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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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2011.07.07
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カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)

以前1度紹介したキャサリン・サンソムの「東京に暮す 1928-1936」(エントリーは、こちら)。

その中に「日本人とイギリス人」という一章があり、両国民に共通した精神性が紹介されている。その中で、最も興味を引いたのは、「日本人とイギリス人の共通点はスポーツ好きということです」というくだりだ。

その中で、サンソムは日本人が不正を憎み、スポーツにおけるフェアネスを非常に大切にする国民だと指摘している。

世界中で日本ほどスポーツマン精神が浸透している国はありません。日本のテニス選手は、勝っても負けても見せる明るい笑顔で欧米の観客を魅了しています。繊細な心の持ち主である日本人はスポーツを芸とみなしています。

私は日本とイギリス以外の国で、素敵な淑女や頑健な紳士が、相手が見ていない隙に、非常に打ちにくいラフの中から打ちやすい位置へゴルフボールを移すのを一度ならず目撃しました。日本人やイギリス人が絶対にいんちきをしないとはいいませんが、両国民ともスポーツをするときは真剣で、このようないんちきはめったに見られません。

こうした日本人の傾向は、今でも同じではないだろうか? テニスやゴルフで競うとき、相手に勝ちたい――それは誰もが思うことかもしれない。だが、それ以上に大事なのは、フェアに戦うことなのだ。

誰も見ていない、あるいは誰もとがめないからと言って、いんちきをしてまで勝とうとは思わない。そうやって勝っても誇りにはできない。日本では普通のことだ。

汚い手を使ってでも勝とうとし、実際に勝つ選手はどんなスポーツでもいるだろうが、そうした選手は日本では尊敬されないのだ。

スポーツの位置づけやその商業的な意味は、昭和初期と現代とでは大きく異なっている。だが、それでも、日本人の心の底にあるスポーツの理想像、フェアな環境で、フェアに正々堂々と戦い、そのうえでフェアに勝ちたいという気持ちはかわらない。

フィギュアのような採点競技、特に今のように露骨な偏向採点が公然と行われているような状況では、選手のほうは精神的な安定を保つのが大変だろう。選手は口には出さなくても、判定が試合や選手によって違うことぐらい気づいている。それどころか、こうした状況が日本人トップ選手を苦しめ、自壊寸前にまで追い詰めているといっても言い過ぎではないかもしれない。

だが、それで自壊してしまっていいのだろうか。選手にとっての問題は採点がどうこうより、いい演技ができなくなるほど「自分が乱されてしまう」ことではないだろうか。心の繊細さが、繊細ないい演技につながらず、繊細なあまり集中できないという方向に行ってはいけないのだ。

優遇採点などない――そんな理想主義は捨てることだ。そこら中でアンフェアなことがなされている。だが、自分はそうしたアンフェアな中でも乱れない、乱されない。そうした強さを自分が持つことを目指せばいいのだ。

優遇採点されている選手に勝つためには、試合で使えるほどには完成していないジャンプにまで挑戦しなければいけないのだろうか? あるジャンプを試合で入れるべきか・入れざるべきか、その見きわめは極めて難しい。だが、そのためにコーチがいる。

勝っても負けても「明るい笑顔」でいるためには、自分の中のさまざまな「不信感」を払拭して試合にのぞまなければいけない。採点競技では、それがさらに難しくなる。なるが、できないことではないはずだ。

他の選手がどんな採点をされようが、「いいじゃないか」というぐらいのおおらかな気持ちで行くべきなのだ。自分は自分なのだから。

もちろん、これは選手の立場だけの話であって、周囲はそれではいけない。フィギュアにおいて、現在、大きな試合までのお膳立ては選手の努力とは違ったところでなされている。それさえ見えないような人間は、何をやってもせいぜいロボットのように言いなりになるだけで、大きな果実を手にすることはできないだろう。これは、どんな分野でも言えることだ。

疑うことを知らず、上から「ルールです」「そういうものです」と言われればそれを鵜呑みにする。そんな愚かな人間がいかにコントロールされやすいか。他人にコントロールされれば、自分で自分の人生を切り拓いて行くことなどできないし、世の中の荒波の中にあっという間に沈んでしまうだろう。

だが、それでも、試合にのぞむ選手には、「勝っても負けても見せる明るい笑顔」や「スポーツをするときの真剣」な態度が、他国の人々を魅了しているのだということを、忘れないでほしいのだ。

ロシアでのフィギュア選手に対する態度を見てもわかる。ワールド後のエキシビションで、観客は「傷ついた祖国」への想いをこめて演じた世界女王の演技には惜しみない喝采を送ったが、「足が痛い」などといって、ダブルアクセルしか跳ばない投げやりな演技を見せた銀メダリストには、これ以上ないくらい冷たかった。五輪女王という素晴らしい冠をつけたとしても、その場の演技に気持ちが入っていなければ観客は冷めたままだ。

「伝わってこない」――藤森美恵子氏はワールド女子銀メダリストのエキシビションをそう切り捨てたが、そんなことは素人にだってわかるのだ。

別にスポーツのプロや経験者でなくても、その選手がフェアであるかどうか、真剣に何かを観る者に伝えようとしているかどうかぐらいわかる。

そういうことなのだ。

 






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最終更新日  2011.07.07 15:59:37



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