Mizumizu+Mizumizu連れ合いが山口県をドライブしていて、思わず同じ感想を言ったことがある。
「山口って、バリ島に似てない?」
植物体系こそ熱帯と温帯で違うものの、低めの山が連なった田舎道の緑の豊かさ、霧が出たときの暖かな湿気など、どことなく似ている・・・気がする。
極めつけは、この場所、別府弁天池。
こんもりと緑に囲まれた神秘的な風景。ここに足を踏み入れたとき、バリ島の湧き水のある寺「ティルタ・エンプル」に戻ってきたような感覚にとらわれた。
エメラルドグリーンの神秘的な水をたたえた弁天池。日本名水100選にも選ばれた湧き水の出る場所で、池から少し離れた駐車場のそばに水道の蛇口を取り付けた取水場がある。
だが、個人的にはこの神社の境内の中にある取水場から出る水のほうが美味しいように思う。駐車場まで水道管でひっぱった水は、量が多いし汲みやすいのだが、味が落ちるのではないだろうか?
のぞき込むだけで不思議な気持ちにさせられる水の色。晴れた日の北海道のオンネトーほどではないが、それに近い神秘性がある。
ここでケチャックダンスのような宗教的な踊りがあれば、ますますバリ島だな・・・と思ったら、なんとなんとちゃんとあった。
「念仏踊り」。
つまるところ、これらはいわゆる聖水信仰で、自然の中に八百万の神が宿ると信じていた日本とバリ島の宗教観には共通性があるということだろう。
ヨーロッパの先住民族ケルト人にもこうした自然信仰があり、アニミズムを野蛮なものとして嫌った制服民族であるキリスト教徒は、彼らの聖地に大聖堂を建てた。
シャルトルの大聖堂もケルト人の聖水信仰の地に建てられており、行ってるみると、なるほど川に囲まれた水の豊かな場所だった。
ヨーロッパでは消された自然信仰が、こういうかたちで残っている・・・・・・日本の古い田舎とバリ島がどことなく似ているのは、やはりこうした根が同じだからかもしれない。
Mizumizuが怪我をしたときにバリ島の人々が見せた控えめで、さりげない思いやりも、日本人のもつ主張しない優しさにとても似ていた。