カテゴリ:私の歩いた山と道
標準コースタイムで2時間登った所に、神鳩ノ宮避難小屋がある。無人の小屋なのだが、ちらっと覗くと、まるで有人小屋かと思うような、整理された室内、豊富な備品、片付いた設備だった。
よい道によい小屋がある。それが山道を楽しくする。閉ざされた狭い室内の如何が、外の広い空間をも清め、はたまた汚しもするという作用を、この小屋の管理者と利用者はよく知っているのだろう。 小屋を過ぎると樹林の囲いは次第に解かれて、ふぅと一段登りきった所で展望のきく場所が、頻繁に出てきた。 御嶽が、御嶽らしい裾野を広げて、御嶽らしい貫禄で、遠く雲上に聳えていた。「動かざること、山のごとし」というが、この言葉を最もよく体現している山は御嶽山ではないかと私は思う。 色とりどりの紅葉に染められる様を「錦繍」と表現するのをよく見るが、もうひとつ「錦秋」という語もある。どう違うのか気になり調べてみた。広辞苑によると。 【錦秋】 紅葉が錦のように美しくなる秋。「――の候」錦秋は「秋」という季節を修飾している語。一方の錦繍は、美しい紋様の代名詞的な言葉。錦秋の出歩き、錦繍の山肌、といった使い分けをすれば良さそうかな。 雪に阻まれて、予定よりずっと早い時間の下山となったので、帰り道では途中の紅葉を心ゆくまで観賞していった。 登山口に帰着。駐車場から3キロ移動した所に、滝の観光案内があった。見ていくことにした。 片道60分とガイドされていた道には、途中に徒渉が7箇所ほどあった。一ヶ所、水量が多く、石伝いのラインが見つからず苦労した。なんとか靴を浸水させることもなくギリギリで渡れた。滝壺前には丸太ベンチがあったから、徒渉の橋は当初設置されたものの流出してしまったものと思われる。 八反(はったん)滝。反(たん)は、尺貫法における田畑・山林の面積の単位であるが、長さの単位でもあり、布の長さとして今も使われている。本間と呼ばれる畳の長手のサイズが一間で1.82メートル。その6倍、六間の10.92メートルが反(たん)で、成人一人分の和服が作れる布の長さ。(幅は約34cm) 八反滝は、その8倍、落差87.36m。でも実際はその半分もない。千尋の谷と同じで景観にありがちな誇張表現である。本当かと思わせる辺りに留めているところがなかなかに憎い。 青空を背景に、滔々と引かれる水流。白く幅があり、たしかに反物のようだった。落ち口は錦繍の彩。 いいものをたくさん見せてもらった。次は別山まで行こう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.25 08:56:28
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