思うようになった意中の女性がいるわけじゃないけれどこれまでと変わらず恋に夢中になることだってできるそう思うことでもっと生きたいという希望が湧いてくることだってあるよね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/23

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• 何も知らない

  　　　何も知らない　　　南風一きみにはきみの用事があってその用事は俺と何の関係もない生活において何の接点もない者同士が自分に何の用事もないときにやっと一緒に活動できるときがある埋めることがないときの時間つぶしに過ぎないからじゃあと家路についたらその次会える日が来るかどうかそれは分からない国府調査に関することならたくさん喋りあうけれどきみの職業のことも家族のことも趣味のことも友だちのことも何も知らない何も知らないけれどきみが独身であることは知っている （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/22

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• 愚か者

  　　　愚か者　　　南風一死んだ子の歳を数える必要もなかったからきみはいつまでも小娘のままきみを追いかけながらきみが俺のことを好きになる日はきっと来ないと心の隅で感じていた瞬間風速だけきみが俺の方になびくことがあればきっとそのときが別れのとききみは愚かにも分かり合える日が来ると無邪気に信じたのだろうか？俺はそんな日が一度としてやって来ないと信じていたから感情に溺れるつもりはさらさらなかった世の中には愚か者という名前の男がいてわざわざ好きな女に背を向けるそんなことをしたって一銭の得にもならない感情に掉されない男そんな男なんて世の中にいないだろうからそんな格好をしてみる氷のように冷たい男と受け取ってもらえば願ったり叶ったりなんてそれこそ愚かな感傷だね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/21

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• １２０年後の子孫

  　　　１２０年後の子孫　　　南風一１２０年前の街並みを想像するのは容易いけれどそこに暮らした人たちの顔や会話の内容を思い浮かべるのは至難の業生き死にが人により若干前後したことも家族の不幸を悲しんだことも近所の不幸に同情したことも同時代に生きた人たちが死に絶えることですべての記憶が消え去っていく今を生きる人がなぜそこに暮らすのかなぜ今の仕事を生業とするのかなぜ先祖の墓がそこにあるのか誰にも分からない私たちは中継ぎ走者さて次は誰にバトンを手渡せばいいのか走者はどこへ向かって走るのか何ひとつ答えることができない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/20

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• 絵日記

  　　　絵日記　　　南風一馬鹿正直にというか従順にというか何を疑うこともなく毎日飽きもせず朝顔の絵日記を描き続けた最初は双葉で蔓が延びて紫色の花がぽっかり咲く朝に何個の花が咲いた昼間は何個翌日は何個毎日飽きもせず朝顔はたくさんの花をつける花が咲いた後には実がなった実から種がたくさん取れた今日は何個翌日は何個毎日飽きもせず朝顔はせっせと種をつける花も種もなくなったころ絵日記が完成して夏休みが終わるまた来年の夏までさようなら （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/19

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• 楽しい友だちのままで

  　　　楽しい友だちのままで　　　南風一気がねなく思ったことを言い合える恋人じゃなく友だちだね友だちのドライさで楽しくやっていく夫婦そんな夫婦だってありなんじゃないかな好きってのじゃなく気安くて落ち着けるというのかな洗いざらしのシャツを着るみたいに「一緒に暮らしてみる？」そんな風に言い出したら猫から小判みたいにきみもあっさりＹＥＳと返事する深刻ぶる必要もなく行き当たりばったりの軽薄さで日々が楽しければいい夫婦一緒になってからも楽しい友だちのままの関係が続くかどうかそれは不明 （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/19

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• 幸せ

  　　　幸せ　　　南風一もし幸福ってものがあるとしたらそれは走っていけば到達できるような代物ではないもしあるとすればきみと一緒に走っていることそんなところに幸せってものがあったのかな今だからそう思う （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/18

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• 遠い昔のこと

  　　　遠い昔のこと　　　南風一きみの気持ちは本当はどうだったのか？売り言葉に買い言葉ただ反発したかっただけなのか？それとも本当に俺とのことなどどうでもよかった？多分どちらも間違いで多分どちらも正解探せば探すほど遠ざかっていく正解答えはたぶんそんなところにあったのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/17

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• 藪の中

  　　　　藪の中　　　南風一明治１９年士族の生活が困窮していたころ１６歳にして家督を相続した男はそれから４３歳に至るまで結婚しなかったその間に弟たちは死亡したり分家したり妹たちも結婚して家を離れた父から相続した家屋敷は街道に面した饅頭屋や商店が立ち並ぶ宿場のど真ん中にあった男は３３歳までそこに暮らした何を生業としていたのか　それは知れない大方は秩禄処分金を元手に商売を始めたものの生活はなかなか苦しくやがて父から相続した家屋敷を売り払って郊外に移り住んだ弟や妹たちも家からいなくなってやっと妻をもらったのが４３歳のとき家長として家族を養うのに奔走していたから婚期を逃したのかそれともただ放蕩息子よろしく父の遺産を食い潰して気がついたら４３歳になっていたそれで急いで妻をもらったどちらが真実なのか今となっては藪の中 （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/16

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• 痕跡

  　　　痕跡　　　南風一死んでしまえば何も残らない運良く戸籍に名前が記されていたところで職業も生活も分からない生まれた日と死亡日から死んだときの風貌を想像する婚姻の日と子供の誕生日から暮らしぶりが見える４３歳でやっと結婚したかと思えば４年後には死亡子はいなかったにせよ残された未亡人や母・兄弟はどうやって暮らしを立てたのだろう息子の死を追うように１年後に母親が死亡その翌年には娘が死亡不幸は続くものかなとも思う戸籍に残されたある家族の暮らしの痕跡総括すれば苦しそうに見えるけれど楽しかった日々もあったのかしら？どんなことを話して生きていたのかな？日々の楽しみといったものもあったのかな？没落していく家と繁栄していく家もしそんなものがあるとしたら戸籍にはそんな違いがくっきり見えているね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/15

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• 唯　今を生きよう

  　　　唯　今を生きよう　　南風一進むものは後ろを振り返ってはいけない後ろを振り返れば自分が歩いてきた道のりを一望できるからその余りに高みに上ったことに驚いて足が竦んでしまう何事も後ろを振り返ってはいけない初心を振り返ってはいけない唯　今を生きよう昔というものはない未来というものもない唯　今という時がある （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/12

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• 出会いの都合

  　　　出会いの都合　　　南風一すでに半世紀近く楽しいことをたくさん体験してきたこれから体験していくきみを嫉妬したところでそれは傲慢というものさ俺は俺の都合でボランティア調査に参加するきみはきみの都合でボランティア調査に参加するきみと俺の都合が合えば会えることもあるし会えないこともあるたまたま土日のボランティア調査に行くようになったから会える日があっただけのことそんなきっかけがなければ二人が知り合うことも言葉を交わすこともなかった存在を知っただけでも一年前に比べたら大いなる進歩だね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/11

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• 乙女

  　　　乙女　　　　南風一きみが男の心を虜にできるのは多分限られた期間だけその期間を過ぎれば多分男たちはきみに振り向かなくなる男たちから眩しい視線を浴びてきみは迷惑千万と思うきみは男たちからそそくさと逃げようとするけれどそんなことは人生のほんの一コマに過ぎないあれほど迷惑と感じた男たちの視線をやがて恋しく思い出すときがやってくる （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/10

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• 知らせ

  　　　知らせ　　　南風一国府探索事務局から封書が届いて開けてみればきみと同じ「地形調査班」になっていた○印を付けるときはさてきみがどちらを選ぶのか判断がつかなかったもしきみと違う調査班になったときは一週間に一度の楽しみがちょっと半減してしまうかなそれも仕方ない自分の好きな方を選ぼうきみも同じようにただ自分の興味に従っただけなのかも知れないそれはそれでいい結果的にきみと俺は同じ調査班になったまだしばらく楽しい週末が続く （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/09

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• 楽しさの意味

  　　　楽しさの意味　　　南風一土日の余暇にしか過ぎなかったたまにアカデミックな思考に耽るのも楽しいなあくらいの軽い気持ちだった理由があることをさまざまな仮説を立てて検証してみることは楽しいに違いない確かに国府の所在を探ることは楽しいだけど楽しいことにどれだけの意味があるのだろう？と思い始めた国府の所在は分かるかも知れない分からないままに終わるのかも知れないきみとの関係もただのボランティア仲間で終わるのかも知れない一緒に活動することがただ楽しいそれで十分過ぎるのかも知れない人生にはどんな展開が待っているか知れないからね体験のつもりが探索になってしまうことだってあるんだ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/07

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• 涼しそうな鼻先と唇

  　　　涼しそうな鼻先と唇　　　南風一釣りが好きな男に理由を尋ねた「獲物が多いに越したことはないが　そんなことより魚が猛烈に引いて逃げること。　びんびん反応する奴を釣り上げたときの痛快感は　最高だね」釣るまでが華釣ってしまえば興味半減それは女にも言えることかも知れない帽子を引っかけて話者の言葉にうんうんと肯くきみの横顔何を考えているのか知らないけれど涼しそうな鼻先と唇は限りなく魅力的それでも釣ってしまえば魅力的でなくなるのだろう （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/06

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• 楽しみ

  　　　楽しみ　　　南風一楽しみには色々あって趣味の楽しみ人を好きになる楽しみ好きな人と時間を共有する楽しみ家庭生活の楽しみ安穏な暮らしの楽しみ子供が大きくなってゆく楽しみ色々あるけれどきみが異性を好きになる楽しみは順位が大分低いのかな？それとも平日にたっぷり付き合っているから土日くらいは趣味一色で暮らしたいということかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/05

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• 鏡

  　　　鏡　　　南風一きみが鏡を覗き込んでいる姿眉か睫毛を描いているのだろうか急いで家を出てきたからよく確認できなかった？それとも別の理由かな？きみの周りにいるのはおじさんかおばさんこれから始まるのは化粧なんか気にしなくていい勉強会なぜきみは鏡なんか覗き込むのだろう？一応きみがレディに違いないことは分かったけれど今一きみが考えていることがよく分からない自身の身の振り方より国府の方が大切・・・それが続くのは　いつまでかな？ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/05

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• ニンジン

  　　　ニンジン　　　南風一今日は満足だったねという一日そんな一日はなかなかやってこない頭をすっきりさせてきみのことを考えようと思うけれど今日は朝から予定が混んで夜になっても頭がこんがらがっているまず朝にきみに会えたこれまでの活動報告会を兼ねた研修会だったので神妙な顔つきで講師の話を聴くばかり午後から現地調査に出る人は？と聞かれて挙手したのはきみばかり俺はあいにく事務所の引越しがあってままならないきみと時間を共有することが何よりの楽しみなのに今週はそれもままならない午後から事務所で引越し作業新ビルの塗料の臭いにやられたのかずきずき頭が痛くなった合い間を縫って図書館に本を返しに行くようやく５時がきて山盛りのダンボール箱を片付けて解散朝にご馳走だけ見せつけられて箸をつけることなく引っ込められたようなもの来週こそきみと楽しみを共にするためにもう一週間の辛抱と思い直すいつもそう思って一週間を過ごすのに一週間が経ってみればニンジンはまた一週間先へ進んでいる （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/04

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• 後ろ姿

  　　　　後ろ姿　　　南風一どうしてここまで興味が合ってしまうのかな？戸口まで見送ってエレベータまで引き返したもう一度振り返るときみもこちらに顔を向けたのでまた黙礼した本当はそんなことじゃなくきみのぴったりしたスカートの後ろ姿を眺めてみたかっただけなのにきみは俺の気持ちを見透かしたようにそう簡単には後ろ姿を盗み見させてくれなかったフランスやイタリアへ旅行するのが好き歌舞伎も好きそのくせ昔の遺跡や遺物を発掘することにも興味津々一体どれがきみの本当の姿かな？仕事以外に土日にきみに会えたなら絶対にホテルへ誘いそうな気がするそれでは土日の楽しみが修羅場になってしまうね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/03

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• まっしぐらに

  　　　まっしぐらに　　　南風一きみと一緒になっていたら俺は尻にしかれて情けない亭主を演じていただろう（だからといって今がそうでないわけじゃない）それでも俺は一向に構わなかったきみと一緒になれるなら喜んで下僕になろうと決めていたそれは真実一方で一向に意のままにならないきみに業を煮やしてじーっと　じーっと　我慢していたいつの日かこちらの想いに応えてくれるに違いないそう信じていた心の裏側でその暁にはきっと手痛いしっぺ返しをしてやると憎しみが芽吹いていたのかも知れないそうしてその日がやって来た俺は狂喜した「今がチャンスだ」俺は胸の奥で密かに燃やし続けてきた憎しみを実行したきみはどんでん返しを食って地団駄踏んで悔しがったことだろうでもそれは一時のこときみはすぐに俺のことを忘れてしまっただろうそれとは裏腹にすぐに後悔して哀しくなっているのが俺の方わざわざ悲劇へまっしぐらの道筋を一生懸命につけて何処へ辿り着こうと念じていたのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/02

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• 上の空

  　　　上の空　　　南風一自分のことをどう感じているか女は直感的に感じ取る今はあちらの女に夢中だから私を前にして上の空じっと見詰めてくる目にいつもの輝きがない思っていることがすぐ表に出てしまうそれが俺の悪いところ本人は本心を隠しおおせていると思い込んでいるのだけどね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/07/01

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• 子どもみたいに

  　　子どもみたいに　　　南風一屋内で作業をするより野外調査の方が好き好奇心のおもむくままに土日を何の見返りもないボランティア調査に携わるのが好き物静かなくせに全然ものおじする風でもなく年配の男たちに混じってうれしそうな顔をしているうーんたとえゴールに着くことができたとしても金銭的な見返りも人生の伴侶が得られるわけでもないそんなものに子どもみたいに目を輝かせて加わっているきみって不思議だねきみのこれまでの人生において土日は一体何で埋まっていたのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/30

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• 二匹の亀

  　　　二匹の亀　　　南風一久々に従兄弟たちと顔を会わせて遊んでいるのが楽しくてこのまま夜が来ないでくれと願う子どものように国府の所在を探して野外調査に出かける癖にこのままずっと所在が見つからないでくれと願うそんなに早く見つかってしまえばそれから後はきみと楽しいときを過ごせなくなる名前の聞こえた神宮近くの川を見下ろして「ああ　親子の亀が泳いでいる」と呟くきみ近くにいるだけで親子かどうかなんて分からないと思うけれどそんなことは言い出さない「神宮の近くではお祭りのときに亀を売る露天が出るだろ。　そこで買った亀が大きくなると水槽で飼えなくなって　買ってきた神宮近くの川に放すのさ。　それで神宮の近くの川は亀がたくさんいるんだ」「そういえば　私の近くでは○○神社の川に亀がたくさんいるわ」にわか談義を信じ込んだものか悪乗りしたものかそれで亀の話は切り上げることにしたまさかしんみりしちゃったら危ないからね （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/28

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• 小娘

  　　　小娘　　　南風一１７、８の小娘にして早や自らの人生に責任を持てと言ったところでそもそも自分の心さえままならないものを無理な注文というものだから「結論を急いではいけないと思うの」と言ったきみの言葉は正しかっただろう若者の熱病みたいなもので今日は「さあさあ結婚しよう」と急いたところで明日になれば「もう別れよう」と言い出すかも知れないきみはどんな本能からそんな正しい言葉を口に出すことができたのだろう俺なんか半世紀近く生きてきてまだきみを卒業できないでいる （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/28

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• 電話の前で

  　　　電話の前で　　　南風一もちろん携帯電話でもいいけれど電話の前でさて掛けるべきかやめるべきか掛けたところで何のこと？なんて驚かれはしまいかあるいはもっと露骨に金輪際電話なんか掛けてこないでと言われまいかいやきっと（待ってましたとは行かないにしろ）電話を掛けてくれたことを喜んでくれる・・・いや話したこともないのにそんなことは有り得ないね・・・そんな風に好きな人のことを想って逡巡したことはないか？冷静に考えればことさら電話を掛けなくっても想いを伝える方法なんて幾らでもありそうなものなのに電話の前で何度も逡巡して「やめとこ。明日にしよう」と回れ右する我が身の不甲斐なさに呆れいやいや最後の審判を回避できたのだから大した成果さと思い直すそんな風に何度も逡巡した日やドキドキと高鳴る心臓の鼓動そんなこともすっかり忘れてしまって何十年になるかな？ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/26

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• 何が好きって？

  　　　何が好きって？　　　南風一３０路に乗ったくらいかな幾ら興味があるからといって土日の朝から夕方まで中高年のおじさんたちに混じって田んぼ道をほっつき歩いたり地籍図とにらめっこして休日を過ごすもっと他に時間の過ごし方がありそうなものなのにこの一年はとりあえずこういう使い方で行くつもりなのだろう他人の時間の使い方にけちを付けるつもりはさらさらないけれど例えば好きな男とデートするとかきれいに着飾って買い物に出かけるとか若い女性にはもっと違った時間の使い方というものがありそうに想像するけれどそれは中高年男のひが事かなあー　もったいない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング 

  2009/06/26

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• 意地っ張り

  　　　　意地っ張り　　　南風一「好きになれって言ったって　そうは行かないわよ」きみは狙いを定めて的確なパンチを繰り出してくるそれなら仕方がないきみが口に出すとおり好きになれなんて言わない俺の方だって求めるものは何もないきみも俺も求めないのだから結果は明らかで金輪際二人は連絡を取らないそう決心したからには意地になっても守り抜くそうやってきみと俺は別れた （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/25

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• 七色

  　　　七色　　　南風一夕暮れに雨が降り出して久々に虹を見た何年に一度といわず一年のうちの何度か昼間の知らないうちに虹は架かっているのかも知れない小学生のころは校庭で遊んでいるとき学校から帰るとき幾度となく虹を見た静かに空に架かっていたところで誰にも気付かれなければ虹は何処にも存在しないに等しい太陽光が水滴を通過するときの乱反射に過ぎないから何処にも存在しない色何も存在しないのに七色揃うとなぜやさしく見えるのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/24

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• タイミング

  　　　タイミング　　　南風一さよならすることできみが死ぬことはなかったし俺が死ぬこともなかった俺はあっさり別の女と一緒になったしきみも後腐れなく別の男の下へ走ることが出来たのかもしれない何が幸せなのか分かるはずないから俺にとって良かったのかもしれないしきみにとっても良かったのかも知れないここで別れても大丈夫俺にとってもきみにとっても。きみに出会ったときからずっとそんなタイミングを探り続けていたのかも知れない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/23

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• 一つだけ

  　　　一つだけ　　　南風一興味があることに取り組むときの姿しか見ていないだから違うところで会ったり別の生活的なことに携われば意見が割れて価値観が全く違うことが分かるのかもしれないそれはそのときでいいのかも知れない歳を重ねればこの人となら一緒になってもいいかもなんて簡単に思えるようになるのかも知れない既製服を求めるように何もかもぴったりする必要なんかないここだけが好きそんな一つだけ一致するところがあればそれだけで十分じゃないかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/22

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• 心の深淵

  　　　心の深淵　　　南風一学生の頃好きな作家がいた作品が気に入ったというのではない問題意識を共有した（と錯覚した）のかも知れないその当時好きな女性がいて思わせぶりな振りをするくせにそれならと近づいていけば遠ざかってゆくそれならとあっさり諦めようとすれば引き止めにかかるその女性の本心が分からなかった心惹かれるけれど幾ら覗き込んでも好きな女性の心の深淵は暗く深い結局何とか理解しようとアプローチを続ける男の気持ちにはお構いなしに女性は深い闇を抱えたまま彼岸へ旅立つ結局人と人の間にはどうしても越えられない深淵があって好きな相手であってもその心の奥にまで立ち入ることはできない人間同士は何処まで行っても分かり合えないそんなメッセージに強く共感したのだった （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/21

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• 後年

  　　　後年　　　南風一後年悔やむことだけは止めようそう思って明確な意思でもってきみから去ったそれなのに今さら悔やんでいるなんてあのときの決断は何だったのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/20

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• 期待

  　　　　期待　　　　南風一きみのことを恋しく思い出すのは期待があったからすきなときに呼び出しあって気ままなところを二人散歩する朝まで話し込んでもいいし二人だけで抱き合っていたければずっと抱き合っているそんな風に付き合えなかったからそうであればよかったと思っているもしそんな期待が本当に実現していれば多分きみではなく今度は別のきみを恋しく思い出していたのだろうね身勝手な男さ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/20

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• ノウセンカズラ

  　　　ノウセンカズラ　　　南風一梅雨空の下オレンジ色のノウセンカズラが咲いているブロック塀を乗り越えて道の方に乗り出して花弁を散らしている梅雨時が来ればいつも同じ花を咲かせている毎年オレンジ色の花には何の違いもないけれど今年の花は今年の花去年の花は去年の花きみも俺も昔のきみは昔のきみ昔の俺は昔の俺今のきみでも今の俺でもない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/17

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• 一人の女

  　　　一人の女　　　南風一ありふれた何処にでもいた女五万といる女の一人に過ぎない女をなぜ唯一無二と思い込んでしまったのだろう容姿とて体形とて性格とて何処にでもいた女の一人に過ぎないそうやって勘違いしなければ人生に生きていく価値を見い出せなかったのかなこの女に出会うために生まれてきたよくそんな臭いことを本気で信じ込んだものだと思う （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/16

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• 男と女

  　　　男と女　　　　南風一幾ら好意を持っているとはいえ一人の女を巡って命を賭ける俺にはとてもそんな真似はできないもし好きな女といえども別に強く女に好意を寄せる男が現れて女の方もまんざらでもないというのなら（あるいは女の気持ちがどうであっても）俺はあっさり女に背を向ける世の中に女も男も五万といるあえて一人の女を巡って男が反目しあうほど価値ある女がいるものかどうにでも見つけて来れる「恋人」を唯一と思い込んで反目しあうほど馬鹿げたことはないもし好きな女に好意を寄せる男が現れたなら祝福してさよならしよう自分より優れた男かどうかそんなことは問わない男に好かれるのも女の運命男が去りゆくのも女の運命女に好意を寄せる男が誰も現れなければそのときは観念して一緒になればいいそれだけのこと （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/14

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• 夢のあと

  　　　夢のあと　　　　南風一昔国府があったとされる里そこには２つの庄屋があって一つは昔のまま立派な門と高い土塀の屋敷跡が残るけれど土塀の向こうには竹や木が高く生い茂って蔦に覆われた土蔵の瓦が僅かに見える母屋はおそらく朽ち果てているのだろう主は医者になって都会に移って行ったけれど若くして病死その後　家を継ぐ者もいなかったらしく昔の屋敷跡はそのままに打ち捨てられているもう一つの庄屋は随分以前に屋敷を売り払って何処かへ引っ越したらしく石垣の屋敷跡にはこじんまりとした家が建っていたその移ってきた主もとうに死に絶えたらしくあとは年老いた老婆が子どもたちに打ち捨てられて介護に困っているという明治７年の壬申地籍図によれば２つの庄屋がその付近の田畑の所有者であり納税者であったそれから僅か１３０年余にして庄屋は消えうせ細かく分割された土地を引き継いだ者とて作物作りで生計を立てている者はいないだろう誰が現代のような社会が到来すると予期できただろう （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/14

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• 遠い記憶

  　　　遠い記憶　　　南風一朝から夕方まで一生懸命に取り組んだところで一銭になるものでもない金銭価値はゼロだけれど約７時間　同好の士と田んぼの畦道を歩いたり田畑仕事をする土地の人に地名を聴いたりして歩く１千年以前の古代官道や国府のことなど誰が覚えているものかすべては歳月と風雪と蟻のような人の営みの下に眠るそんな昔のことなど掘り起こしてくれと言うような酔狂人は何処にもいないだろう田んぼに水を引く水路の近くに繁茂する紫陽花コールタールで黒く塗られた一昔前の農家の外壁家と家を結ぶ小道は細く不思議に曲がっている思わぬところで昭和の風景に出会って遠い昔の記憶が甦る小道を歩いていけば祖父・祖母の家があった祖母が買い物へ出かけて家の前で寝ぼけ眼で一人泣いている幼児が立っているそれはかつての俺の姿だがもう何処にもないそんな記憶を呼び覚ませるものは土地でも風景でもなく生きた脳以外にない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/13

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• タイムアウト

  　　　　タイムアウト　　南風一エレベータのドアが開いても分からない同僚が目前に立っても気付かない何処をどう歩いて戻ったのか覚えていないそれほど心を奪うもの？それは大したことじゃあないいつまで経ってもできないこといつまで経ってもできないから早く取りかからなきゃあと気ばかりが焦るそれで今度こそ席に戻ったら取りかかるぞと思うのだけれど席に戻ると電話が鳴ったり別の用件に振り回されてそうこうしているうちにタイムアウトとなって一日が終わるいつになったら早く取りかかろうと思うことに取りかかれるのかなそんなことを考えているとエレベータは再び１階に戻っていた （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/11

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• 裸体

  　　　裸体　　　南風一男にとって若い女性はいつまで経っても若い（年下かな？）女性女性にすればオールドミスであっても男にとっては出会ったときのままの可愛い女性いつまで経っても当初の感想は変わらないからきみが歳だけ取ったと言ってもぴんと来ないそれが証拠にきみのプロポーションは相変わらず美しい色白の胸の谷間やちらりと覗く膨らみも美しい男は助平だから美しいと思った女性を見るときはいつもその女性の裸体を重ね合わせているだからきみの年齢なんて何の関係もないでも美しいきみといえども着実に糊しろは減っているのかな？きみを美しいと感じるのはあと何年かな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/09

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• 好きという素振り

  　　　好きという素振り　　　南風一付き合ってくれと言い出すと「ごめんなさい、付き合っている人がいるの」と言う女があり黙って頷くけれど陰では好きな男と付き合っている女がいるまだ高校生の年頃なら先のことなど決めにくいだろうからどちらも正しい女の選択ただ男としてなんとなくでいいから「あなたが好き」という素振りを見せてくれないかなきみはいつも遠かったけれど俺が電話したときはいつもにこやかに付き合ってくれたそれだけが俺にとって救いだったかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/08

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• 謎

  　　　謎　　　　南風一国府の所在を求めて壬申地籍図を読む地番を実測地図の上に探していく神社の所在などそうそう変わるはずはないのに地籍図の神社が実測図の上では遠くに引っ越して（？）いたりする（それは後で単に対応付けが間違っていただけと分かった）同じように一人の女性の境遇を類推する年の頃は３０代半ばくらい土・日のフルタイムを優雅に国府探索のボランティアに参加する何より日曜というのに午前９時前には到着して作業に勤しんでいる弁当を持参することなく近くの食堂に昼食に行くくらいだから主婦ではないそれなら歴史好きの独身ＯＬ？それにしては化粧気がないなあやっぱり主婦かな？ジーンズにラフなシャツ姿その姿からはＯＬとも主婦ともいえないこちらの謎もやがて解明されるのかな （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/07

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• お気楽

  　　　お気楽　　　南風一例えば職場の同僚はいつも当たり前に接しているので例えば退職して会わなくなってもいつも通り元気でやっているのだろう（と思っている）暫くして風の便りに物故したという話を聞いてもやはりぴんと来ない今にも「やあ」とか手を振りながら現れ出て来ても不思議ではない（と思っている）会えないだけでいつまでも元気で暮らしている自然にそう思っている方が平穏だし自分が死ぬときも死んでからも生きていたときと同じように毎朝同じ時刻に起きて一日を過ごして寝る（と思っている）生きている限りそんな風にしか思わないお気楽な大脳 （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/06

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• きみの本心

  　　　きみの本心　　　　南風一きみは競合会社が可哀想というあのね俺はきみがぜひもう一度提示させてというからＯＫしただけなんだぜなのに今さらそんなことを言うくらいなら最初から競合会社に譲ってくれれば良かったのだそのくせ帰り際には「澄んだ瞳」の見返しを忘れない一体どちらがきみの本心なんだ？ （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/05

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• 通勤の途上で

  　　　通勤の途上で　　　南風一ふと俺の幻想だったのかも知れないなあと思う街角でありきたりの横道から出てきた自転車に乗った若い女性続いて向かい方向から自転車でやってきた女子高校生風の女性たまたま俺の好みがそうだったのか二人とも色白の美人だったこんなに簡単に惹かれてしまいそうな女性に出遭ってしまうのだからきみと同じかきみよりもっと可愛い女性は確率的にはたくさんいたのかも知れないねそれなのに俺の視野が狭いばっかりにきみのことを唯一の恋人のように思い込んでしまった俺はそんな風にきみにぞっこんだったけれどきみの方は案外クールだったのかも知れない （詩集の宣伝）「きみのちきみ１２０％」１２月５日発売。購入は、こちらからどうぞ詩が良かったと思う方は人気blogランキング

  2009/06/05

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