「ソフトの車」は世界を視野に育てよう
日本勢だけによる閉じた関係を志向するようでは、かつて携帯電話で起きた世界の潮流に乗り損ねるガラパゴス化を再現しかねない。半導体やAIといった海外勢が強い分野の力も積極的に取り入れる必要がある。第二に、社会全体にイノベーションを受け止めることが求められるという点だ。車の開発にソフトを導入する取り組みではトヨタ自動車が先陣を切ってきたが、自動運転などサービス面となると日本は後手に回っている。今ごろライドシェアが議論の的になるなど、米中だけでなく東南アジアと比べても周回遅れの感がある。経済力の低下に対する国民の危機感はかねて高まっている。一方で、自動車業界には国内で550万人以上の働く人が関わる。国力を左右する巨大産業だ。世界での競争を視野に未来の自動車産業を育てるためにも、自動車業界だけでなく、国も含めて新たな社会のあり方を国民に問う努力が必要だ。出典:日経新聞 社説