てのひらのほくろ村
スズキコージさんの自伝的な本があると楽天友達のブログで知り、さっそく購入。コージさんの小学生時代の絵日記がたくさん掲載されているという、まずそれに興味があったのだ。ほんと!!すごいうまさ、おもしろさ。今の南米チックな独特さはまだないけれど、小学校1,2年生にしては構図がしっかりとしていてうまいの。さすがにまだ技巧がどうのではなく、純粋な子供のクレヨン画。ぐりぐりと厚塗りのクレヨンは力強く、自由でのびのび。日記の内容は淡々と飾り気ないのが男の子らしい。本の内容はというと(まだ途中なんだけど)、幼稚園時代の鈴木こうじくんの話から始まっていて、近所の友達のことはもちろん、町で有名なきちがいの人や食べ物を乞いにやってくる乞食のことも書かれている。今では“口に出してはいけない”タブー用語だ。子供たちはホンキで遊んでとっくみあいをして、親に断りなしに遠くの町までどんどん歩いて行ってしまう。自主的かつ奔放な時代だな。私の子供時代はそれほどではなかったけれど、りんご一個だけ持って友達と遠く離れた神社なんかに行っていた(誰も道を知らないのにただ歩いて、そうしたらそこに行き着いたのだ。そういうことはよくあったから私たちはそれを「ピクニックに行く」と呼んでいた)。団地に住んでいた私は2階や3階の踊り場から飛び降りれるかどうかを競ったり、今思うと結構川幅のあるドブを飛び越えたり、度胸試しは女の子だってしていた(もしかして私たちだけだったのかしら?)。鉄棒なんて連続回りだけではあきたせず、どうやったら大車輪ができるんだろうと私は秘かに練習しては血豆を作っていた。子供にそれを話すと大人がそういうのを許していること自体シンジラレナイという顔をするけれど、鈴木こうじくんの時代はそれよりさらに過酷な頃だ(笑)。そんな中、こうじ少年はゴッホを知り、山下清を知り、好きな絵をたくさん描いていく。本は残り1/3ほど。小学生のこうじ少年の物語、この先どうなるのかな。それにしても昔の子供の話ってどうしてこんなにおもしろいんだろう。その前日には「がばいばあちゃん」のシリーズ第二弾『笑顔で生きんしゃい!』を読んだが、やっぱり子供を取り巻く風景はおもしろい。知的障害のアラタちゃんも登場して、随分ひどいこともされるのだけどそれでもその存在が認められて、みんなに育まれて生きている。余計な庇護がない分、どの子供も自分で生きていくための知恵や社会との接点をしっかりと身につけていくようになるんだろうなあ。