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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2010.08.04
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カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)

<続き>

浅田選手の実力がナンバーワンであることは、二宮清純氏のようなプロフェッショナルなスポーツライターにはわかっている。にもかかわらず、テレビはことさらキム選手を過大評価し、浅田選手を過小評価する報道を懲りもせずに繰り返す。これもまた、あまりに異様だ。

バンクーバーオリンピックを2年後に控えた時期に強行された「回転不足判定の厳密化」は、安藤・浅田には勝たせないぞルールであることが、Mizumizuにはハッキリ見えた。だから、何度もそう書いてきた。ダウングレードで点を落としすぎている。これは明らかに非常識だ。ところが当の日本人幹部が、「おかしいという認識は以前からあった」し、「もっと早く変えたかった」のだが、「バンクーバー五輪前に大きな変更をすることには抵抗があった」などと言っているのだ。

「4回転をミスすると1回転と変わらない得点になってしまうのはおかしいという認識は以前からあった」と、4回転のダウンングレードには触れているのに、安藤選手の4サルコウ、浅田選手の3A、そして何より、この2人のセカンドの3ループに触れないのはずるい。

そもそもバンクーバーに向けて作ったルール運用なのに、「おかしいという認識は以前からあった」など、矛盾もいいところだ。逆にもっと早くこういうルールになっていたら、安藤選手にも浅田選手にも他に手の打ちようがあっただろう。Mizumizuが指摘したように、そしてフラット選手がやったように、フリップもしくはルッツにつけるセカンドの3回転をループからトゥループに変えて完成を目指すなど。しかし、長く武器にしてきたセカンドの3ループをあのタイミングで奪われたら、代替に取れる選択肢は本当に少ない。フラット選手はまだ年齢的にも若く、ジャンプを変える余裕があったのだ。

ロスワールドで安藤選手が見事な2A+3Tを決めたとき、Mizumizuはテレビの前で思わず、「お~!」と叫んでしまった。そのくらいきれいなディレイドジャンプ。しかも、完全に回りきって降りてきた。あれを見たときは安藤選手ならルッツに3Tをつけることもできるのではないかと密かに期待したのだが、やはりそれほど簡単な話ではなかったようだ。

仕方のない部分もある。セカンドにループをつけられる安藤選手はトゥループをつける必要はなく、セカンドループの練習に特化してきただろうからだ。これがジュニアのころから両方を練習していれば事情は違ったかもしれない。

セカンドにループをつけることは、一般にはトゥループをつけるより難しい。ならば、3ルッツあるいは3フリップに難しい3ループをつけられる選手なら、より簡単な3トゥループ(T)もつけられてしかるべきだ。だが、安藤・浅田選手の場合、そう簡単にはいかないようで、これが2人が苦境に立った一因でもある。

4サルコウや3Aもそうだが、かなり確実に降りてくるセカンドに跳ぶ3ループを2人から奪うこと。それがバンクーバーに向けて作った安藤・浅田には勝たせないぞルール(実際には運用変更)の柱だったと思う。導入のタイミングから見てもそうだ。この2人がセカンドに3ループを跳ぶかぎり、セカンドに3T(ループより点が低い)しか跳べないキム選手は絶対的に不利なのだ。セカンドの3Tが決まるかどうか微妙な線にいるロシェット選手はなおさらだった。ところが見た目きれいに降りたとしても、さかんに回転不足判定で3ループを「2ループの失敗の点」にされてしまうから、安藤・浅田選手はキム選手に対して逆に圧倒的に不利になってしまった。1シーズンにたった1度認定されるかどうかでは、武器にはならない。これでロシェット選手にもこの2人に勝つチャンスが生まれた。

こうした流れの背景には、その前のシーズン、エッジ違反で浅田選手のルッツをいくら減点しても、イエーテボリ世界選手権で浅田選手が勝ってしまったということがあったと思う。ルッツ1つでキム選手や(決める確率は悪かったが、決めれば)コストナー選手には加点し、浅田選手は減点する。これで3Tジャンプ1つ分に近い点差がつくのだから、浅田選手は勝てないはずだった。ところが、やっぱり勝ってしまった。すると回転不足判定が厳しくなった。

ところが、回転不足判定が厳しくなっても、グランプリファイナル(しかも韓国開催)でまたも浅田選手が勝ってしまった。浅田選手が心身ともに絶不調だったバンクーバーでの四大陸でさえ、フリーで浅田選手のほうが点を出してしまった。すると、次のロスワールドで、キム選手の演技構成点が「発狂」した。それでも足りないとばかりに今度はさらなる加点の積み増し。この流れを見て、バンクーバーに向けてなりふり構わずお膳立てしていると見抜けないほうがナイーブすぎる。どうしてもっと疑い深くならないのか。世界中の誰が、「強すぎる日本」を喜ぶというのだろう? 出る杭は打たれる。それも徹底的に。打つための理屈はいくらでも考えてくる。それも見抜けないような素直な人たちばかりでは、日本の将来そのものが不安になってくる。

こういう採点をされることで、安藤・浅田選手はどんどん自信をなくし、キム選手は自信満々になった。それなのに、日本という国は、「ルールのせいにしてはいけない」と全部選手の自己責任にしたのだ。エッジ違反の減点が厳しくなる前は、浅田選手のルッツは、「なんてエアリーなジャンプ!」と海外メディアからも賞賛されていた。むろん踏み切り時にエッジがスライドしてしまうのは、質のいいジャンプとは言えない。それは確かだが、実際のところ最後のエッジなんて肉眼ではよくわからない。そこの部分で3ルッツを跳ぶ意味がないほど減点することは妥当なのか? そうした議論はまったく喚起されることはなかった。そして矯正が間に合わなかった浅田選手がやむなくプログラムからルッツを外すと、「浅田選手はルッツが苦手」と日本のメディアは決めつけ、セカンドから3ループをはずすと、「ジャンプでもキム・ヨナのほうが上になった」と決めつける。キム選手はジュニア時代から同じことをやっている。浅田選手・安藤選手、それに中野選手や鈴木選手はエッジ違反やDG判定の厳しさにジャンプ構成の変更を余儀なくされ、わずか2~3年の間に大変な目に遭ったのだ。これまで武器だったものがいきなり大減点の対象になる。その是非を問うこともなく、単に「ルールだ。対応しろ」では選手はあまりに気の毒だ。

バンクーバーでは、誰もが認める大天才のプルシェンコが、練習熱心な優等生のライザチェックに勝てなかった。これもMizumizuが書いたとおりになった。「優等生が天才に勝てるルール」を作ったからそうなった。それなのに日本はまだ、ルールで何重にも包囲網を作られてもすべてを自力で突破できるような、万能の超天才の出現を待つのだろうか?

さらにダウングレード判定(今年からは回転不足判定)は、厳密化と言いながら実際には、判定にムラがあることは何度も試合のビデオを見て、「そう言わざるを得ない」という結論に達したからそう書いている。トリノワールドで言えば、きれいに降りているように見えてDGされたフラット選手の3F、回転が足りないから転倒したのにDGされなかったキム選手のサルコウなどがそうだ。となれば、「順位操作にダウングレードを使っている」と思わざるを得ないではないか。もちろん判定に「不正」の証拠はない。4分の1に満たない回転不足ならダウングレードしなくていいのだから、微妙なジャンプをどう取るかは、技術審判団の勝手、もとい判断なのだ。

だが少なくとも、ソチ後にまた、ルールの非常識さを指摘され、「もっと早く変えたかった」とか「おかしいという認識は以前からあった」などと、呆れるような言い訳を聞かされるまっぴらだ。「おかしい」ルールを作ってはいけない。それが当たり前ではないだろうか?

 






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最終更新日  2010.08.04 01:14:11



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