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Mizumizuのライフスタイル・ブログ

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Tomy's room Tomy1113さん
2011.05.10
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カテゴリ:Figure Skating(2010-2011)
<続き>

その差が妥当か妥当でないかなど、水掛け論にすぎないが、せめてショートでの差がもっと縮まればフリーは、見ているほうにもさらにエキサイティングなものになる。フリーをやる意味がないような点差をショートでつけられてしまうのは、選手にとっても酷だ。新システムはフリーでの大逆転が可能だという触れ込みで、実際に初期にはそういうこともあったが、今はフリーの演技構成点になると、ショートでのメダル仕分け選手と下位の選手は差がさらに広がってしまうから、メダル仕分けされていない選手の逆転はほとんど不可能になってしまった。

今回小塚選手が6位から大逆転などと言っているが、ショートの総合得点は4位のガチンスキー選手が78.34、6位の小塚選手が77.62、7位のブレジナ選手が77.50と、ほとんど団子状態だった。2位の織田選手との差にしても4点あまり。このぐらいの点差ならひっくり返っても「大逆転」とはいえないだろう。

演技構成点も、本当は1位と2位が0.25点差でもいいはずなのだ。接近する実力差をより客観的に正確に反映させる・・・そのために細かくルールを規定したのではないのか。こんなに圧倒的な点差が世界のトップスケーターの間につくほうが不自然だ。ところが、恣意的に点差をつけないと、それこそこのシステムが本来目指したように、「誰が勝つかわからない」試合になってしまう。それがはなはだ不都合な人たちがいるということなのだ。

こうした得点操作はほとんどの国の人間が認識している。審判は公平などという神話にしがみついているのは一部の日本人ぐらいだろう。いや、さすがにここまで来ると、もうわかったかもしれないが。

今回ロシアの観客の反応は、非常にクールだった。自国の選手は熱心に応援するが、そのほかには興味がない。

以前ロシア大会でジャッジに対して、キノコのイラストを掲げているロシアの観客もいた。これは、呆れた点数が出たときに、ロシアの解説者が、「ジャッジは毒キノコを食べて変になっていたのでは」と言ったことに由来する。おかしいと思ったことは批判する。それは言論の自由が保証された世界では当然のことだ。

日本にはこうした批判精神があまりに欠落している。去年までは「完成度」だといっていたのが、転倒しても誰も勝てないほど強い今年のチャン選手へのバカバカしい銀河点をみて、「ショートから4回転を入れないと勝てない」と思い込んでいる。ショートから4回転を入れて決めたプルシェンコが勝てなかったバンクーバーはたった1年前のことだ。

モロゾフはこうした日本人の単純な「筋肉能」をあからさまに馬鹿にした。

http://www.youtube.com/watch?v=T43J5xT9O-Y

フィギュアに詳しい日本人なら、このモロゾフの鼻高々のセールストークを聞いて、「また吹いてるわ」と苦笑いを浮かべるだろう。だか、よく事情を知らない世界の人々(そのほうが圧倒的多数だ)は、素直に納得してしまうものなのだ。

モロゾフは安藤選手について決してマイナスのことは言わない。自信ありげに振る舞い、結果が出たら、あたかも当たり前のことが起こっただけというような顔で、選手の素晴らしさと自身の能力を大いに宣伝する。もちろん、その成果を導くための地道な努力も怠らない。安藤選手は姿勢がよくない選手だった。それが今回、この動画で切り取られたどの演技場面を見ても、背筋がピシッと伸びて美しい。

モロゾフのこういう態度は、ビジネスの世界でも大切だ。Mizumizuが彼を評価するのは、Mizumizuが日頃見ている、インターナショナルなシーンで成功しているビジネスマンと共通するものを彼が持っているからだ。

4回転2度入れて勝てるなら、2種類のクワドを跳ぶレイノルズ選手がとっくにチャン選手に勝っているはずだ。ところが、彼は技術点でチャン選手に匹敵する点を出しても、演技構成点で圧倒的な点差をつけられ、オリンピックに行けなかったではないか。

同じことを小塚選手に対してしているだけだ。チャン選手と小塚選手の演技構成点の点差がおかしいと言っているのは、外国の元有名選手だけ。日本人でそう批判する元有名選手は皆無だ。そもそも小塚選手のフリーは技術点ではチャン選手以上の点を出している。それをやみくもにジャンプの回転数をあげたら、どうなるか? 他のエレメンツに力を配分できなくなり、表現もおろそかになる。せっかくここまで表現力を磨いてきたのに、また「ジャンプで勝とう」とするのか。それは自滅への道だ。

日本選手は口では、「自分との闘い」と言いながら、結局ジャンプの難度でライバルに勝とう勝とう躍起になる傾向がある。そうやって自分を見失う。高橋選手に勝てそうなチャンスが巡ってくると、自分でジャンプを跳びすぎて自滅する織田選手などはその典型だ。選手はどこまでも自分の世界を構築し、完成させることを考えるべきなのだ。ジャンプはその要素の1つにすぎない。

小塚選手の欠点とはなにか? それは試合によって出来にムラがありすぎることなのだ。トリプルアクセルもやっと安定してきたところ。4回転もようやく決まり始めたところ。だから、小塚選手の目指すべきは、やみくもに回転数を上げることではなく、安定した演技を何度でも披露し、ジャッジにその力を見せつけることなのだ。それは安藤選手が今シーズンやったことでもある。

高橋選手の欠点とはなにか? それはスピンの弱さと3回転+3回転をやったときのセカンドジャンプの回転不足問題だ。世界最高得点を出したころに比べるとジャンプの能力は残念なら低下している。年齢的に見てもそれは仕方ない。現実に目をつぶって夢のような理想を追いかけるのは賛成できない。怪我のもとではないか。高橋選手はもともと夢想的な性格の持ち主で、それがあの天才的な演技につながっているのは間違いない。だが、そのロマンチシズムはときに現実から遊離する。選手をつづけるなら、その部分を周囲の誰かが補わなくてはいけないだろう。モロゾフのような父権的な性格でなくとも、兄貴的な性格で彼を支える献身的な人材が必要であるように思う。そして高橋選手にしか表現できない音楽との深い一体感をもっと極め、エレメンツでの減点を防ぐ方向で地味に努力してほしい。たとえイチャモンのような判定でも、他の選手には甘くても、指摘された欠点は欠点。改善する努力はするべきだ。

選手がジャッジを敵視したり、疑いの目で見たりするのはよくない。スルツカヤ選手がトリノでいい演技ができなかったのは、「また勝たせてもらえないのではないかと思った」せいなのだ。観衆に理解してもらう努力をするのと同じ姿勢で、ジャッジにも自分の想いを届けるよう心をこめて演技すべきだ。たとえ、それが自分をひどく嫌っていると思うようなジャッジであっても。

ジャッジが「きのこを食べてヘンになっている」ことは、ロシアだけではない、世界中の少し詳しいファンならもうわかっているはずだ。こういう状況で選手にとって一番大事なのは、点が出ないからといって自暴自棄にならないこと、過度なプレッシャーを自分にかけないこと、できもしないジャンプ構成に「挑戦」して、プログラム全体を穴だらけにしないこと。つまり、精神的につぶれないことなのだ。

自分にしかできない表現で観客を魅了する演技をする。その目標に向かって努力し、観客から喝采を浴びれば、それだけで十分選手の喜びになるはずだ。チャンが300点出そうと、放っておけばいい。ああやって高下駄を履かせれば履かせるほど、人気は落ちていく。

今のフィギュアの一番の癌は、勝たせたい選手に合わせてコロコロ指針が変わるルールとその運用だ。その結果だけを見て、選手に「対応しろ」と責任をかぶせるのは間違っている。ルールおよびジャッジングへの働きかけは選手強化と同時に、別のルートでやらなければダメなのだ。ところが今は日本のジャッジは、日本選手に厳しい判定が出ると、それを国内大会でマネっこする。それでは日本をなんとか牽制したいISUの思惑どおりではないか。

強化部長は、「伊藤みどり時代に有力選手が1人しかいなくて失敗したから層を厚くした」と自慢げに言うが、その結果、メダルは一国一名様になってしまって、1人の日本選手がいい評価をもらうと、同時に出た他の日本選手の点は伸びない。まさに、ジョニー・ウィアーがオリンピック後に話したとおりの結果になっている。

<続く>





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最終更新日  2011.05.10 20:37:19



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