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カテゴリ:読書
夏休み最後の週末が終わりました。
ああ、もうすぐ二学期か…(-_-)

さて、日記にはしばらく書かなかったけど、マイケル・ジャクソンの訃報をきっかけとした私の中の「マイケル・ブーム」は実はずっと続いていまして、DVD4枚、CD4枚購入して、最近ではiTunes Storeでジャクソン5やモータウンで出したソロ作品の曲をダウンロードしたりもしています。

もう絶版になっている、マイケルが29歳、BADの頃に著した自叙伝「ムーンウォーク」も、「図書館にならあるかも」と予約したのが7月のアタマ。それが、お盆の頃には借りられるようになったので、借りてきて、読了いたしました。

いやー、面白かったです!

苦しい暮らしから脱出するために、父親の指導の元、練習に継ぐ練習、ステージに継ぐステージ、という過酷な生活をスタートしたのは、マイケルがわずが5歳の時。
高熱で学校を休んだ日の夜にもステージに立つ、という、およそ「子供時代」とはかけ離れた生活。
そんな生活の中でも、ステージ脇から大御所達のステージを食い入るように見つめ、どんどん吸収していった少年マイケル。
成長の過程で、どのように自分のスタイルを確立し、自分の信じる音楽性を妥協なく追い求めていったかがよくわかりました。

「オフ・ザ・ウォール」がもたらした成功のお陰で孤独にさいなまれ、「親友がほしかった。自分のことを知らないけど、人間として自分を気に入ってくれる誰かにあいたくて、近所をうろうろしたこともある」というエピソードには、スーパースターの孤独と共に、それを包み隠さず告白するマイケルのまっすぐさに打たれました。

「オフ・ザ・ウォール」の次の「スリラー」を、「歴史上で一番売れるアルバムにする」と決めて製作に取り組んでいたマイケルを、多くの人が笑ったことを挙げて、「みんな疑い深すぎるのです。自分で自分を疑っていては、最善を尽くすことなどできないんです。自分が信じなかったとしたら、だれが信じてくれるのでしょう?」という彼の言葉も、とても印象に残りました。

自分を信じて最善を尽くす、ということは、自分に言い訳をする余地を与えない、ということ。強いけど厳しい言葉です。

彼がここまでのスーパースターになったのは、才能と、自分に対する厳しさ、そして自分を信じる強さがあったからなんだなあ、と改めて感動。

また、「感謝」という言葉の多さにも感じ入りました。やはり、一流の人は謙虚ですね。

折しも、この本、再販される計画があるということ、その時には是非購入したいなあ、と思います。

が!!!

この本に対して残った唯一の不満は「翻訳」

誰が訳者か知らずに読み始めたのですが、読み始めて文体にすぐ違和感を覚えました。
一見、読みやすそうな文体なのに、なんだか読みにくい。どこかぎこちないというか(翻訳文は大なり小なりそうなりますが)、英文に精通している人の訳文ではないのでは……と思いながら読んでいました。

翻訳は誰だろう、と思って訳者を見て、納得。
名前はあえて書きませんが、いわゆる有名な元作家だったのです。

時々ありますよね、訳者のネームバリューを当てにして、翻訳が専門ではない著名人が訳すこと。著者で充分有名なマイケル・ジャクソンの自叙伝でも、その手が使われたか……とがっかりしながらも、とりあえず読み進めましたが。

あかん、やっぱりこの訳文、合えへん…orz

話しかけるような口調をあえて狙ったのでしょうが、なんだか甘ったるくて舌っ足らずな感じ。やたらと終助詞の「ね」が使われているのも違和感を覚えました。

マイケルが白い靴下を好んで履いていたことについて、どうも「白い靴下をはくのはダサいことだった」と言いたかったようなのですが、それを全部「スクェアなこと」と訳してあるんです。
英語では確かに真面目ちゃんでいることを「square」というようですが、それを日本語で「スクェアなこと」(なぜか「ェ」は小文字)と書かれても、意味わかるか? それ、普通の表現か??と突っ込みたくなります。

それから、ジャクソンズ時代の曲「Blame it on the Boogie」の「Blame」を、同じページで「ブレーム」と書いたり「ブレイム」と書いたり、表記が揺れているのも気になるし。作家の割に無頓着じゃないか?

他にもいっぱい突っ込みたいところがあるのですが、一番「オイ!」と思ったのが、「姉」のラ・トーヤを「妹」と訳していたこと!!
(一箇所や二箇所ではないから誤植ではない)
「sister」としか書かれてなかったのでしょうが、ラ・トーヤも有名人なんだし、ちょっと調べれば姉か妹かわかるだろ! 

……と、あまりに魂のこもっていない仕事ぶりに、ムカムカしたのでした。

「ムーンウォーク」は、この秋に再版されるようですが、日本語版の訳者が同じ人物なら、日本語版を買わずに英語版を買おう、と思いました。

高校生の時だったか、W.サローヤンの「パパ・ユーアクレイジー」を読もうとしたのですが、伊丹十三氏によるあまりにぎこちない訳(ご本人が意図的にやったものだったようですが)に、耐えきれなくなって、途中で投げ出した経験がありますが、それを思い出しました。

翻訳って、英語の和訳の問題を解くのとは違うんだから、もっと英文に精通している人に訳してもらいたい、できれば、元の英文の存在なんて感じさせない日本文にしてくれたら最高なんだけどなあ。





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最終更新日  2009年08月24日 07時05分00秒
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