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読者の皆様へ 前回のエントリーについて、温かなメッセージを多くいただき、驚くとともに、感謝いたしております。大変励みになります。「同じ真央ファンとして恥ずかしい」というご意見もいただきましたが、真央ファンの行為かどうかわからないのが魑魅魍魎なのです。狂信的な真央さんファンを装って煽り工作をしてくるおかしな人種もいます。背景まではわかりませんが、送信主はきちんと追跡しておりますので、どうぞご心配なく。今後もマイペースに更新して参りますので、よろしければお気軽に覗きにきてください。Mizumizu <本文> 1年以上前のエントリーでMizumizuは、「演技構成点は、まだまだ上げることができる。今出ている9点台前半を9点台後半にしていけばいいだけだ。世界最高レベルの選手になら、別に9点台の後半を出したっておかしくない・・・ その一方で、落としたい選手はできるかぎり差をつけて(異常採点にならない程度に)低い点をつける。5つのコンポーネンツの点を足す演技構成点の総得点で、ジャンプ1つ分の差がでても選手にとっては大きな痛手だ。 このまま放置したら、どんなフランケンシュタイン世界最高得点が出てくることやら・・・ こうやって、これまで慣習的にあった「ガラスの天井」を引き上げることで、唯一客観的な基準であった「基礎点」をないがしろにして、主観による順位操作がより容易にできることになった。これもロスの世界選手権で予想したとおりだ」と書いた(こちら)。 チャン選手の演技構成点のつりあがり方は、まさにこの予想どおり、いや9点台の後半どころか、今回は10点を出したジャッジまでいたのだから、予想以上の露骨なやり方だ。「300点おねだり」に答えるために、ずいぶんジャッジは頑張ったようだ。こういうことができるから、こうやってくるだろうと書くと、その通りのことをしてくる。実にわかりやすい人たちだ。 チャン選手は4+3と単独4Tをフリーに入れているから点が上がるのだと言う人が入る。それだったら、浅田選手の演技構成点が上がらなかった理由は何だろう? 男子トップ選手なら4回転は跳べる。だが、女子のトップ選手でトリプルアクセルを跳べる選手はいないのだ。だから女子の3Aのほうが男子の4Tより価値が高いハズだ。しかも、それを浅田選手は2回入れた。その浅田選手を日本人は賞賛しただろうか? ただ、結果を見て叩いただけだ。今度のチャン選手の4回転2度の持ち上げぶりときたら呆れるくらいだ。そんなことを大げさに持ち上げるなら、全盛期の本田武史のジャンプを讃えるべきだ。 浅田選手はジャンプを失敗するので、いくら高難度のジャンプを構成に入れても、名画に穴があいたようなものになる。だから、演技構成点が上がらない・・・などと説明しているメディアもあったが、それならトリプルアクセルで吹っ飛んでしまったチャンの演技構成点になぜ満点である10点がつくのか。 一貫性のないジャッジの行動を場当たり的に辻褄合わせしようとするから、どんどんほころびが出てくる。 今シーズン、チャン選手の演技構成点をどうやってつりあげたか、その華麗なる(苦笑)軌跡を見てみよう。 今季は最初から、演技構成点はチャン・高橋が2強の金メダル仕分けで、他の選手とは別格の扱いだった。 これが日本ファンの間に亀裂を生む。高橋選手は人気がある。ファンも多い。ファンというのは贔屓選手が「審判にエコヒイキされている」とは思いたくないのだ。だから、チャンの点は高すぎるが、高橋選手の点は妥当・・・と思いたい。 だが、これほど変な採点をするジャッジが、なぜ高橋選手だけ妥当に評価できるのか。高橋選手の表現力が圧倒的だから? それならば、シーズン通して、彼は金メダル仕分けの演技構成点をもらいつづけたはずだ。 ところは実際にはそうはならなかった。 高橋選手の演技構成点の軌跡をたどってみよう。 NHK杯 83.58点(1回転倒)→アメリカ大会85.00点(1回転倒)→グランプリファイナル81.00点(2回転倒)→4大陸82.86点(1回転倒)→世界選手権82.08(1回転倒) ご覧のように、実はアメリカ大会が最高で、そのあとは下がっている。完成度でいえば、4大陸はよかった。4回転は決まらなかったが、「ジャンプの失敗を切りはなす」のなら、アメリカ大会より点が出てもいいはずだ。アメリカ大会では、高橋選手が思わず、「85って・・・」と驚いている声が入った。出来がさほどよくないのに、ここまで好意的によい点をもらえていたのに、ファイナルでケガもあって本領が発揮できないと、いきなり下げられ、そのまま最後までアメリカ大会の点には届かなかった。 一方のチャン選手。 ロシア大会(3回転倒)81.30点→カナダ大会(1回転倒)84.14点→グランプリファイナル87.22点→世界選手権91.52点 オリンピックはチャン選手が82点、高橋選手が84.5点。わずかながら高橋選手のほうが上だった。ところが今シーズン、アメリカ大会で高橋選手の点が上がると、それを追いかけるようにチャン選手の点がインフレする。これではカナダ大会でのチャン選手の点をつりあげるために、アメリカ大会でいったん高橋選手の点を上げたようなものだ。アメリカ大会高橋選手、続くカナダ大会でのチャン選手の点数を見てMizumizuはそう思ったのだが、案の定ファイナルで2人の立場は逆転し、チャン選手が6.22点もぶっち切った。 チャン選手のいない4大陸でも高橋選手の演技構成点が上がらなかったから、事実上これでチャン選手が「演技構成点、独走状態」に入ったのだ。高橋選手はもともと技術点が悪い。エッジで去年まではなかったフリップへのEや、ルッツのEがつく。スピンはレベルが取れない。 チャン選手に匹敵する技術点を出せる小塚選手は、高橋選手・チャン選手と同じ試合に出ると、演技構成点でチャン選手と10点近く差が出るのが「お約束」だ。ということは? もう誰も勝てない。チャン選手がそれこそ3回ぐらいコケてくれなければ。しかし、ヤル気満々のチャン選手は世界選手権で会心の演技をする。そして、91.52点というとんでもないフランケンシュタイン点が出て、高橋選手に10点近い差をつける「モンスター」になってしまった。
では、小塚選手は? 中国大会74.70点→フランス大会80.80点→グランプリファイナル77.64点→4大陸(1回転倒)75.08点→世界選手権82.26点 最初と最後で7.56点も上がっているから、かなりインフレしているように見える。だが、よく考えてみよう。現在の採点は点をつみあげて勝敗を競うように見えるが、実際はどのくらい点差をつけていくかの競技なのだ。 シーズン初めは6.6点だった小塚選手とチャン選手の演技構成点の差、グランプリシリーズ2戦では3.34点差にまで縮まったこの2人の差は、世界選手権では9.26点と、むしろ広がっているのだ。 世界選手権のフリーのメダル仕分けときたら、笑ってしまうくらい単純だ。 「絶対に金メダル」仕分け チャン選手91.52点 銀メダル仕分け 小塚選手82.26点 高橋選手82.08点 高橋選手がアクシデントで出来が悪かったため、急きょ同じ日本選手を銀メダル仕分けにグレードアップしたようだ。よっぽど慌てたらしく、高橋選手とほぼ同点を横滑りさせるというお粗末ぶり。チャン選手と小塚・高橋選手の点差は、ちょうどチャン選手が苦手なトリプルアクセル1つ分なのだ。ああ、わかりやすすぎる。 技術点の出来によっては、もしかしたら銅メダル仕分け 織田選手78.44点、ガチンスキー選手77.86点(ロシア)、アモーディオ選手 77.06点(フランス) ロシアとフランス1番手仕分けの若手が、なんとまあ、またもほとんど同じ点。 この下になってくると、「メダル圏外仕分け」ラインがくっきりだ。75点ラインがメダル候補とメダル圏外選手の間に引かれている。ジュベール選手がそのライン上にいる。 ジュベール選手75.58点、ブレジナ選手74.92点、ドーンブッシュ選手73.64点
女子のほうも、似たようなものだ。 金メダル仕分け キム選手 66.87点 (ただ1人だけ65点越え) 銀メダル仕分け 安藤選手 64.46点、コストナー選手64.63点 なんとまあ、日本の一番手仕分けの選手とヨーロッパの1番手仕分けの選手が仲良くほぼ同点なのだ! 素晴らしい偶然!! 技術点の出来によっては、もしかしたら銅メダル仕分け レオノワ選手61.82点、シズニー選手61.13点、マカロワ選手60.08 ロシアの女子選手が、現世界女王以上の点を出している。ロシアの女子選手って、今シーズンそんなに実績ありましたっけ? しかも、ロシア1番手とアメリカ1番手の選手の点が、またもきれいに横並びなのだ。 ここから下は「メダル圏外仕分け」。60点ラインが引かれている。そのライン上にいるのがマカロワ選手だ。 浅田選手59.94点、コルピ選手58.06点 村上選手56.62点。フラット選手は去年までの実績など考慮されないらしく、村上選手より露骨に低い点をつけられている。 なぜ浅田選手の演技構成点が60点に届かないのか? 今回はメダル仕分けが安藤選手だったから、浅田選手にはメダルはこない。だから60点ラインの下なのだ。ああ、こんなこじつけ説明が、なぜかぴったりはまってしまう。 今回安藤選手が勝てたのは、この仕分けの差が2.5点以下と小さかったためだ。もっと露骨に点差をつけられていたら勝てなかった。キム選手はブランクもあり、中盤以降かなり疲労が目立ったようにも思ったが、そんなことはおかまいなしに世界トップの演技構成点を出している。ただ、今回は何かの理由で点差を広げることができなかったというだけ。もっと点差をつけることだってできるのだ。そうすると、ジャンプミスがあっても、「圧倒的な表現力」で勝ったことになるというわけだ。 ほぼ同点の選手がなぜかこんなにも都合よく配分される。そのくせ「グループ」ごとの点差は明確に開いている。メダル候補と圏外の仕分けラインもくっきりだ。実にわかりやすすぎる。高橋選手と小塚選手がほぼ同点とか、ガチンスキー選手とアモーディオ選手がほぼ同点とか、安藤選手とコストナー選手がほぼ同点とか、レオノワ選手とシズニー選手がほぼ同点とか、あまりにミエミエではありませんか。これを国別配分といわずして何と言おう。 以前引用したソニア・ビアンケッティ氏のエッセイで、彼女は、「トップスケーターが転倒すれば、それを救うためのシステムを作るだろう」「これが客観的なシステムだなどと、私はまったく信じられない」と書いている。今の採点は、勝たせたい選手を勝たせることのできるシステムなのだ。オリンピックで審判を務めたほどのフィギュア界の重鎮が、ここまで明確に批判している。 客観的な規準をもうけながら、それを隠れ蓑に主観点で順位を操作する。今回はシズニー選手以外のアメリカ選手の点が伸びないのが気にかかった。「まあ、アウェイ中のアウェイ、ロシアだし。今回アイスダンスは北米にメダルが多く配分されるし・・・」というところか。 キス&クライで落胆の表情を浮かべるアメリカ選手・・・ 日本選手のほうが評価されているのはありがたいが、それにしてもショートでここまで差がついてしまっていいものか。 <続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.05.03 04:41:41
[Figure Skating(2010-2011)] カテゴリの最新記事
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