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カテゴリ:Travel(日本、中国地方)
多くの文化人に絶賛される尾道の景観。映画の舞台にもなっているが、Mizumizuが知っているのは『東京物語』や『時をかける少女(原田知世主演)』ぐらい。『東京物語』のラストシーンでの、蒸気機関車の走り抜ける尾道は、筆舌に尽くしがたい美しさだった。西洋とはまったく違う、だが西洋の秩序にも通じる整然たる街並み。これをみて西洋人が日本という国に興味と尊敬の念を抱いたのもなるほどと頷ける。『時をかける少女(原田知世主演)』も尾道の坂の風景を、つぶさに印象的に見せていた。
とはいえ、それらはあくまで優れた映画人のフィルターを通して描かれた尾道だし、そもそも『東京物語』は古すぎて、統一感のある瓦をいただいた低い家屋の集合はすでに破壊されて久しいはずだ。世の評判の高さとは裏腹に、「今の尾道」にはあまり興味がもてず、旅行好きのMizumizuがこれまで目的地に選んだことはなかった。 だが、西日本でまだ行っていない観光地もいよいよ少なくなってきた。なので、今回は因島と絡めて尾道にも立ち寄ることにしたのだ。 前日に因島から境ガ浜、鞆の浦と回り、福山で一泊。朝ホテルをチェックアウトして、レンタカーを福山駅前のレンタカー屋に返し、大きな荷物は駅のロッカーに預けて、在来線で尾道へ。 駅からすぐにタクシーでロープウェイ乗り場へ向かう。GWなので、ロープウェイも並んでるかな、と思いきや、時間が早めだったせいか、並ばずにすぐに乗れた。 ロープウェイからすでに素晴らしい景観が始まる。急な坂、海との間の狭い平地。尾道水道、向島大橋、そして瀬戸内海の島。向島との間には船も行き来していて、生活感にあふれている。 ほとんど平地のない、海に面した坂の古い街というと、イタリアのソレント半島を思い出す。かの地のような広々とした紺碧の海やレモンの木や芸術的なタイルの建築物こそないが、そのかわり、ここには堂々たる橋があり、川のような海があり、連なった山があり、島影があり、観光だけ主な生業でない町の持つ人々の暮らしの匂いがたちこめている。 ロープウェイを登ってすぐのところにある美術館からの眺めが良いと聞き、行ってみた。ちょうど猫をテーマにした古今東西の作品を集めた特別展が開かれていて、なかなか見ごたえがあった。 だが、やはりここの白眉は、窓の外に広がるランドスケープだろう。 アルネ・ヤコブセン作のエッグチェアがポツンと配置されている。その向こうには坂があり、狭い平地があり、背の低い、何かの寝姿のような山々が折り重なっている。左手にはロープウェイからも見えた向島大橋と尾道水道の景色。 この特等席に座って、作品『尾道ランドスケープ』を眺める。それは、至福の時間だった。なるほど、だから尾道は人々から絶賛されるのか。行ってみて、心底納得できた。 美術館を出て、千光寺へ向かう道をくだる。雨に濡れたつつじが美しい、すっきり晴れなかったのは残念だが、尾道は雨でも情緒がある。まさに日本の美しい町だ。 千光寺はいわゆる「巨岩信仰」を強く感じさせる地にある寺だった。が、そんなことには今やおかまいなく、恋人のナントカとか、寺の売店の激しい売り込みとか、商魂のたくましさに正直かなり唖然とした。しかし、その甲斐あってか、若者もすごくたくさん来ている。まあ、寺も名所も人が来てナンボだ。恋人のナントカで若者を引き付けることに成功したのは、誰が考えたか知らないが、お見事。 Mizumizu母の足の状態を考えて、Mizumizu+Mizumizu母は徒歩で下まで降りるのはやめてロープウェイで下ったが、Mizumizu弟夫妻は、狭い路地を歩きながら下まで降りて、楽しんだようだった。 Mizumizu弟が撮って送ってくれた写真。これぞ、The尾道。 やはり尾道観光の目玉は、この坂を歩いて下るときに出会える自然であり、生き物(猫や鳥や人間や)であり、建築物なのだろう。 お昼過ぎにロープウェイ駅に降りたら、午前中にはなかった長蛇の列ができていた。 尾道は交通の便がいいから、西からでも東からでも、自宅を朝出れば、お昼ぐらいには着けるという範囲が広い。だから、お昼にはこうなる。こちらは福山に泊まって朝来たので、混む前にゆっくり楽しめた。 結論:GWの尾道は、午前中早めに来るといい。 福山天然温泉ルートイングランティア福山SPA RESORT お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017.08.02 22:21:47
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