シュガー社員
「シュガー社員」という言葉が話題になっている。自分に甘く、自立心に乏しい社会人のこと。本人だけならまだしも、会社まで巻き込んで不幸にする…。そんな困った輩に企業はどう対処するべきか、何より採用しないためにはどうすればいいのか-。 札幌市の社会保険労務士、田北百樹子(ゆきこ)さんは、ここ数年、顧問先企業からの労務相談などを通じて、「困った社員」の存在を知るようになった。周囲のことを考えず、自分に甘い、甘すぎる社員…。そんな彼、彼女たちを田北さんは「シュガー社員」と命名。このほど『シュガー社員が会社を溶かす』(ブックマン社)という本も出版した。 田北さんによると、シュガー社員は世代は問わないが、30代、20代と若手になるごとに増える。5つあるタイプの説明は別表の通り。同書には具体的な事例もあり、その象徴的な言葉だけを紹介すると-。 上司から叱られ、「親にだって叱られたことがないのに!」(ヘリ親依存型)▽電話応対などの仕事に「バイトかハケンにやらせればいい」(俺リスペクト型)▽顧客とのトラブルを注意され、「俺のこと、もっと上手に使ってくださいよ」(プリズンブレイク型)▽仕事で臨機応変な対応を求められると、「そんなこと、最初に言われていない」(ワンルームキャパシティ型)▽仕事の姿勢や態度で叱られ、「逆ギレっすか!」(私生活延長型) 関係ない人には笑えるが、心当たりの読者も多いだろう。同書では、「仕事に興味を持ってもらう」「本人のプライドを傷つけない」「無理な成長を願わない」といった各対処法もアドバイスしているが、結論からいえば、「シュガー社員に対する教育は非常に難しい」と田北さん。そして、「昔とは会社員のあり方、考え方が違う。企業にはそれを踏まえ、もっと労務管理に目を向けてほしい、と言いたいんです」という。 大きな対策となるのが“水際”、つまり採用時のチェックだ。なかでもすぐ退職するプリズンブレイク型については、採用面接時のチェック項目も紹介している。 ≪感銘を受けた本を聞くと、最近のベストセラーを上げる≫≪前の会社の退職理由を訊ねると、クドクドと前の会社の悪口をはじめる≫≪労働条件の話になると、がぜん食いつく≫≪ちょっと難しい質問をすると不快そうな顔をする≫…。 「企業は社員の選別基準をしっかり持つべきです。短期間で退職したような社員がいたら、なぜそうなったのか、同じテツは踏まないように力を注ぐ。入社していたら、他のみんなが一生懸命仕事して、シュガー社員がいられなくなるような組織づくりも必要。大学の就職課職員の話で、確実にシュガー社員になるだろうと思われる学生が採用され、企業は見る目がないと思われています」 これ以上ナメられないよう、皆さん、がんばりましょう!【シュガー社員のタイプ】★タイプI「ヘリ親依存型」過保護な親(ヘリコプター・ペアレンツ)がへばりつき、自分で判断できない★タイプII「俺リスペクト型」とにかく自分が大切、大好きで、自分に極甘。仕事ができないのは、会社のせい★タイプIII「プリズンブレイク型」まじめ、実直だが、実践力と体力がない。壁にぶち当たると乗り越えられず、楽な方へ逃げる★タイプIV「ワンルームキャパシティ型」小さなルーチンワークはこなすが、仕事が増えたりするとパニックに。キャパが狭い★タイプV「私生活延長型」勤め人意識が低く、私生活の感情を持ち込む。仕事はそこそこでも、権利意識は一番強い