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映画大好き夫婦のパリ新婚日記

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2007.08.19
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今月8日にクロード・シャブロルの新作「La fille coupee en deux」が公開されました。

(注:2007年8月の日記です。)

前々から宣伝されていたこの映画、20世紀初めにアメリカで起きたセンセーショナルな事件を
現代のフランスに置き換えたものだそうです。

またもやシャブロルらしいブラックなブルジョワの世界が展開されているらしい・・。

この新作と同じ事件をモチーフにした、リチャード・フライシャーの「夢去りぬ(1955)」が
いつものLa Filmotheque Quartier Latinでリバイバル上映されている事に気付き、
これまた宣伝にあおられて出かけてきました。

感想は・・・う~ん、ファーリー・グレンジャー、レイ・ミランド、ジョーン・コリンズのファンと、
20世紀初めの風俗や華麗な衣装・インテリアに興味のある人にはおススメ!

(個人的には英語がなぜかとっても聞き取りやすくて気持ちよかったです。
もちろん、ストーリー理解の為に字幕に頼りまくりだったのは言うまでもないけど。)




でもこの映画、致命的な欠点が一つありました。

・・・伝えたい事が分からないのです。

「何通りもの解釈が可能な映画」とでもいえば聞こえはいいけど、
この作品の場合は実際に起きた事件をどう解釈していいのか監督自身も決心がつかないまま、
仕上げてしまった様に見えました。

私の様に人間間(あれ、「にんげんかん」って書きたいのだけど、漢字にするとおかしい?)の
ドラマ重視で映画を観る人にはもの足りない映画だったなぁ。

男優達がいい演技しているだけに惜しい!

ここからはちょっとネタバレ気味です

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実はこの映画、見終わってちょっと悶々としてしまいました。

まず、ジョーン・コリンズが演じるヒロインの「イヴリン」と、ファーリー・グレンジャーの
激情型の青年「ハリー」の間にあるお互いの気持ちの推移がうまく掴めない!


悶々ポイント1
なぜ、イヴリンは妻子もちのスタンフォード・ホワイト(レイ・ミランド)を愛しながらも、
ハリーの求婚を受け入れたのか?

考えられるのは
a ホワイトを忘れる為
b 熱く求愛してくるハリーに情がわいたから
c 性格に難があるものの、ハリーはいい男だから何となく惹かれていった
d ハリーが超お金持ちだから。

セリフのみを信じるならaとbが正解で、cも少しはあるのかな・・・という感じなのだけど、
イヴリン演じるコリンズがビジュアル的には設定通りの「純真無垢な娘」に見えないし、
また(後で書くけど)映画のラストではイヴリンにバチが当たったと解釈できない訳でもないし・・
観終わった後はdの要素もあったのかなと思ってしまった。


悶々ポイント2
ハリーはなぜイヴリンに激しく求婚し、結婚後にスタンフォードを殺したのか?

考えられるのは
a 社会的に自分よりも認められているスタンフォードに前々から張り合う気持ちがあったから
b イヴリンを愛していたから
c ハリーの母親が終わりの方で言う通り、ハリーはその生まれと育ちのせいで
  感情をコントロールできない人間に育ってしまったから。

映画を観ていると最初はaの要素が高い様に見え、でもいつの間にかbの要素のみが
強調される様になり、最後になって急にcが飛び込んできて・・・リレー形式の様に
事件の焦点がズレてくるのは痛い!


悶々ポイント3
この映画の原題は「The girl in the red velvet swing(赤いベルべットのぶらんこに乗った少女?)」。

それは映画の初めの方で、イヴリンがスタンフォードの家にあるぶらんこに乗って
はしゃいでいるシーンに由来しています。

・・・・が、観客は映画の最後にもう一度、赤いブランコに乗ったイヴリンを見る事になります。

なんと驚いた事に、場末のショーで!

ハリーに捨てられたイヴリンは生活の為(ですよね?)、ここで働かざるを得なくなるのですが
「センセーショナルな事件のヒロインが自分達の頭上のぶらんこに乗ってスカートを
はためかせているだけでオヤジ観衆は大盛り上がり!」
というシーンで、この映画は幕を閉じます。

このシーンではイヴリンを哀れむべきなのか、それとも「面白いアイディアねっ!」と笑うべきか、
いやいやそれとも(これは帰り道で思いついたのですが)これはイヴリンにも罰が下ったのだと
考えるべきなのかちっとも分からず・・・こちらがあんぐりと口を開けている間に
映画が急に終わってしまったのは辛かった・・。



あーあ・・・男優達がいい演技しているだけに惜しい!
(結局そこに戻る私。)


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最終更新日  2008.05.11 07:09:16
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