オレの二大カリスマにして二大トラウマの共演
「大槻ケンヂが語る江戸川乱歩」何度か書いてるけど、オレって江戸川乱歩ファン。小さい頃「少年探偵団モノ」を読んだ記憶はあるでも、本格的に乱歩を読み始めたのは筋肉少女帯がキッカケ。ってなわけで、この本に対しては「待ってました」ってカンジ。ただ、その一方でそういうベースがあるだけに「なるほど!」とか「そうだったのか!」という驚きはなく「うんうん、そうだよね」という確認作業のようになってしまう。いわゆる「少年探偵団モノ」以外の乱歩作品には現代で言うニートや引きこもりの元祖みたいなキャラクターが数多く登場する。内向的で、人とのコミュニケーションがうまく取れなかった青春期の大槻ケンヂは、普通に世の中と関われず、ようやくたどり着いた社会との接点が犯罪だったというこれらのキャラクターに対し「これはロックだ」と感じ、共感を覚えたという。オレも青春期には家庭の事情などで厭世的になっていてそんな時期に出会って、心の隙間に入り込んできたのが筋肉少女帯だった。言ってみれば大槻ケンヂにとっての江戸川乱歩がオレにとっての大槻ケンヂなわけで、さらに大槻ケンヂの世界を理解したくて乱歩読み始めたって経緯を考えればどうしたって「うんうん、そうだよね」って読み方になっちゃう。だから「おー、こういうの待ってたよ!」と喜び勇んで買った割には新鮮な驚きはなくまったりノホホンと読み終えた。まぁそれはそれでいいんだけど。そうした大槻ケンヂの乱歩論に沿う形でニートや引きこもりの元祖が主人公の短編「鏡地獄」「押絵と旅する男」「踊る一寸法師」「人でなしの恋」も掲載されているので人間の心の闇に焦点を当てた乱歩の猟奇モノに触れてみたい人にはオススメ。