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映画大好き夫婦のパリ新婚日記

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2008.04.18
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実はもう1週間以上前の事なのだけど、ポンピドゥー・センターの吉田喜重特集にて
『人間の約束』(1986)を観てきました。



allcinemaから紹介文をひっぱってみます。

新興住宅地で起きた老女の死を巡り、老人の痴呆を取り上げ、介護や親子の絆といった問題を
描いた社会派のホーム・ドラマ。東京都多摩市の新興住宅地にある森本依志男宅で、
寝たきりの老母、タツが死んでいた。調べてみると他殺の形跡が見られた。そして、
その日の夕方、タツの夫の亮作が、自分が絞殺したと自首する。驚く息子夫婦だったが、
取調べをしてみると亮作自身もかなりのボケの症状が現れていた。やがて、痴呆の老人を
抱えた家族の苦悩が浮き彫りになっていく……。






ポンピドゥー・センターのパンフレットにも同様の紹介文が掲載されていたので、
観る前の時点で既に、テーマから生じる暗さや重苦しさを覚悟していました。

いざ始まるとさぁ大変・・・認知症になって心身が以前の様に機能しないタツ(村瀬幸子)の姿や、
積極的に彼女の面倒をみるものの自らも認知症になり始める夫(三國連太郎)の様子を通して
映画は幸せに老いる事がいかに難しいかを赤裸々に描いています。

また、同居中の両親の事が心配ながらも日々葛藤し続け、母を入院させたり退院させたりと
右往左往する息子夫婦(河原崎長一郎と佐藤オリエ)や、老人とは一切の関わりを絶つと
心に決めている孫(杉本哲太)には、認知症の老人を抱えた家族の様々な意味での
やるせない気持ちがありその結果、家庭が崩壊しかかってきています。

見ていて辛い場面が多いし、映画の初めの方ではなんと三國連太郎が失禁したり、
後半部分では村瀬幸子の半裸がカメラに収められていていたりで、仰天してしまう場面も
ありました。

それでも観客としては苦しみ過ぎず、「もう退室してしまいたい」と思わずに済んだのは
どの登場人物にも肩入れし過ぎない一歩引いた演出と、サスペンス仕立ての見事なシナリオの
おかげでしょう。

タツの死の理由の核心をしっかりと最後まで見せてくれるので
「地獄まで(この作品に)ついていってやる」
という気持ちで鑑賞していた一観客としての私の努力(?)は、報われました。

「難解」と言う言葉の付き纏う吉田作品だけど、誰にとっても身近に起こり得る社会的な問題を
取り上げたこの映画はとても分かりやすかったです。





かと言って『人間の約束』は認知症になった老人とその周りを描くだけのヒューマン・ドラマには
とどまっていませんでした。

繰り返し挿入される水藻や(想像上の)お遍路巡りの映像が心に残る、地味だけど美しい作品
です。

映画に現代的な音楽が乗っているのは個人的には好きではないのですが、
老いの哀しさ・苦しさと、たまにやってくる老夫婦の穏やかな心情風景を並べて描く本作品には
細野晴臣の曲がとても合っているとも思いました。

最初はテーマがテーマなだけに映画館で観る必要のない、TVで十分な作品かもなんて
考えていましたが、それは間違いでしたね・・・ごめんなさい。





TVと言えば・・・この映画には私がTVで見慣れてきた佐藤浩市や武田久美子がちょこっと出演しています。

この2人以外は(実力に溢れているものの)顔をよく知らない役者さん達ばかりだった事もあって
映画の世界にうまく引き込まれていく事ができたのですが、私は佐藤浩市が出てくるとどうしても
テレビドラマなんかを思い出してしまいます。

顔の売れている役者さんって大変だなぁなんて、改めて思ってしまいました。
(ちなみに本作が三國・佐藤親子の実質上の初共演作品なんだそうです。
ほとんど絡みはありませんが。)





テーマが暗くて地味な作品なので、誰かに
「DVDをレンタルして観てみたら?」
と勧める気にはなれませんが、個人的には満足な、見応えのある作品でした。

(1番上の写真は、ポンピドゥー・センターのホールです。
映画が終わったのが夜の10時半過ぎだたので、ガラガラでした。)


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最終更新日  2008.04.21 03:37:31
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