テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画(今世紀)
フランスでは1月23日から公開されていた 『ノーカントリー』を観てきました。 ・・・が、観終わった感想は「結局、何が言いたいの???」。 (なのでこの日記はかつてないぐらい否定的な意見のオンパレードです、 ごめんなさい。 まだ観ていない人には役立たない事しか書いていないのですが、 何か言うとしたら 「(私の様に)こういうジャンルが好きでない方は、観る必要がない作品」 という事でしょうか? ネタバレ部分は白で書いてマークで囲みますので、 読むにはドラッグで反転させてくださいね。) 概要を自分で書くのも面倒なので、Yahoo!映画からコピーさせてもらいます・・・。 1980年代のテキサスを舞台に、 麻薬密売に絡んだ大金を手にした男が非情な殺し屋に追われる サスペンス。 監督は映画『ファーゴ』のコーエン兄弟。 大金を手にした男を映画『アメリカン・ギャングスター』の ジョシュ・ブローリンが、 彼を追う殺し屋を映画『海を飛ぶ夢』のハビエル・バルデムが、 殺し屋を捕らえようとする保安官をトミー・リー・ジョーンズが演じる。 独特の緊迫感と恐怖を演出し、人間と社会の本質をあぶり出す コーエン兄弟マジックが見どころ。 この紹介文に書いてある通り、 確かに映画中盤でハビエル・バルデムがジョシュ・ブローリンを 殺そうとして近づいていくシーンは最高級の出来でした。 全体を見ても大根な役者は居らず撮影のあまいシーンもなく、 一見文句のつけようがありません。 映画としては悪くないのでしょう・・・でもこれが アカデミー4部門受賞とはどうしても納得がいかないので、 思いのたけをかかせていだたきます!! この作品についていけなかった1つ目の理由は、初めの方から (特にブローリンの妻が「悪い予感がするの」と言う部分から) バルデムとブローリンの2人を待っている決着が読めてしまう事です。 何しろ私は映画を観つつも 「始まってからまだ1時間経っていないはずだから、 まだここではこういう展開にはならないだろうな」 なんて考えたりしちゃいました・・・。 恐ろしい映画なのに先が見えていた分私は大部分を淡々と観てしまい、結局 平和ボケの激しいこの頭では、描かれている「アメリカの危機」が えらく遠いものにしか感じられませんでした。 先日観た『ファーゴ』も同じく救いのない作品だったものの、 あちこちのちょっとしたシーンから 登場人物1人1人のふだんの性格が伺える丁寧な描き方をしている上、 ありがちな人生が思いがけず急に犯罪に巻き込まれていく恐ろしさが じわじわと沸いて来る脚本で、 ふだん観ないジャンルの作品なりに感じるものがありました。 でもこの映画の場合保安官はまだいいとしても、 金を盗んだ男(ブローリン)と、それから特に殺人鬼(バルデム)の ふだんの生活や性格があまり分からないうちに あれよあれよという感じで事件が始まってしまったので、正直 「こんな大金を持って逃げたら、後を追われても当然だしね」 ぐらいの目であらすじを追いかける事になってしまい (普通だったらブローリンにもっと同情し、 応援するのかもしれませんが) 観ていてだんだん虚しくすらなってきました。 それと同時に残酷なシーンがこんなにもあり、 道徳観念も何もない作品が「12歳未満」にしか 禁止されていないなんて・・・と思うと身震いしました。 (これが、この映画の1番恐ろしいところかもしれません。笑) 「12歳未満禁止」と言えば、 先日観た『スウィーニー・トッド』も同じくでしたね・・・。 こちらも観ている最中になんとなく結末が分かってしまう作品だったけど (これがハッピーエンドになると予想しながら観る人も少ないのでは?) 残酷だけど哀れなトッドを観ているとついつい応援してしまい、 ラストの方では本っ当にドキドキハラハラさせられたのでした。 ところが『ノーカントリー』の場合、 思い入れのできる人物が居なかったからこそ (上に書いた通り)観ている間に虚しくなってしまったのだと 観終わってから気づきました。 えぇ、分かってます、 『スウィーニー・トッド』と『ノーカントリー』を比べるのは かなり強引だって。 結局は個人的な好みの問題なんだし。 だけど例えば、同じくテキサスを舞台にしていて、 かつトミー・リー・ジョーンズが主演(兼・監督)している作品 『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』(2005年)は 『ノーカントリー』同様にグロいシーンや苦しい場面もあるのですが、 その一方で美しい景色や人間の優しさなども見せてくれていました。 なので私でも存分に満喫できたのですが、 『ノーカントリー』と来たら・・・。 この映画を褒めている人のレビューを幾つか読んでみたところ、 「観終わってしばらくしてから良さが分かり、 もう1度観てから更に理解できる作品だと思う」 とか 「ストーリーに振り回されてはいけない (その為にはやっぱり、もう1度観ないとダメなのかな?私の心の声)」 とかいった主旨のものもあったのですが、 初見で好きになれなかった私がこの映画を観直す事はないでしょう・・・ 今の私にとっての「映画」とは、何をおいてもまず「娯楽」で あってほしいものなのだから。 やはり先が読め、登場人物の誰にも感情移入できず、 救いがなければ美しい風景すらない作品は、 いくら迫力のあるシーンがあっても見応えなかったです。 ふだん意識していない「アカデミー受賞」の言葉につられて観にいったものの 「苦手ジャンルの作品は、今後やっぱり控えよう」 なんて思わされてしまう映画でした。 ・・・ま、ここまでケチョンケチョンに思うのも、私が 「ハビエル・バルデムの顔が面白いな。 (髪の毛いつ切っているんだろう?リンスは何を使っているのだろう?)」 なんて思ってしまったからなのかもしれませんが。 彼が出てくる度「怖い」と思わずに「面白い顔」なんて思った人は ほとんど居ないかもしれませんが、 少なくとも私にとってはそうでした。 そんな思いっきり個人的事情もあるので、 私の評価は正当ではないかもしれませんね。 ランキングに参加しています。 投票(をクリック)していただけると、嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[アメリカ映画(今世紀)] カテゴリの最新記事
|
|