新着記事一覧 | 生きざま。

手紙を書くように

「今は泣いていいよ」って言ってくれてありがとう自分のための涙なんてずっと忘れていた気がする「挫折は怖くない」ってそんな言葉があの頃本当はすごく怖かった負けまいと無理して笑って誰かに失敗を望まれているみたいで意地になって勝って勝って勝ち続けたけど身も心も一度、壊れたからわかるんだそれでもまた夢は芽吹いたからわかるんだ。溢れ出すものが止まらなくなってわたしはわたしが切実に生きていることを知った。大切なことを教えてくれるのはいつもあなただった。たとえもうこの声が届かないとしてもあなたに手紙を書くように日々を生きようと思うのきっと二度と会えない二度と逢わないだから丁寧に毎日の生きざまを綴って恥じない手紙を書くように今日を生きようと思うのあなたに手紙を書くように日々を生きようと思うの今日を生きようと思うの生きるの

2017.05.01

生活

どうしてわからないんだよ腹が立つ　腹が立つ　腹が立つ言えなかった　言わなかった何度もさっきを再生して腹が立つ　腹が立つ　帰り道だけど服を脱いでわたしに戻って熱いお湯に浸かったらつま先からほどけてゆく喉元のかたまりもゆるゆるとそうだ、わたしにはこれがあるあんなやつたいしたことないじゃないそして好きな歌を口ずさみながら作ったおいしいご飯心から満たされてゆく体の隅々までほかほかとそうよ、わたしにはこれがあるあんなことたいしたことないじゃないお風呂とご飯と音楽とあの人がくれた大事な言葉それだけあれば大丈夫それだけあるから大丈夫明日も生きてゆけるのですそうだ、わたしにはここがあるそうよ、あなたにもそこがある明日も生きてゆけるのです明日も生きてゆくのです

2017.04.27

あまりもの

どれだけ長く一緒にいてもほんの少し気を遣い合うそんな二人が好きでした大切ゆえの思いやりだったいつも冷蔵庫のあまりもので何を作ろうか考えたよね楽しかったなあ楽しかったよね？記憶のなかにしかいないあなたに呟くひとりごと悲しいのか寂しいのかわかんないや　わかんないや傷つけないようにってズルい傷つくのが怖いんでしょうそんなことならわかりますだってわたしだって同じだものねぇ二人の日々のあまりものじゃもう何もできるものはないかな温かいものは生まれないのかなあなたを失うということは恋や愛を失うよりずっと、ずっと…。どうでもいいことばかりに浸っていられたらよかったあまりもの一緒に食べて笑い合えるだけでよかったどれだけ長く一緒にいてもほんの少し気を遣い合うそんな二人が好きでした大切ゆえの思いやりだっただからこそ、さようなら。

2017.04.26

それならそれで

ちょっと待ってと言ったって時間はわたしを癒してゆくもったいない、もったいない薄紅のかさぶたを引っかくあなたのことを考えない日なんてないよわたしのことを考える日なんてないでしょそれならそれでそれならそれでいいのだけれど「サヨウナラ」手を振って、お願い。なにもなかったように消えてゆくのはどうして？せっかく弱くなれたのにあなたしか知らないわたしをどこに置いておけばいいかな。ちょっと待ってと言ったって夜明けは必ず訪れるのもったいない、もったいない夢で記憶を増やしていたい白黒つけないクライマックスの映画が好みだった二人にはふさわしいのかもねそれならそれでそれならそれでいいのだけれど「アリガトウ」微笑んで、お願い。逃げて楽になってもいいから大丈夫だからせっかく強くなれたのに捲ったページが突然真っ白なのは哀しいよさすがに、哀しいよ。「サヨウナラ」手を振って、お願い。二度と会えなくたってそれならそれでいいから「サヨウナラ」届くまで、想って。このまま終わりだってそれならそれでいいからそれならそれでそれならそれでいいから。

2017.04.24

母になれたら

産めない哀しみあなたから聞いた帰り道わたしは平たいこのお腹を撫ぜてみました産まない苦しみなんて言えるわけないじゃない「贅沢な悩み」聞こえた気がして俯いた母になれたら、母になれたらそんなあなたにわたしの体だけあげられたらいいのに母になれたら、母になれたら当たり前にそう思えるように生きてくればよかった一体いくつの夢を叶えたならわたしの心は膨れる？比べるものじゃない、わかってる恋の歌なんて必要じゃなくなるのでしょう愛の歌すべて注ぐ先が変わるのでしょう母になれたら「あなたにはわからない」って怒ったりしないでよ諭したりしないでよ呆れたりしないでよあなたはもちろん、間違ってないだけれどわたしも、間違ってないあなたにはわからないって怒りたいのは同じ泣きたいのは同じ苦しいのは同じそれなのにブレるのよ、どうしても肩身が狭くなるの、どうしても母になれたら、母になれたらそんなあなたにわたしの体だけあげられたらいいのに母になれたら、母になれたら当たり前にそう思えるように生きられたらいいのに母になれたら、母になれたらいいのに

2017.04.23

あなたの星

道はわかっていた他を行く人の方あちこちよそ見して迷子のフリしていた「あの星だけを見つめて生きなさい」星座の名を訊ねたら「知らない」って笑ったねそれだけで救われたの簡単なことだったの輝きたいあなただけが見つけてくれる星になりたい輝きたいあなたのためだけに瞬く星になりたいどの季節も似合わなくて怖かった他の星たちとちゃんと結べなくて怖かった輝くのが怖かったあなたに逢うまでずっとずっと輝きたいあなただけの星になりたいたったひとつの輝きたい名も持たない星になりたいあなたの星に輝きたい、見つけて、笑って。

2017.04.22

桜が溶ける頃

届け。言葉より伝わる気がしてただその目を見つめ続けた春の夜、あなたとの最後の日。10年後にまた逢いましょうそんな歌は信じてなかったそれなのに不思議なものです凛と懐かしい声が響くどうしてそんなに強いのかあの頃から不思議だったけど今日はじめてわかったのです流れ落ちた一粒の雫あなたがこれまでどれだけの涙をどれだけの涙を届け。少し触れ合った右肩で知らないあなたを知りました春の夜、手の平に爪のあと。どうして話してくれたのかもうなんとなくわかっています10年後にまた逢いましょうそんな歌を信じたいけど雪が溶けるよりゆっくりと桜が溶けるようにゆっくりと届け。わたしもっと強くなるからあなたのように生きたいから春の夜、桃色の羽が舞う届け。一生分のありがとうも今日の日の溢れる想いも忘れない、手の平の三日月を届け。言葉より伝わる気がしてただ心を見つめ続けた春の夜、あなたとの最後の日。

2017.04.21

眠れぬ夜に

取り返したい言葉を思い出せばキリがない伝えたかった言葉を数え出せば果てしないこんな夜にはせめてわたしが思った時間の分あなたの夢でそっと優しくできたらいいのにそんなわけないよねそんなわけなくていい悲しくて悲しくてねしあわせに満ちてしまうしあわせでしあわせでね悲しみに満ちてしまうこんな夜にはせめてあなたを思った時間の分わたしの夢でそっと笑ってくれたらいいのにそんなわけないよねそんなわけなくていいだけど叶うことならば取り返したい言葉も伝えたかった言葉も悲しみもしあわせも花束にしてその胸にぶつけたい何度も何度もぶつけたいのあなたとの一日は生涯の宝物になりました。だけどね、だからね取り返したい言葉を思い出せばキリがない伝えたかった言葉を数え出せば果てしないしあわせでしあわせでね悲しみに満ちてしまう悲しくて悲しくてねしあわせに満ちてしまうしあわせに満ちてしまう

2017.04.17

最後のタンポポ

ふたりのすべてを誰かに話すためにはもうすこし長い時間がかかりそうですだんだんあなたを忘れてゆくそれは正しいことなのだけどどんどんわたしを離れてゆくそれは眩いことなのだけどさびしいなって思わず呟いたくちびるで風をそっと吸い込んだフーッと吹き飛ばすあなたとの出逢い旅立ってゆく白い羽たちは互いの未来のところどころで希望を咲かせることでしょう光に生まれ変わるのでしょうあなたの名前を口にするだけで何故か微笑んでしまう泣きたくなってしまうのだんだんわたしを忘れてゆくそれは哀しいことなのだけどどんどんあなたを離れてゆくそれは不安なことなのだけど胸はしあわせに満ちて十分。もう十分。風をも一度吸い込んだフーッと吹き飛ばすあなたとの別れ舞い上がりゆく白い羽たちの景色は一生の宝物で生きゆく力になるのです明日の光になるのです大切から溢れるほど大切な人でしたさようなら。フーッと吹き飛ばすあなたとのすべて旅立ってゆく白い羽たちは互いの未来のところどころで希望を咲かせることでしょう光に生まれ変わるのでしょう

2017.04.11

命にはかなわない

いろんなことがちゃんとできないわたしだけれどたったひとつのこの夢だけは誇りだったのだけど傷だらけでも痣だらけでも愛するヒトと奇跡を育てたあなたの前では埃だったわだって何をどうしたって命にはかなわない一生、言いたくなかった言葉が溢れてしまった夜でした夢なんか、見なきゃよかった。「わたしはわたし」そんな魔法はもう効かなくて命を繋いでゆくそれがしあわせそれでしあわせずっとそう思えるように生きてくればよかったなんでそう思えるように生きられないんだろう一生、言いたくなかった言葉が涙になった夜でした夢なんか、見なきゃよかった。何をどうしたって命にはかなわない誰かに認めてほしいだけだった誰かに認めてほしいだけなんだ一生、言いたくなかった言葉が溢れてしまった夜でした夢なんか、見なきゃよかった。

2017.04.10

まつりの後のまつり

瞳を閉じなければあなたがいない明日にこれからわたしは行くのそんな世界でいったい誰とどうやって生きてゆこうそれぞれ薬指に錆びた約束を飾ったまま出逢った二人でしたねだから半分欠けた愛をお互いに持ち寄って小指を絡めたのです今さらって想いながらここからって期待していた瞳を閉じたほうがずっとマシなあの頃にこれからわたし戻るのそんな世界でいったい何をどうやって生きてゆこうどんな数字にゼロをかけても無力なこと同じそういう二人になってどんな言葉かけてもかけてもかけても届かなくてあなたのゼロになった今さらって裏切られてこれまでって思い知ったのあなたの薬指は約束を取り戻してあなたの小指は偽りをそっとほどいたわたしの薬指はもう時効を迎えてわたしの小指はさようならと揺られていた瞳を閉じなければあなたがいない明日にこれからわたしは行くのそんな世界でいったい誰とどうやって生きてゆこう何をどうやって生きてゆこうどうやって生きてゆこう

2017.04.07

全部、教わった。

最後に「またいつか」と言ったねきっとわたしこれからもその言葉を飴玉にしては晴れたり泣いたりするのでしょうねぇ真っ青な空だけがしあわせじゃないこと満月より綺麗な三日月があること涙をごまかすには雨は冷たすぎること悲しみをなでるため涙はあたたかいこと光が痛いときはまぶたを閉じていいことしあわせが怖いときは手を離してもいいこと離した手は何度でも繋ぎなおしていいこと「ありがとう」の瞳が「さようなら」を語ること心臓より大事なものを失くしても続いていく日々を生きていくために必要なことは全部、教わった全部、教わったから最後に「またいつか」と言ったねやさしい嘘をありがとうこれがあなたへの最後の唄もう全部、教わった。

2017.04.04

アリとキリギリス

「最終電車纏うものはスーツ背負うものは家族路上にはいつもの弾き語り相変わらずたいしたことないな立ち止まるやつが少しくらい増えたくらいで調子に乗るなよいつもちゃんと生きてきたずっと真面目に生きてきた　生きているそれなのにどうしてどうしてこんなに空しいんだ教えてくれよ」「最終電車纏うものは野心背負うものはギター通り過ぎてゆくサラリーマンあいつみたいになるよりマシだな好きでもない仕事で稼いで短い人生を終えればいいいつも必死で生きてきたただ夢だけに生きてきた　生きているそれなのにどうしてどうしてこんなに苦しいんだ教えてくれよ」アリたちの鼓動に讃美歌をキリギリスの音色に拍手をそうやってわかりあえたらいいけどきっとわかりあわなくたっていいさあいつのことなんかわからないわかりたくもないそう思うことは間違いじゃないあいつになんかわかるはずないわかってほしくもないそう思うことは間違いじゃない誰かを“不幸”と名付けることで心が保てるならそれでいい生きてゆけるのならそれがいいのアリとキリギリスそれぞれの正解があるアリとキリギリスそれぞれの生き方があるあなたは間違いじゃない

2017.03.29

ホントのことを話します

あのね、今日だけはホントのことを話しますどうしてでしょうかきっとこれまでで一番やさしい夜のせいでしょう「みんなちがって、みんないい」教わったときから多分そんな言葉が嘘だって気づいてしまっていたんですだから黒を選んだわたしはダメでずっとずっとダメでお揃いのパジャマあたたかい食卓小さな庭のみどり何ひとつ想像できなくて神様からの「もういいよ」って言葉を待ち続けていたんですきっと白が似合わぬわたしはダメできっときっとダメでアイロンかけて火傷することみそ汁に入れる具に悩むことあげっぱなしの便座に怒ることすべてが明日おわってしまうおとぎ話のようで怖くて心に蓋をしていたんですだって夢を選んだわたしはダメできっとずっとダメで指を握る小さな手赤いランドセルの背中愛しかない「おかえりなさい」欲しいとも思わなかったのになんだか、あなたのせいなんだよ幸せなうたを歌いたいの「みんなちがって、みんないい」今だってやっぱり多分そんな言葉は嘘だけどダメでダメで仕方ないけどなんだか、あなたのおかげなんだよ幸せなうたを歌いたいと思えるの幸せになりたいあのね、今日だけはホントのことを話します明日になったらもとのわたしに戻ります朝は隣で笑ってください夢でも見たと笑ってください

2017.03.27

わかってなかった

ごめん、何の役にも立てなかった非力より微力になれればなんて思い上がってその背中を押して未来はホロリと崩れてしまった「あなたのせいじゃないよ」と言ってくれるけどたとえ何にせよ叶わない運命だったとしても夢見る時間をあなたが幸せと呼んでいたならきっとそれでよかったのにパンッと手を打って白と黒の現実に向かわせて夢見る時間をあなたから奪ってしまったんだね「きっとこれでよかったんだ」そんな哀しい笑顔は、わたしの言葉のせいだ。「あなたのせいじゃないよ」と言ってくれるけどわかってなかった虹を待って雨に濡れる時間は夢見る時間はあなたにとって幸せだったこときっとそれでよかったのにこんな淋しい笑顔で、青空を見上げている。ごめん、何の役にも立てなかった非力より微力になれればなんて思い上がってその背中を押して未来はホロリと崩れてしまったそれでもまた心で探しているそんな哀しい笑顔のあなたをこんな淋しい笑顔のあなたをいつもの笑顔にできる言葉を、また。

2017.03.24

会社の窓から折り鶴を

ここはあまりに優しくないよねそっとしておく思いやりなんてなにもしなくていいだけの気楽だからできない逃げたい泣きたいそんなこと言い出せなくて今日も一人で強くなるあなたもそうでしょう？大縄跳びやイス取りゲームはオトナになってからが本番で私は負けるまえにイチ抜けただからできない逃げたい泣きたいそんなこと言わずに済んで今日も一人で弱くなるあなたもそうでしょう？誰にも言えない強さを誰にも言わない弱さを綴った折り紙でツルを飛んでゆけ飛んでゆけ誰かの手元に落ちてゆけほんのそれくらいの、希望。あなたもそうでしょう？

2017.03.23

傷つけるために

だから言いたくなかったの。あなたのこと傷つけたかもしれないだって叩いたあとの手のひらみたく今、心がジンジンとしているからわたしの「大切」を伝えたくて目の前の「大切」を失くしそうやさしさと強さのバランスはどうしてこんなに難しいの？傷つけるために出会ったんじゃないあとどれだけの雨に濡れたならあなたをもっとわたしをもっとだから聞きたくなかったの。大切な人から教わった言葉あらん限りにかき集めてあなたを傷つけ返してしまう自分がいるあなたに痛みを与えることでわたしの痛みを知らせるなんてやさしさでも強さでもないよそれでもこんなに必死なの傷つけ合うためのふたりじゃないあとどれくらいの春を浴びたならあなたにもっとわたしはもっと大切な人の前なのに弱く　どこまでも弱くなる大切な人の前だから弱い　どこまでも弱いわたしで向き合ってしまうの向き合いたいと思うのあとどれだけの雨に濡れたならあなたをもっとあとどれくらいの春を浴びたならわたしはもっと傷つけるために出会ったんじゃない。

2017.03.21

心の鳴き声

「愛してる」なんて言ってしまいそうになった誤魔化すようにその腕に収まってみたけれど大きな想いに引っ越すときが来たのかな「好き」という言葉ではもう窮屈みたいなんだ心が鳴いているわたしにはまだ翻訳できないと背を向けたって本当は月にバレているとっくに世界は知っている心が鳴いている多分、あなたのこと…「言葉にしてよ」ってうなだれた日はもう彼方今は静寂の中でもその声を聞きとれる大きな想いに一緒に引っ越してみよう見慣れたこの部屋もかなり二人じゃ窮屈でしょハッピーエンドのその先を信じてゆこうと想うのです。ハッピーエンドのこの先を生きてゆこうと想いませんか。心が鳴いている待って待っては終わりにするからねわかっているよ月にも星にもバレてるしとっくに世界は知っている心が鳴いている多分、あなたのこと…心の鳴き声を今、わたしで伝えるよ。

2017.03.07

更新

もう一度、逢いたいと思ったのはあなたを更新するためなんですまっさらなふたりでやり直すつもりなんてないから大丈夫ですもう一度、逢わなきゃと思ったのはわたしを更新するためなんです「さよなら」もないままさよならは優しくない前に進めないんですもう一度、わたしたちが逢えたのは最後を更新するためなんです思えど、思えど、いないことと同じ生きれど、生きれど、いないことと同じあなたの思い出にすらなれないこんな人生、もういらないこれが最後のあなたこれが最後のわたしこれが最後のふたり夢にも出てこないでもう一度、逢いたいと思ったのはあなたを更新するためでしたもう一度、逢わなきゃと思ったのはわたしを更新するためでしたもう二度と、逢いたいなんて思わないさよなら、さよなら。もう一度、わたしたちが逢えたのは最後を更新するためでした

2017.03.06

足りない絵の具

昨日あった哀しいこと話そうとしたけれど言葉の絵の具ではとても色が足りなかったのだからやめた伝えるのやめたグラグラ傾く心のなかコロコロ転がるあの光景哀しかった言葉よりずっと哀しかったなゼロより1にしてみようそう話し始めても言葉がどんどんズレるの＜本当＞からズレるのだからやめたやっぱりいいやと＜たかがそれだけ＞になりそうな絵笑って笑って塗りつぶして哀しかったそういう自分が哀しかったなこんな痛みをきっと誰かも感じているのでしょうこんな痛みをどうかあの人は知らずにいてほしい昨日あった哀しいこと話そうとしたけれど私だけのものになってなにもなかったことになるなにもなかったことになる

2017.03.03

二匹の金魚

あの人の手にすくわれて初めてココで出逢った日あまりに狭い水槽に顔を見合わせ笑ったね「いつか大きな世界が見たいな」たしかに煌めいていた夢は「いつか一緒に世界へ出たいね」赤く揺らめかせていた愛は浮かんで　浮かんで　パッと消えた一体、どこへ行ったの？あなたを失くした水槽はわたしには広すぎるどうして　どうして　どうしてと声はただ泡になるだけ浮かんで　浮かんで　パッと消えた心の息を止めてみて景色の底に沈んでも触れた小石の冷たさに思わず水面を揺らしたあなたを失くした水槽でわたしだけ生きているどうして　どうして　どうしてと声はただ泡になるだけ浮かんで　浮かんで　パッと消えただけどあなたを失くした水槽にあの日々は溶けているから夢も愛も今でもきっとわたしを包んでいるからあなたを失くした水槽はわたしには広すぎるそれでも　それでも　生きてゆく声はただ泡になるだけ浮かんで　浮かんで　パッと消える

2017.02.27

祈り

あなたは時々かなしみを笑顔で隠してしまうからわたしは何にも気づかずに微笑んでしまうかもしれないあなたは度々くるしみを背中に隠してしまうからわたしは何にも知らないで抱きしめられてしまうかもしれないだから星降るこの夜にできることはひとつ祈る　祈る　あなたを祈る願うことなどありません祈る　祈る　心を折って空に飛ばすように祈るあなたのことを祈っています幼いころ学んだルールその多くがこの世界では使えないのだということを知ったのはいつからなのでしょう救世主なんていないことわたしもあなたもいつのまに思い知って諦めてひとり強く生き続けてきたのでしょう本当はその手で海に流した想いの骨だって見つけたいだけど星降るこの夜にできることはひとつ祈る　祈る　あなたを祈る叶わない夢はもういい祈る　祈る　あなたを祈る敵わない恋ももういいあなたのことを祈っています祈る　祈る　あなたを祈る願うことなどありません祈る　祈る　心を折って空に飛ばすように祈るあなたのことを祈っています

2017.02.24

大丈夫じゃないなんて

いじめられた傷跡はないし不登校にもならなかったから努力をしたことは報われて不合格にはならなかったから大丈夫じゃないなんて、言わなかった行きも帰りも座れるような通勤電車で生きているから泣いてわめくような失恋も裏切りも涙も知らないから大丈夫じゃないなんて、言わなかった「あなたなら大丈夫だね？」っていつでも笑いかけてくれるから大丈夫じゃないなんて、言わなかった「あなたなら大丈夫だね？」っていつでも笑いかけてくれるから大丈夫じゃないなんて、言えなかった本当のわたしは甘く脆くなさけないできないって投げ出したい本当は時々言ってほしいときがある「あなたなら大丈夫。」だとでも、いい、大丈夫。行きも帰りも座れるような通勤電車で生きているからこんな歌を書きながら今日もそれなりに生きてしまえるから大丈夫じゃないなんて、言わない。

2017.02.20

今だけは言わせてよ

一番大切な人が一番遠くへ消えてゆくこんな　こんな気持ちをあらわせる言葉さえも習ってなかったみたいだから　口にするのは心からかけ離れた「ありがとう」しかないでしょもう恋なんてしないなんて今だけは言わせてよイチからはじめるくらいならわたしごとゼロにしてもう恋なんてしないなんてずっと思っていたよだって愛の中にいたからバカみたいゼロにしてこんな　こんな涙を忘れて生きていたのね今やっと思い出したそうだ　こんなときには伝える言葉があった思い出した「さようなら」魔法はいつかとけること子供の頃、習ったのに幸せはいつか消えること大人になって知ったのに忘れてた、忘れられてたでも全部、思い出したよ愛なんて、最悪だ。もう恋なんてしないなんて口ずさんでやめたよわたしを忘れるくらいならあなたごとゼロにしてもう恋なんてしないなんてずっと思っていたよ愛の中にいたからなんてわたしごとゼロにして一番大切な人が一番遠くへ消えてゆく

2017.02.17

ありがと、さよなら。

わたしは今最後のわたしを生きています疲れ果て夢を脱いであなたの体温裸足で触れたとき初めての未来が見えたから想像ができないことは叶わないと思ってきた想像さえできないから描く事もできなかったそんな未来　そんな明日もう少しでわたしだけのわたしはお終いあこがれはいつの間にか意地になっていて奥歯をギュッとして諦めを飲み込んできたのにあなたの為に伝えたい心をコエにしてみたらあっけなく夢は零れた過去も恥ももう無力だホッとしたら　涙が出たちゃんと幸せに溺れたいあなたも一緒に見送って夢よありがと、さよなら。わたしは今最後のわたしを生きていますもう少しであなたのわたしを生きていくあなたとわたしを生きていくあなたと生きていく

2017.02.16

だけど、もう。

愛が弱ってゆく姿をふたり黙って見つめてきたねあなたが苦しいのがわたしにはわかっていてわたしが哀しいのがあなたにはわかっていた誰かが「赤い糸」と名づけた何かが絡まり　巻きついて　締め付けて　それでもどちらか転ぶまで愛し合う覚悟でだけど、もう。愛が亡くなってしまってもいっそ生み直せたらいいのにね苦しみより苦しい苦しみがなくなること哀しみより哀しい哀しいがなくなること誰かが「赤い糸」と名づけた何かはとっくに　雨に濡れ　色が落ちていたのどちらも知っていて墜ちてゆこうとしただけど、もう。丁寧にほどいている時間はないできないなら、わたしがやるよ。愛が弱ってゆく姿をふたり黙って見つめてきたねだけど、もう。

2017.02.13

夢じゃない日

もう会えないと思っていた何度まばたきをしても景色は戻らないから思い出で日々を生きてたまに夢で補充してそれなのにそれなのに恋より愛より深いところが熱いもう会わないと思ってきた好きな花だったのにな雨は好きだったのになあなたから離れてから世界に悲しみが増えたひとりじゃ叶えられない夢もいくつか捨てたのだけど奥の奥のほうずっとこんな日を待っていた待っていた待っていた胸より心より深いところが痛い何を聞こう何を話そう溢れて溢れすぎて思いより言葉より深いところを伝えたいもう会えないと思っていたもう会わないと思ってきたそれなのにずっとこんな日を待っていた夢じゃない日を待っていた待っていた

2017.02.06

赤い糸と青い糸

あなたの幸せを考えることとあなたとの幸せを考えることそれは違うから苦しくなるのですすっかり救われたつもりでいたわたしを叶えたならあなたが叶わないとわかっていたはずなのに恋になって愛になって体になったぶんだけ痛い何色の糸を切ればいい？あなたとなら不幸にでもなれるけどあなたといて不幸にするのは嫌だ絶対に嫌だから泣きたいのですこれで大丈夫だと思っていたあなたを叶えるならわたしは叶わないとわかっていたはずなのにわからないふりしてきたツケが今さらやってきた夢があって夢かなって心になったぶんだけ痛い何色の糸を切ればいい？恋になって愛になって体になって夢があって夢かなって心になって何もかも叶ったはずなのに何色の糸を切ればいい？何もかも叶ったはずなのにどちらの糸を切ればいい？

2017.01.30

幸せのカラクリ

こんな毎日なんだから夜はみたい夢くらいみせてよあなたが笑っていたらいいなあなたが優しかったらいいなそこにいてくれるだけでいいなもう、ひとつも叶わないから現実では何も。あんな毎日だったけど夢みたいに幸せだったと思うあなたが笑っていればいいなわたしと笑っていればいいなそばにいられるだけでいいなそれしか願わなかったのにどうして失くしたの？幸せのカラクリには注意していたはずだけどあまりに早いネタバラシ受け入れられぬネタバラシこんな毎日なんだから夜はみたい夢くらいみせてよもう、ひとつも戻らないんだ現実には何も。

2017.01.29

たぶん、愛だけど

ふかく風を吸うと吐く息と一緒にうっかり涙がこぼれそうだ呼吸を止めるように心を我慢していたのかたぶん、愛だけどたぶん、愛だから悲しい言葉はもう綴りたくないだけど言葉より悲しいことが何度でも起こってきたのだからこわいよわいもろいあなた以外は何もいらない覚悟がほしい好きだなんて嘘はカンタンに吐けるの本物じゃなければたやすいよでも今は呼吸を止めるように言葉を我慢しているんだたぶん、愛だからたぶん、愛だけどあなたには別の未来もあるでしょうだからずっとこの手で目隠しをし続けている気持ちなのだけどこわいいやだずるいわたし以外は何もいらない世界にしてよ呼吸を止めるように心を我慢していたのか呼吸を止めるように言葉を我慢しているんだたぶん、愛だから。

2017.01.27

虹が綺麗ですね

泥を泳いでここまで来たの七色が咲く前の雨でしっかりと洗い流したからあなたは知らないでしょうそれでいい虹が綺麗ですねここからをわたしの人生と名付けていくらでも誤解してほしいの心がバラバラになったら言葉に並べなおしてほしいあなたの思いどおりにそれがいい虹が綺麗ですね今みえるわたしをわたしだと信じて本当はわかっています奇跡は長く続かない最初から恋ではなくて最後まで愛になれないだから虹が綺麗ですねここからをわたしの人生と名付けて虹が綺麗ですね今みえるわたしをわたしだと信じて虹が綺麗ですねあなたとのわたしをわたしで終わらせて虹が綺麗ですね

2017.01.24

思い出の穴

このごろ季節が早いのは命があなたに向かうから？友達といても恋人といても心は呼吸を止めるときがある思い出の穴に吸い込まれてゆくそこにはあなたが待っていてくれる幸せになるなんてたぶん本当の意味ではいまだ果たせぬままです忘れてしまうことと引き換えに進みゆくのはむずかしいことなんです守れない約束が、今もふたりを繋いでいる。明日のことを考えるより過去を何度も撫ぜてしまう電車に乗っても都会に溶けてもわたしはちゃんと生きてみえるけど思い出の穴ですべて脱ぎ捨ててどうしようもない弱さに泣きたい幸せになるよりも虹を見るための雨にいつも濡れていたかった虹色なんかよりもともに過ごした灰色は綺麗な毎日でした幸せになるなんてたぶん本当の意味ではずっと果たせぬままです忘れてしまうことと引き換えに進むくらいならわたしはあなたに向かいたい守らない約束が、今もふたりを繋いでいる。

2017.01.20

話しても仕方ない

冷蔵庫を開けて閉めた食べたいものなんてないよね玄関ドア開けて閉めた行きたい場所なんてないよね誰か生きてゆく魔法をわけて誰にも救われずにあきらめたこの人にもわけられるくらい話しても仕方ない話しても仕方ない話しても仕方ないおそろいの夕焼けの下でも絶対に伝わらない悲しみがあるんだ。どうして人は悩みを空や海に並べるのかな遠くばかりを見つめて「ちっぽけ」だと笑えるのかな明日を生きてゆく魔法をわけてどんな青より広くて深い淋しさにもわけられるくらい話しても仕方ない話しても仕方ない話しても仕方ないおそろいの涙を流しても絶対に溶け合わない悲しみがあるんだ。あなたの悲しみに比べたら、空も海もちっぽけです。話しても仕方ない話しても仕方ない話しても仕方ないから冷蔵庫を開けて閉める食べたいものなんてなくても玄関ドア開けて閉める行きたい場所なんてなくても

2017.01.19

死ぬほどあなたを愛せるのなら

自信なんていらない自分らしさもいらない色はわざと失くしてよろこんで軌跡を手放したい死ぬほどあなたを愛せるのなら手ぶくろとマフラーと指輪とネックレスもらったすべてで今わたしは守られているそれでも息は冷えて冬色に染まるから夢にバレてしまうの生きているという証拠ぬるい人肌に隠れても許されないわかってるだから強さなんていらない脆く弱くなりたい色をすべて失くして他に何もいらないと言いたい死ぬほどあなたを愛せるのなら歌のなかで何度も愛を失くしてみるそうすれば大切に初めて気がつけるはずぬるい人肌を失くしてもごまかせないわかってるだけど自信なんていらない自分らしさもいらない色はわざと失くしてよろこんで希望を手放したい死ぬほどあなたを愛せるのならぬるい人肌に隠れても許されないわかってるだから死ぬほどあなたを愛したい

2017.01.18

戦いを終えた日

長い長い長い戦いを終えてすっかり痩せたあの人の肩わたしたちの目にはシルバーリングの輝きしか見えていなかったそこにどれほどの涙をどれほどの生活を映してきたのでしょう愛なんてどんなものでしたか？今、あなたがとても美しいのです。泣いて泣いて濡れて泣くような日々はとっくに降りて夢をしてわたしを守る傘もカバンもすべてちゃんと自分で運んできたのだけどどれほどの強さもどれほどの強がりもしおれそうなのは何故愛なんてどんなものでしたか？今、わたしはとてもふがいないのです。裸の薬指はきっと冷たくて痛いのでしょうでもやっと呼吸をはじめたのでしょう愛なんてどんなものでしたか？今、あなたがとても美しいのです。あのシルバーリングよりずっと今、あなたがとても美しいのです。

2017.01.17

おまもり

あなたが今生きていてくれることそれがわたしのおまもり生きてゆくおまもりお元気ですか？届けない言葉をこうして綴るのも最後にしたいけれどお元気ですか？文字は風に溶けてその鼓動に触れて返事がある気もして今さら会いたいなんて言わない生きていてね元気でいてね今はもう、それだけでいい今はもう、それだけがいいねぇ、あの頃ねいつも迷わないあなたを見つめてはすこし寂しかったのねぇ、ホントはねわたしのことだけで惑い困り果てて止まってほしかったの今さら会えるだなんて思わない一滴でも泣いてないでね苦しんだりしてないでね悲しんだりしてないでねあなたが今生きていてくれることそれがわたしのおまもり生きてゆくおまもり生きていてね元気でいてね今はもう、それだけでいい今はもう、それだけがいい

2017.01.16

今日だけのこの歌

生まれたての思いをすぐに言葉にできなくていつも悔しい思いをする心を急かさないで今やっと、文字になるからあなたを被せないで今これが、本当だから街は忙しい自分のことで忙しいだけどあなたはあなただけは想像を越えてわたしを見て生まれたての思いをあなたはすぐ言葉にするわたしはそれを持ち帰るね答えを急かさないで今やっと、意味を知るから昨日を被せないで今ここが、本物だから歌は忙しい時代のことで忙しいだけどわたしはわたしだけは過去を透かさずあなたを見たいこの歌の思いを誰かにわかってもらえるかな文字にした思いをあなたにわかってもらえるかなみんな忙しいみんなのことで忙しいだけどあなたはあなただけは足を止めてこの歌を聴いて想像を越えてあなたを見て

2017.01.15

最後の東京

あなたとのすべてが初めてじゃなくてよかっただって困るでしょう報われない人との夜を忘れられなくなったらあくび一つにさえ寂しさは震えたりした傷つけたかったなもし二度と治らない傷でわたしを刻めるのならなんてね、もうやめよう東京が綺麗だねわたしたちよりずっと。運命と思わせた空に聞きたいことはたくさんあるけど東京は綺麗だね東京は綺麗だよねぇ、欲しい言葉をいつでもあげられるわけじゃないと言ったでしょうそんな言葉もらったことは一度もなかったんだよ星座にはなれない星が流れ落ちて消えた誰とも結ばれぬ孤独は孤独のままずっと美しくあり続けるなんてね、もう疲れた東京が綺麗だねわたしたちよりずっと。明日なんて描かせた街に聞きたいことはたくさんあるけど東京は綺麗だね東京は綺麗だよだからね、もうおしまい東京が綺麗だよわたしたちよりずっと。東京は綺麗だねわたしたちよりずっと。東京は綺麗だよ東京は綺麗だったよ。

2017.01.14

瞳

愛する人が星になっても愛をうたう人がいました愛する夢が砕け散っても夢を愛でる人がいましたそんなふうに今あなたをわたし、思っています涙が言葉になってしまわぬよう奥歯をキュッと噛み締めたあの日からずっとその瞳の端にとまった涙が震えているのを見つめたあの日からずっと思っています嬉しいことがあると心が知らせたくて走り出すんです苦しいことがあると心が頼りたくてしゃがみこむんですあなたがいたはずの胸の中の席ポッカリと温かいままあの日からずっとたまに見る夢でその席に座ってあなたは瞳で語るのあの日からずっとわたしのなかで生きる瞳でどんなときでもあなただけには間違ってないと言ってほしくてそのために生きてきましたあの日までずっとそのために生きているんですあの日からずっとこんなふうに今あなたをわたし、思っています思っています

2016.12.27

ダイビング

昨日の夜も思い出を少しちぎって食べてから愛の電源切りました深く　深く　あなたへ潜るたゆたう涙に包まれて底で静かな夢を見る悲しくないわけないでしょうわたしに明日を知らせないで心が空いて目が覚めた今朝は喉を通る水の冷たさに驚きました淡く　甘い　記憶へ潜り溢れる雫はあの日々と同じぬくもりだったのです哀しくないわけないでしょう世界の温度を教えないでたくさん待たせてごめんなさいこころの中でしか繋げない大きな右手にまだ言えない「もう行って大丈夫だよ」って「あなたなしで生きていける」ってまだ言えない　全然言えないかなしくないわけないでしょう今夜も思い出を少しちぎって食べて眠りますあなたが無くなるその日まで深く　深く　あなたへ潜る果てない涙に包まれて底で愛しき夢を見るあなたが無くなるその日まで

2016.12.13

夢は思う

風のままにうなずく木の葉たちそんなふうには生きたくないと身をちぎり舞い降りたあの日から何になることができたのかな夢は思う仰いで思う大きな緑が今、こんなにも綺麗。そうしてこの命よりも早く歳をとってゆく夢の姿うしろからずっと見つめてきたの後悔なんてしないでいいよ夢に思う手を取り思うボロボロの羽は今、こんなにも綺麗。だんだん歩みも遅くなってずいぶん丈も小さくなってそろそろわたしが先に行くよあなたを信じて先に行くよ夢を思う背中で思うわたしの命を今、綺麗だと言ってそうしてこの命よりも早くあなたが空へ逝く日が来ても振り返らない　しゃがみこまないよそれでもわたしは生きてゆくの夢は思ういつしか思うボロボロの歌は今、こんなにも綺麗。

2016.12.12

ドラマになれない月曜日

心に切り傷ひとつ出来れば次の恋が絆創膏になるドラマと　違うんだね現実は誰にも見せない涙をそっとポケットのハンカチに折りたたむ「あなたといる時の自分が一番好き」ただ想うだけで済んでいたあの頃には戻れなかったよ一緒にいるほど嫌いな自分が増えて手を離して　やさしい気持ちを取り戻して今さら遅すぎて愛してるなんて結局、一度も言えないままサヨナラだったねヒロインには程遠いわたしでした。街に流れるラブソングすべて哀しい歌に変わればいいのに冷たい雨のように恋たちに降り注いで冷ましてゆけばいいポケットのハンカチ握りしめる何かが消えた分の心の空白で余計なことばかり考えてもう嫌だどうすればいいの「あなたはいつだって全然わかってない」本当はね、わたしの方がずっと先に見失っていたよ愛してるなんて結局、一度も聞けないままサヨナラだったねあなたのヒロインになれなくてごめん。愛してるなんて結局、一度も知らなかったけど好きだったよ愛してるなんて結局、一度も言えないまま　聞けないまま　サヨナラ。

2016.12.07

待合室

ああ、いやだなんだか咳が止まらないな夜にこぼれた白い息は冷えた三日月へと向かってああ、いたい喉の奥のこころの近く凍えたら悲しみのようでうっかり思い出してしまう人は人を忘れていくの生きるために忘れていくのわたしのなかだけに刻んだ笑顔も声も文字のクセも雫になって溢れたからもう思い出せないよもう思い出さないよそれなのにきっと見飽きた涙をまたごめんね。ああ、いやだ泣いたら電車に乗れないなからっぽ待合室のなかあなたが治まるのを待ってあいたいと言葉になる前に想いを拭おうとしたけどダメだねすっかり苦しくて苦しい人は人から消えてゆくの身体も心も残さずにあなたのなかだけに刻んだ痛みも弱さもワガママも一緒に連れていかれたから大丈夫なハズだよ大丈夫なハズでしょそれなのにずっとわたしに生きてみせるんだもん。ずっと幸せにならなくてごめんね。きっと見飽きた涙をまだごめんね。ああ、いやだやっぱり咳が止まらないなからっぽの待合室の中もう少しだけ待っていよう次の電車がやってきてももう少しだけ待っていよう

2016.12.05

大きなクモの巣

「いつかお会いしたかった」誰かが消えてしまうと夢も過去になるんだねこなごなに壊れた花瓶を見つめ続けているようですあの人にはもう会えないの誰も会えない　もう会えないの神さま、わたしをもっと押して遠くで割れたサクラはもう一度生き直してまた花を咲かせている道ばたの小さなクモさえ細い糸を張りめぐらせて夢を完成させていたのわたしは何をしているのかな神さま、この手をもっと牽いていつかお会いしたい人あなたが消えてしまえば夢も過去になるんだね神さま、早くわたしをもっと。

2016.11.18

吐息雲

ほぅ。今年もまた息が白くなりましたほぅ。交差点に灯るたくさんの命遠い遠い空から見ると雲のように見えるでしょうか青が涙を堪えているだからわたしも、泣かないんだ。ほぅ。「もうすぐかも…」わかったあの日もたしかほぅ。寒い朝で鼻の奥が痛かった永遠は叶うものじゃなく祈り続けるものと知った君は涙を堪えていただからわたしも、泣かなかった。砂時計が落ちてゆくのを見つめるような日々でした最期の一粒はスッと音を立てて今までで一番悲しい白を見せました。それは綺麗でとてもとても綺麗でほぅ。今年もまた息が白くなりました遠い遠い空から見ると雲のように見えるでしょうか生きています、生きています。

2016.11.11

人魚の空

わたしの足では届かぬあなたをお慕いしておりました文字になって残った事実はハッピーエンドじゃなかったけれどたしかに幸せだったのですわたしは幸せだったのですそれだけは言いたかった想いをひとすじ届ける言葉は難しいもので　だけど伝えられなかったわけじゃない伝えないことを選んだのよたしかに幸せだったからあなたが幸せだったからそれだけは言いたかったあの日わたしは泡になって空になったあの日あなたと巡り会うことがなければ知らなかった空になったわたしは幸せだったのですあなたが幸せだったからわたしの足では届かぬあなたをお慕いしておりましたあなたの足では届かぬここからお慕いしているんです今は、今も。

2016.11.10

ふたりが一緒なら

「大切な人には大丈夫じゃないと、ちゃんと伝えなさい」最期は姿を消すネコのように生きてきたわたしたちにはそんな言葉も苦しいねだから言わなくてもいいよだから聞かなくてもいいよだから知らなくてもいいよだけど「ふたりが一緒なら楽しみは二倍で、悲しみは半分」歌の中の方程式はいつも都合が良すぎるデタラメ悲しみだって二倍だよだけど背負う覚悟はあるよだけど背負わせる勇気もあるよだけど「大丈夫」と言うよだからきっとこれからわたしの知らないあなたの大切が消えたりあなたの知らないわたしの大切が消えたりそういう悲しみもたくさんやってくるでしょうだけど言わなくてもいいよだけど背負う覚悟はあるよだけど聞かなくてもいいよだけど背負わせる勇気もあるよだけど知らなくてもいいよだから「大丈夫」と言うよだけどあなたはわたしの大切わたしはあなたの大切だから

2016.11.04

あとがき

最後の言葉を任せてごめんねだってまた会えるよもう会えないよどちらも本当な気がしてね私は今でも何回もあの日の声を再生してあなたのせいにしてみたりあなたのおかげにしてみたりずるく　かしこく　生きています「つづき」を「おわり」に書き換えてからねふたりしあわせだったふこうになったどちらも真実だと思った私は今でも何回も重ねた記憶を頬張って甘さのせいにしてみたり甘さのおかげにしてみたり泣いて　わらって　生きていますねぇ、違う今だってあったのにねでも、「のに」の続きは正しいんだよたぶん　あなたも　きっと　わたしも私は今でも何回もあの日の声を再生して再び共に生きたいか再びひとりで生きようかペンを　回して　生きています最後の言葉を任せてごめんねこれはあとがき、全てあとがき。

2016.11.03

月光

また期待から始めるの？ううん、今日でもうお終い。思い出の抜け殻を片手で握りつぶしたパリッと乾いた音がしたあーあ、想う力が足りなかったなねぇ明日からどうするの？ううん、何も変わらないよ。わたしが選んだものわたしが諦めたもの誰ひとり知らないんだからあーあ、正しい顔で生きていかなきゃ最期の日ダメなわたしとお月様。あなた、今夜は服のまま抱いていてひとりで戦ってきた街の匂いもさっきまで育ててきた希望の声もすべて忘れないで　一緒に抱きしめてあなた、今夜は弱いまま抱いていて誰かのせいにして笑うのを許して何かのせいにして泣くのを受け入れて明日からはちゃんと　ちゃんと…なんだろうね最期の日ダメなわたしとお月様。

2016.10.26

Letter

青い春、桜に乗せいくつもの「さようなら」をちゃんと流してきたのに大人になればなるほど別れの涙のしみは心から消えなくなるスキだった　違うアイしてた　違うこの気持ちにどんな名前もつけたくなくてわたしに残してくれた文字を撫でてみるのとっくに知っていたはずの言葉の意味を知るんです何度でも知るんですあなたから何度でもあなたからこの人生から消えた誰かはたくさんいます大したことありませんこの人生から消した誰かもたくさんいます顔も覚えてませんそれなのに　知った今やっと　知った本当の「さようなら」の本当の悲しみそんなことまであなたは教えてくれるのね身体が消えてしまっても声を忘れてしまっても言葉の中にあなたが生きているあなたは生きている真っ暗な明日をあなたの文字が照らすそんなのってズルいなぁ。とっくに知っていたはずの言葉の意味を知るんです何度でも知るんですあなたから何度でもあなたから

2016.10.03